ブラインドサッカーを通して考える"共生社会"。健康教育研究センター主催の「スポーツと教育2025」が開催されました。
ブラインドサッカーを通して、「当たり前」とは何かを考える

玉川大学教育学部 健康教育研究センター(学術研究所高等教育開発センター、玉川アスレチックデパートメント(TAD)共催)では、「スポーツと教育」をテーマとしたシンポジウムやワークショップを定期的に開催しています。2025年度は「体験から学ぶ ブラインドサッカーから考える共生社会」と題して、1月24日(土)に開催されました。ブラインドサッカーは視覚に障害のある選手が行うサッカー競技で、国内では日本ブラインドサッカー協会(JBFA)が統括しています。この日はファシリテーターとしてJBFAの大山湧氏が、そしてブラインドサッカーの元日本代表で埼玉T.Wingsに所属する加藤健人選手が来校。参加者が障がい者スポーツに触れると同時に、自らの「当たり前」とは何かを考える、絶好の機会となりました。



この日は教育学部教育学科保健体育専攻の学生を中心に、約80名が参加。まずは記念体育館内の実習室で大山さんや加藤選手の話を伺いました。大山さんは「視覚障がい者と健常者が、当たり前に混じり合う社会」というビジョンの実現のため、障害の有無にかかわらず、生きがいを持って生きることに寄与するというJBFAのミッションについて説明を行いました。また小学校からサッカーを続けていたものの、高校時代に視力が低下し始めたことでブラインドサッカーに転向したという加藤選手。視力が低下した当初は、「視覚障がい者イコール、何もできない人」と思っていたそうですが、その考えを改めるきっかけとなったのがブラインドサッカーだったそうです。「皆さんも、世間一般の普通とは何を指すのか、もう一度考えてみてください」と、加藤選手はこの日の参加者に向けて語りました。






全員でアイマスクを装着し、ブラインドサッカーに挑戦

そして参加者は記念体育館フロアへと移動し、実際に視覚に頼らずサッカーボールに触れてみます。ブラインドサッカーでは選手の条件を統一するためアイマスクを使用し、鈴の入った専用のサッカーボールでプレーします。まずはアイマスクをつけないガイド役の指示に従って、歩く練習から始めるアイマスクをつけた参加者たち。そこから転がってくるボールをトラップし、一回転してゴールに向けてシュートするという動作になると、全員が四苦八苦。ガイドの指示を聞きながら、恐る恐るボールがあるであろう場所に向けてシュートします。それでも徐々に選手のプレーだけでなくガイド役の指示も的確になり、ゴールを決める回数も増加。会場のあちこちから歓声が上がっていました。
















ブラインドサッカーの体験が終わり、大山さんからの「ぜひ、これで終わりではなく今日の体験を今後に活かしてほしいと思います。まずは、街で白杖を持った人を見かけたら困っていることがないかを聞いてみてください」という話を、参加者たちは真剣な面持ちで聞いていました。
誰もが支え合う、共生社会のヒントがここに
参加した学生にも話を聞きました。
「陸上競技部に所属しています。外部のクラブチームにも参加しており、そこで視覚障害のある選手と一緒に目を閉じて走ったことがあるのですが、普段の自分がいかに視覚情報に頼っているかを実感しました。また今日のブラインドサッカーでは、聴覚もとても重要だと感じました。自分が体育教師となった際、もし視覚に障害のある生徒がいたら、より言葉のかけ方や伝え方などに気を配って接したいと思います(明石侑奈さん・教育学部教育学科保健体育専攻1年)」
「目が見えないと聴覚に頼る部分が大きくなります。今日は転がって来るボールをトラップするよりも、音を出さない止まったボールを蹴ることに苦労しました。そしてそうしたプレーの難しさと同様に、プレーヤーが理解しやすい、的確な指示を出すことがとても重要だと分かりました。それは教員としての指導にも通じる部分であり、非常に勉強になりました(關谷倖さん・教育学部教育学科保健体育専攻2年)」
共生社会について考えるきっかけとなった今回のワークショップ。ブラインドサッカーを体験してみて、アイマスクを装着すれば健常者も視覚障がい者も条件は変わらないこと、そして健常者にとっても難しく、楽しいスポーツであることを、参加者たちも実感したのではないでしょうか。
また、今回の受講者には教員を目指す学生が多く参加しており、近い将来教壇に立った際にも求められる多様性への理解や向き合い方を学ぶ、学びと気づきに満ちた機会となりました。
