玉川大学・玉川学園Webサイト
IEサポート終了のお知らせ

玉川大学・玉川学園webサイトTOPページリニューアルに伴い、Microsoft 社の Internet Explorer(以下、IE)のサポートを終了いたしました。本学園が運営するサイトをIEで閲覧した場合正しく表示されない恐れがございます。
皆様にはご不便をおかけしますが、別のブラウザを利用しての閲覧をお願いいたします。

歴史ある旧大学2号館の廃材を使い、アート作品を制作。「解体による再構築展」の優秀作に対して表彰状が授与されました。

2024.01.19

玉川大学芸術学部では、教員と学生が中心となって企画・運営を行う芸術分野のさまざまなプロジェクト「Tamagawa Art Gallery Projects(TAG)」を実施しています。2023年度の第9弾プロジェクトとして「解体による再構築展 Vol.2」が12月に行われました。その中の優れた作品に対して賞が授与されることになり、12月18日(月)に表彰式が行われました。

ここ数年、50年以上使用してきた校舎を取り壊し、現代の教育内容や最新の耐震基準に合致した校舎への建て替えが続いている玉川学園。そこで発生する廃材を用いてアート作品を制作するのが、「解体による再構築展」です。2022年度には玉川学園旧本部棟と玉川大学8号館(旧工学部校舎)の廃材を用いた再構築展を開催。2回目の取り組みとなった今回は、旧大学2号館(旧文学部第2校舎)の廃材や映像、音を用い、20名が作品を制作・出展しました。

STREAM Hall 2019のアカデミックスクエアで行われた表彰式には、玉川学園の教職員や学友会関係者、そして同プロジェクトの協賛企業である西松建設株式会社、ダイダン株式会社、栗原工業株式会社の皆さんが参加。芸術学部の児玉沙矢華講師の司会によって始まりました。
芸術学部長の中島千絵教授が開会のあいさつを行い、「解体する校舎を活用させていただいたことは、大きな意味があると思っています。学生たちはその場所に流れていた時間や、面識のない先生方や先輩方の大きな記憶の固まりを感じたと思います」と、このプロジェクトの意義について触れました。
その後、児玉先生が今回の概要について説明。学生たちは校舎の解体が行われる前に現場に入り調査を行ったほか、空間のペイントなどにも取り組んだこと。また解体後も校舎に入り、その面影を辿っていったこと。学友会を通じて卒業生から当時の思い出を伺ったことで改めて学園の歴史について触れ、そこから構想をふくらませていったことなどが紹介されました。

その後、表彰状の授与が行われました。
今回は協賛企業3社と学友会がそれぞれ作品を選定。ここでは各賞についてのコメントと、学生による作品説明を紹介します。

西松建設賞 作品名「黒板の白校舎」

芸術学部アート・デザイン学科3年 岩川卓矢さん

「制作された作品全てを拝見しましたが、毎回感じるのは切り口がそれぞれ異なっており、その視点に非常に感心させられるということです。今回の作品は黒板という素材と、『ホワイトハウス』という異名を持っていた旧大学2号館の対比という部分で選ばせていただきました。弊社にも玉川大学の卒業生が多数いますが、この作品を見ると非常に懐かしく感じるのではないでしょうか(西松建設株式会社関東建築支社玉川学園出張所統括所長・岩本正巳様)」

「制作に先立ち学友会の方からお話を伺ったところ、憧れの校舎だったという声を数多く聞くことができました。そこから旧大学2号館が最も美しく見える正面からのアングルで描くことを思いつきました。また黒板の周囲には、多くの人が通ってきたであろう廊下の部材を使用しました。私自身もこれまで大学で培ってきた思い出、そしてこれから作るであろう思い出を大切にしていきたいと思います(岩川卓矢さん)」

ダイダン賞 作品名「火の鳥」

芸術学部アート・デザイン学科2年 内山留那さん

「受賞した作品は、弊社が普段使用している暖房のスイッチや消火栓の部材など、非常に親近感のある素材を使用している点が印象的です。どの作品も素晴らしかったのですが、そういう意味でこの作品を選びました。また、タイトルは火の鳥でありながら消火に関する廃材を使用している点や、照明に照らされて生まれる影までもが作品の一部になっている点なども、とても興味深かったです(ダイダン株式会社営業本部営業推進部部長・森雅一朗様)」

「この作品は玉川学園の象徴であるチョウゲンボウと、再生の象徴である火の鳥を掛け合わせて制作しました。素材には消火栓などの部材を、ありのままで使用しています。作品を鑑賞していただく際には、こうした素材もあるということを感じていただけると幸いです。廃材という素材の重要性を認識できたことは、私にとってもまたとない経験となりました。この経験は、私の財産だと思います(内山留那さん)」

栗原工業賞 作品名「switch」

芸術学部アート・デザイン学科3年 木村美月さん

「まず、私たちの生活に欠かせないスイッチを作品名に選び、その廃材を使用している点に着目しました。弊社内での審査では学生の皆さんと年齢の近い若手社員2名にも意見を求めたのですが、彼らが選んだのがこの作品だったという点も、選んだ理由の一つです。また、作品に描かれている女性の髪型やファッションが1980年代を想起させるようなものであることも印象的でした(栗原工業株式会社東京本店営業部部長・上原章夫様)」

「旧大学2号館の廃材が、新しい未来に切り替わるというテーマで制作しました。廃材の中からさまざまなスイッチを探し、建物正面の白いアーチのように配しています。また左上の時計は、校舎の竣功年である1962年を時計の針の19時6分2秒で表現しました。私は教員志望ですが、今回のように素材から人々の想いを受け止め、そこから表現する楽しさを教えていけたらと思っています(木村美月さん)」

学友会賞 作品名「Rest of my life」

芸術学部アート・デザイン学科3年 垣結菜さん

「今回も力作揃いで一つに絞るのは簡単ではありませんでしたが、その中でも高い評価を得た作品です。館内で使用されていた時計を使用した作品でタイトルは『余生』を意味していますが、校舎としての時間が終わり、また新たな学生たちが時を刻んでいくというイメージを持ちました。また廃材とは思えない質感と重量感を感じさせる、美しい作品だと思いました(玉川大学・玉川学園学友会副会長・平本勝哉様)」

「廃材を使い、新たな時を刻む時計をイメージしました。先日、世阿弥の『風姿花伝』に触れる機会があったのですが、花は人々の役に立ってこそのものであると綴られていました。これはアートにも通じる言葉だと思います。芸術学部にもさまざまな花が咲いていますが、私の花もその一つとして評価していただけたのかなと感じています(垣結菜さん)」

表彰状授与の後、小原芳明学長からの挨拶がありました。 「普通なら廃棄物として処分されてしまうものの中から何らかのメッセージ性のある作品を作り出すという皆さんの発想の豊かさに驚き、強い印象を受けました。この旧大学2号館は玉川学園で初めての5階建て校舎ということもあり、創立者も設計時から非常に力を入れた建物です。文学部の校舎ではありましたが、ほぼ全ての学生がこの校舎で学びました。私自身の研究室もこの校舎にあったなど思い出深い建物ですが、皆さんのセンスで素晴らしい芸術作品が生まれました。どうもありがとう」

単に廃材を使うのではなく、学園の歴史を掘り下げ、旧大学2号館で学んだ卒業生たちの想いをくみ取り、その年月をアート作品として表現した今回のプロジェクト。普段とは異なる視点での制作活動は、学生にとっても貴重な経験となったことでしょう。

関連リンク

シェアする