玉川大学・玉川学園Webサイト
IEサポート終了のお知らせ

玉川大学・玉川学園webサイトTOPページリニューアルに伴い、Microsoft 社の Internet Explorer(以下、IE)のサポートを終了いたしました。本学園が運営するサイトをIEで閲覧した場合正しく表示されない恐れがございます。
皆様にはご不便をおかけしますが、別のブラウザを利用しての閲覧をお願いいたします。

アドベンチャー教育を行うTAPが設立されて25年。それを記念してシンポジウム「学校教育でのファシリテーション」が開催されました。

2026.06.01

アドベンチャー教育に欠かせないファシリテーションについて考える

アドベンチャー教育の哲学・手法を取り入れて、玉川学園の全人教育と統合した体験学習プログラム、TAP(Tamagawa Adventure Program)。個人のコミュニケーション力やグループのチーム力を高めるこのプログラムは玉川大学、玉川学園の各ディビジョンだけでなく、学外の企業や団体、プロスポーツチームなどのチームビルディングにも導入されてきました。2025年度は玉川大学でTAPを設立して25周年ということもあり、3月7日(土)に記念シンポジウム「学校教育でのファシリテーション」を開催。教師からの一方通行の指導ではなく、対話型授業で上手に議論を導く際に求められるのが、ファシリテーション(知的・情緒的相互作用を支援促進すること)のスキル。アクティブラーニング(能動的な学習)だけでなく、TAPで行っている「失敗を恐れず一歩踏み出す心」を引き出す際にも重要であり、教育現場でも注目を集めています。会場となった大学教育棟2014の521教室は、教育関係者を中心とした多くの参加者でほぼ満席となりました。

ファシリテーターとしての先生の役割について強い関心

この日のシンポジウムでは、基調講演とパネルディスカッションが行われました。開会にあたり小原一仁学長より挨拶がありました。「先生たちの役割は、時代や社会と共に変遷してきました。そしてその変化は子供たちにも及びつつあるのが現状です。多様な背景や特性を有する子供たちが集う場では軋轢(あつれき)や衝突が起こることもあります。そうした中で個性を重んじることで、学校は種々の違いに対する配慮で飽和状態となり、容易に解決できない問題が増加しているのではないでしょうか。学校が子供たちの心の拠り所となるためには、そこで働く先生たちの存在が何よりも大切です。だからこそ、今日のテーマにもなっているファシリテーターとしての先生の役割について、強い関心を持っています」。

理想の教育はガードレール型? 三田地真実先生による基調講演

続いて教育ファシリテーション研究所所長で法政大学教育開発支援機構講師でもある三田地真実先生による、「教師に必要なファシリテーション能力とは 〜子どもの行動から見直す〜」と題した基調講演を行いました。講演の中では「教育は教師と子供の相互作用の場」、「ファシリテーションは魔法の杖ではなく、一つひとつの技術」、「子供の行動が成否の答えを示してくれる」といったことを説明。子供を枠にはめるのでも自由にさせるのでもなく、ある程度の枠を決めつつ進む方向を決める「ガードレール型」の教育が理想という説明に、参加者も納得の様子。また、「子供が帰宅した際、お母さんが『学校はどうだった?』と聞くと、質問が漠然としているわけですから『別に…』といった答えが返ってくる。もう少し具体的な質問を投げかけることが重要です」といった分かりやすい事例を出すことで、ファシリテーションの重要性を説明しました。

パネルディスカッションでは参加者からも数多くの質問が

そしてパネルディスカッション「学校教育でのファシリテーションの現状と課題」に入る前に、登壇者それぞれによる短い講演が行われました。板橋区教育委員会教育長の長沼豊氏は「〜イエナプラン教育の要素を取り入れた教育(板橋区)における展開から〜」と題し、学校教育におけるファシリテーションの重要性について発表。次に登壇した玉川大学大学院教育学研究科長の若月芳浩教授は幼児教育・保育の現場でのファシリテーションをテーマに、幼児期に培った力を小学校へとつなげていくことの重要性についての説明を行いました。そして玉川大学TAPセンター長でもある工藤亘教授は「教師のマインドセット革新とファシリテーター養成」と題して、現場の教員がファシリテーションについてきちんと学ぶことの重要性に触れました。

この3名に加え、玉川大学TAPセンターの川本和孝教授がモデレーターとなり、ファシリテーションが学校教育の現場でどのように行われており、どんな課題があるのかが話し合われました。現場でもさまざまな試行錯誤が行われているという意見の中で、「そもそも大学での教職課程にファシリテーションに関する科目がない中で、先生たちは研究会などで知識を得ようと努力されている」と、工藤教授はファシリテーションに関する注目度の高さと現場の状況の乖離について言及。若月教授は大学で学生を指導する立場から、「教職課程では幼児教育の現場にも実習に行きますが、授業で学んだことしか行わない学生がどうしても多くなります。それは評価を気にして失敗をしたくないという気持ちからなのですが、社会に出れば誰もが失敗をするのですね。だからこそ、学生が冒険できる環境を整えていきたいと思っています」と語りました。そして長沼教育長は「まずは先生がファシリテーターになること。その上で、子供たちもファシリテーションのスキルを身につけていくことが重要なのではないでしょうか」と発言。また参加者も積極的に手を上げて質問するなど、終始活発な議論が行われました。

一歩踏み出す経験から強い心が育つ

シンポジウムの閉会にあたり、小原芳明理事長による挨拶がありました。「玉川大学TAPセンターに関しては、当初はもっと教育学的な、『心の教育実践センター』のような名称にする予定でした。ただ、ここでいう心とは失敗を恐れず一歩前に踏み出すもので、アドベンチャー教育の部分に着目することで現在の名前になったと記憶しています。玉川大学自体も創立時から失敗を恐れない人生の開拓者の育成を掲げてきました。仲間を信頼して一歩踏み出す経験から、強い心が育つのではないかと思います」。

TAP設立25周年を記念して開催された今回のシンポジウム。参加者の多さからも、ファシリテーションが教育現場で注目されていることがよく分かります。だからこそアドベンチャー教育を実践しているTAPセンターの役割も、これまで以上に重要になってくるのではないでしょうか。

関連リンク

シェアする