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海を越えて共鳴した太鼓の鼓動と舞踊の美。「アメリカ桜まつり『TAIKO & DANCE 2026』凱旋公演」および海外公演レポート

2026.06.25

神事や祭礼、能や歌舞伎の囃子として発展してきた和太鼓。そして、土地の風土や人々の暮らし・祈りが形となった民俗舞踊。これらの伝統芸能は言葉の壁を越え、日本の歴史や自然への敬意を人々の本能に訴えかけます。
玉川大学芸術学部演劇・舞踊学科では、毎年、アメリカで和太鼓「玉川太鼓」と創作民俗舞踊の公演を行い、帰国後に「凱旋公演」としてキャンパスでその成果を披露しています。今年は4月25日・26日に大学3号館演劇スタジオにて、「アメリカ桜まつり『TAIKO & DANCE 2026』凱旋公演」を開催。海外公演を経て一回り大きく成長した学生たちが、観客へ魂を揺さぶるステージを届けました。
この凱旋公演と米国での国際交流を報告します。

学生たちの躍動が観客を圧倒した凱旋公演

「ドーン、ドーン」という大太鼓の地に響くような低音で幕を開けた凱旋公演。まずは、「玉川太鼓」を担う3名の男子太鼓が、伝統的な奏法を基盤に全身を躍動させ、舞うように大太鼓、長胴太鼓、締太鼓を鳴り響かせます。
ダイナミックに打ち続けた次の瞬間、バチを振り上げて一瞬の静寂を醸成。音の余韻を破るように再び激しく打ち鳴らす姿は、武道のように凛として美しく、観客は圧倒的なエネルギーの渦に飲み込まれていきました。

精緻(せいち)を極めた演奏が終わると、鮮やかな鶯(うぐいす)色と桃色の着物に身を包んだ女子学生が、赤い傘を手に登場。創作民俗舞踊「八木節」が披露され、舞台は一転して華やかなムードに包まれました。
指先まで神経を行き届かせ、上半身を揺らさず摺り足で移動する学生たち。一糸乱れぬ静止の瞬間には、鍛えられた体幹と筋力が生み出す抑制された美が宿ります。誰もが終始涼やかな笑顔で踊っていましたが、演舞を終えて満席の客席から拍手を受ける時、肩で息をしている姿が懸命さを物語っていました。

70分間の凱旋公演では、玉川太鼓5演目と創作民俗舞踊4演目を交互に演じ、最後は全員揃ってフィナーレ(創作民俗舞踊)を飾りました。
創作民俗舞踊は、北関東の盆踊り「八木節」をはじめ、島根の民俗舞踊「銭太鼓」、琉球民謡の「琉球」、津軽じょんがら節で踊る「じょんがら」と、北から南まで日本各地の風土と感性を美しく表現。玉川太鼓も、2015年に作調された「響」、武士が戦場を馬で駆ける姿をイメージした「零」、平和への絆を願う「連」、大地へ感謝する「感謝(クンサー)」、そして今年の新作「鉄心」とバラエティに富んでいました。とくに「連」は男女混合の編成で、男子太鼓の力強さに女子太鼓の華やかさと柔らかさが加わり、新しい魅力を発信していました。

「芸術による対話」が育む、日本人としての自覚と表現者の誇り

学生たちが米国から帰国したのは、凱旋公演の10日ほど前です。彼らは、4月4日から14日までの11日間、春学期集中科目「国際研究A/B/C(アメリカ桜まつり)」と「フィールドワークA/B/C(アメリカ桜まつり)」の一環として、フィラデルフィア近郊とワシントンD.C.で6公演を行いました。

「国際研究」では、米国内での日本の文化芸術の受容や国際交流のあり方を調査しながら作品創作に取り組みます。一方の「フィールドワーク」は、ワシントンD.C.日米協会をはじめとする各団体との連携に基づき、教育的交流を実践する場です。
今年は、2年生から4年生までの19名が履修。12月のオーディションを皮切りに、2ヶ月間厳しい稽古と準備に心血を注いできました。

その成果発表の舞台は、フィラデルフィア近郊のスワスモア大学(Swarthmore College)とウェストチェスター大学(West Chester University)からスタート。両校では太鼓と舞踊のワークショップも実施され、大学生たちとの交流も深めました。
その後、ワシントンD.C.に移動してケネディセンター(The John F. Kennedy Center for the Performing Arts)という大舞台へ。翌日からは「アメリカ桜祭り(2026 National Cherry Blossom Festival)」に参加してパレードや公演を行いました。
どのホールも300〜400人の観客が集まり、スタンディングオベーションも経験。学生たちは、国境や文化を越えて心に表現が届くという「芸術による対話」を体験しました。また、舞台スタッフを担った3名の学生も、プロの劇場の「仕込み」や「機材オペレート」といった生きた現場に深く関わり、大きな糧を得ました。

今年も玉川太鼓と創作民俗舞踊は言語の壁を軽々と飛び越え、「目に見えない日本の価値観や美意識」を人々の本能に訴えかけました。一打を放つ構え、踊り終えた後の静かなお辞儀など、「礼」の精神が宿った所作は誰の目にも美しく映ったはずです。
多くの賞賛と声援を得て、学生たちは日本人としての自覚と、表現者としての自己肯定感を飛躍的に高めました。

玉川大学の海外公演の歴史は長く、1961年の米国・メキシコ公演まで遡ります。アメリカ桜まつりへの参加も2003年にはじまり、毎年(コロナ禍を除く)行われて今年で20回目を迎えました。これからもアメリカ文化の「ホンモノ」を体験すると同時に、日本の伝統芸能の「ホンモノ」を伝えていきます。

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