「玉川らしい和のデザインとは?」を模索しながら、芸術学部の学生が玉川ハチミツおこしのパッケージデザインリニューアルに取り組みました。
「玉川ハチミツおこし」は、東京みやげの定番でもある常盤堂雷おこし本舗の雷おこしに、たまがわはちみつを加えた玉川学園のオリジナル商品です。今回、このパッケージデザインのリニューアルを、昨年「ヨックモック玉川オリジナル缶」をデザインした小北ゼミの学生たち10名が担当することに。指導を担当した小北麻記子教授から話を伺いました。
「今回、『おこし』という和菓子のパッケージを制作するにあたり、和風のデザインモチーフを考えることからスタートしました」と語る小北先生。まずは玉川学園のはちみつを使用しており名称にもなっていることから、蜂の図案や蜂の巣を想起させる六角形の亀甲文様を取り入れることに。そしてその亀甲文様の中に、玉川学園を象徴するようなモノやコト、さらに全人教育の6つの価値を図案化して入れ込むことになりました。
「ただ、『チョウゲンボウ』のように形のあるものはデザインしやすいのですが、『音楽』、『学問』などはどんなデザインにすれば受け手に理解してもらえるのか、学生たちも非常に悩んでいました」
たとえば和風のデザインで『学問』を表現する場合、『巻物』などのアイデアが出されたそうですが、これだと学問を想起しづらいことから『本』をモチーフとすることに。また、それをどのようにアイコン化していくのかも、いくつものデザイン案を制作しながら着地点を探っていったそうです。
「家紋に代表されるように、日本には古くから使われている文様があります。それらも参考にしつつデザインしていきました」と、小北先生は振り返ります。
特に苦労したのは、玉川らしい和のデザインの方向性を定めることでした。「和風のデザインといっても、純和風では玉川学園らしさから外れてしまいます。また、モダンな雰囲気を加えるにしても、『大正ロマン』のようなテイストでもない。さらに和菓子の中でも比較的手頃なお菓子であることも考慮に入れ、品格を感じさせつつも少しカジュアルな方向を探りながら、モチーフをまとめていきました」
こうして出来上がったデザイン案をプレゼンし、高い評価を得た小北ゼミの学生たち。また、ヨックモックのオリジナル缶の際の、学園全体を図案化した「いつかの学園」案も採用され、2パターンの缶の制作が決定しました。1年間をかけて、「ヨックモック玉川オリジナル缶」と「玉川ハチミツおこしパッケージ」のデザインを担当したことで、学生たちにも成長が見られたと語る小北先生。
「頑張れば、想像していたよりもいい景色を見られるんだということを実感できたのではないかと思います。最近は議論などで他者に異を唱えるのが苦手、という学生が少なくありません。ただ、同じゴールを目指すメンバー同士で意見を交えることは非常に重要で、今回はゼミ生同士やクライアントの皆さんと議論をし、調整を重ねたことが大きな経験となったのではないでしょうか」
「玉川ハチミツおこし」は、現在玉川学園購買部やウェブストアで販売中です。食べ終わった後も缶を手元に残しておきたくなるような、学生たちの力作をぜひご覧ください。