キャンパスストアの売上アップをめざす実践的授業
工学部マネジメントサイエンス学科「キャリアとコミュニケーション」
実践的なビジネス課題を「デザイン思考」のプロセスで考える
工学部マネジメントサイエンス学科3年生を対象とした「キャリアとコミュニケーション」は、実践的なビジネステーマについてグループで学生自身が主体的に考察を深め、解決策を編み出して、最終的にプレゼンテーション発表を行う授業。実践的なビジネス手法を考える経験をすることによって、学生一人ひとりが将来のキャリアデザインを考えるきっかけとなることも狙っています。
授業を担当するのは小酒井正和教授と力丸萠樹講師です。小酒井教授はデザイン思考による「学問を越えた学び」を提供する授業や研究室活動を展開。力丸講師はデザイン事務所を主宰し、フリーのコンサルタントとしても活動されています。

今年度のテーマは、玉川学園購買部(キャンパスストア)の売上アップを実現させる方策を考えることでした。
まず授業にキャンパスストア担当者を招き、学生による聞き取り調査(インタビュー)を実施。聞き出した購買部の課題を踏まえて、グループ(3~5人)に分かれて、それぞれがディスカッションを重ね、「共感→定義→概念化→試作→テスト」という「デザイン思考」のプロセスに基づきながら売上アップのための提案をまとめていきました。
7月10日(木)、プレゼン発表の日には再び購買部担当者らが教室に招かれ、その前で学生たちがプレゼンテーション発表を行いました。
力丸講師が提示したプレゼンの評価ポイントは以下の3つでした。
- ① 実現可能性
実際にその企画を実現できるのか?
- ② 理解度
論理的で誰もがわかりやすい企画内容か?
- ③ プレゼン力
プレゼン資料のわかりやすさ、口頭発表の説得性など
学生ならではの「キャンパスストア」売上アップ提案が続々と
当日、力丸講師を進行役に学生5グループが発表したプレゼンテーション提案は以下の通りでした(発表順)。
1.「玉川ジャムを活用した新商品開発」
主に玉川学園の中高生、大学生をターゲットに農学部のジャムを使ったオリジナルパンを開発。学生ならではの発想で季節限定メニューなども展開する
2.「『プライチ』導入&季節イベント実施+学食券売機との連携」
コンビニなどで実施されている「プライチ」(一つ買うと無料券が付いてくる)サービスとコスモス祭などイベントでの販売、学食の券売機活用などを複合的に組み合わせた提案。
3.「キャンパスストアと音楽系サークルのコラボライブ実施」
キャンパスストアの認知度を上げるために、大学軽音サークルとのコラボライブをキャンパスで実施し、会場で商品販売やPR活動を展開。またキャンパスストアの商品に関わる農学部や芸術学部のPRにもなる。
4.「オンライン注文によるオリジナルおべんとう販売計画」
学食メニューに飽きた学生や教職員対象に手ごろな価格でのおべんとう販売を行う。売れ残りを防ぐためオンライン注文限定で、広いキャンパス内の数カ所に受け取り場所を作る。
5.「玉川アイス100万個販売計画(イベント販売+予約販売+無人販売)」
「玉川アイス」の販売チャネルの多様化で多くの人に買ってもらえる仕組みづくりを提案。インタビューした購買部担当者の「(玉川アイスを)100万個売りたい」という言葉を受けての企画だそう。
学生たちはキャンパスストアの現状と課題を整理しつつ、狙うべきターゲット、提案アイデアを実現した際のコストや収益、さらにメリット・デメリットの検証と将来への課題なども踏まえた説得力のあるプレゼンテーションを行いました。 授業に参加した購買部担当者からも「ぜひやってみたい、こちらから協力したいと思えるアイデアがありました」「私たちが見逃していた課題についてもふれていただき勉強になった」というコメントがありました。




最後に終始ニコニコと学生たちのプレゼンテーションに聞き入っていた小酒井教授が全力を尽くした学生たちへのねぎらいと、さらなる思考の深まりに期待するアドバイスを贈り、授業は終了。学生たちはこの授業での経験や苦労から、きっとそれぞれの未来とキャリアを切り拓く手がかりをつかんだことでしょう。