『全人』2016年2月号 No.802より
2016年2月号 No.802
生徒たち自身が主体的に学ぶアクティブラーニング──大学のみならず学習のありように変化が求められていますが、アクティブラーニングはもとより玉川学園の自学自律の学びの根幹です。
昨秋、玉川学園で開催された第4回探究型学習研究会は、K-12の学びの成果を発表し、探究心、思考力を培う教育の可能性を探るもの。学習研究会と研究週間には学内外から多くの教育関係者が集いました。英国からデービッド・セルビー博士を迎えての基調講演、ジャーナリストの池上彰氏による特別講演ほか、授業公開や学びの技のポスターセッション、ワークショップなど、内容の濃いプログラムでした。
2月号特集では「グローバル時代のアクティブラーニング」と題し、この第4回探究型学習研究会の模様を誌上でレポートします。
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ともすれば曖昧な意味合いになる「アクティブラーニング」における不可欠な要素について解説もありました。
教師は知識の伝達者から学びの過程のファシリテーターへと移行すること。小さなグループやクラス全体での相互的、対話的なディスカッションを行うこと。そして、感情を尊重し、体験型で想像力と行動を伴う学びであること。
教室での学びと感情は相容れないように捉えられがちです。しかし、例えば難民問題など、ある状況に身を置いて感情移入したり、立場を思いやる学びは重要で、学ぶテーマが生身の人間の物語としてイメージできたときこそ、共感や行動につながり、新しい視点から世界を見ることになると示されました。「失われた鍵を求めて(第4回探究型学習研究会 基調講演報告)」 デービッド・セルビー p4
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国際理解で大事なのはとりわけ宗教に対する考え方です。以前、イスラム教が国教のサウジアラビアで日本の若者が入国カードの宗教欄に「NONE」と書いて身柄拘束され、国外追放処分になりました。なぜか。信じる宗教がないなら、神をも恐れぬ犯罪を犯すテロリストかもしれない。そんな危険人物を入国させられないのです。
「信じてる宗教ある?」「いや、そんなものないよ」と日本だと普通に言うんですけど、世界的には何か信仰があって当たり前、海外で「無宗教です」と言うのはとてもリスクがあることは知っておきたい。(略)
最初に日本人の宗教観の不思議さを紹介しましたけど、逆に言えば私たちはそれぞれの宗教をありのまま尊重する文化を持っているということです。そして、皆さんは世界中どこに行っても、またどこから人が来ても、自分とは違う考えや価値観を尊重する。そういう寛容さがこれからのグローバルな社会の中で非常に大事だと思います。「イスラムを知るために:真の国際理解とは(第4回探究型学習研究会 特別講演抄録)」 池上 彰 p14
目次
- [特集]グローバル時代のアクティブラーニング
玉川学園 第4回探究型学習研究会
基調講演 失われた鍵を求めて デービッド・セルビー
& ポスターセッション公開 学びの技/SSH
ワークショップ レジリアンスを育む学び グローバル教育の新しい広がり
授業公開 World Studies/科学英語/倫理、政治・経済/模擬国連
分科会 模擬国連/SGH/理系現代文/学びの技
講演 イスラムを知るために:真の国際理解とは 池上 彰
K-16で取り組むアクティブラーニング
故きを温ねて 31
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