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芸術学部1年生対象 玉川大学・玉川学園学友会寄附講座 十一代大樋長左衛門(年雄)先生による講演「うつわの哲学」

2025.08.19

玉川大学・玉川学園学友会では、在学生支援の一環としてさまざまな分野で活躍する方々を講師として招く寄附講座を企画開催しています。7月2日(水)には、芸術学部1年生必修科目「芸術概論」として、350年続く由緒ある楽焼の窯元であり、アーティストとして国際的に活動する十一代大樋長左衛門(年雄)氏による講演「うつわの哲学」が開催されました。

日本藝術院会員の“大先輩”が客員教授に就任

会場である大学教育棟2014・521教室には、1年生だけではなく芸術学部の多くの学生や教員が集まりました。講師である十一代大樋長左衛門(年雄)氏は、2025年に日本藝術院会員に選ばれ、4月に玉川大学芸術学部客員教授に就任。6月に開催された3日間にわたる「芸術学部特別ワークショップ」では、工芸実技を受講している学生を自ら指導しながら、一緒に楽茶碗を制作。その際、完成した大樋氏と学生たちの作品は学内で展示されました。

石川県金沢市出身の大樋氏ですが、高校進学で上京し、玉川学園高等部に入学。その後玉川大学文学部芸術学科(現 芸術学部)で学んだ学生たちの大先輩でもあります。

大勢の後輩たちを前に笑顔で登場した大樋氏は、まず「悩みで一杯」、「バスケと英語は頑張った」「しかし目標がなく真剣に生きることができなかった」という高校~大学時代の思い出から話し始めました。そんな若き日の大樋氏は大学卒業後に留学したボストン大学大学院で米国特有の楽焼の技法「アメリカン RAKU」に没頭。その時に「身体で学ぶことができ、自分の中でほんとうにやりたいことが生まれた」と話されました。留学生活では玉川学園で修得した「英語」力が大いに力を発揮したそうです。

ジャンルを横断したグローバルな創作活動を展開

その後大樋氏は米国だけではなく、ヨーロッパや中国、韓国と世界に活躍の場を広げ、さらに陶芸と茶道、建築、現代アートなど異分野とのコラボレーションを通した「現代アーティスト」としての地位を確立。伝統と現代の共創を意識したそのグローバルな創作活動について映像を交えて紹介されました。

自らの経歴に続いて、大樋氏は長年の創作活動の中でつかみ取った「うつわの哲学」について話されました。まず「命」という漢字が「人が天に向かって器を捧げている」姿を模したものという話題から、古来より茶碗に人間が込めた思いについて解き明かしました。さらに古来より中国や日本の都市設計や人々のくらしに大きな影響を与えてきた「風水」の思想が茶碗のカタチにも反映されていること、現代アートや最新のテクノロジーを使って茶道や陶芸といった伝統文化をアップデートすることなど、芸術学部でアートを学ぶ学生にとってはたいへん刺激的な話題がふんだんに盛りこまれていました。

「五感を駆使すれば誰でも天才に」と学生を励ます

昨年1月の能登半島地震では大樋氏の工房も多大な被害を受けましたが、大樋氏はそうした不幸を乗り越えていくことこそアーティストとして大切なプロセスと語り、自ら「ほんとうの悲しみ」の中から五感、さらに第六感を働かせて新しいものづくりにチャレンジしてきたと語りました。

そして会場の学生に向けて「五感を駆使すれば誰でも天才、みなさんも私以上の芸術家になれる。どれだけ自分の感覚を研ぎ澄ますかで人生変わってくる」と鼓舞しました。 最後に会場からの学生の質問に答えながら「『人生の最も苦しい いやな 辛い 損な場面を真っ先きに微笑を以って担当せよ』という玉川モットーがありますよね? 在学中、私はこの言葉がまったく心に沁みてきませんでした。でも今はよくわかります。芸術活動すべてに通ずる素晴らしい言葉だと感じています」。終始、玉川の後輩たちに向けて笑顔で、しかし真剣に語りかけていた大樋氏。今後も本学の客員教授として学生たちにものづくりのスピリットとスキルを伝授していただくことが期待されます。

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