『全人』2017年4月号 No.815より
2017年4月号 No.815
書くことは、考えること――今回の特集は「書く力」。玉川学園・玉川大学では、自ら考える力を育み、学びの成果を伝えるための「書く力」を培う取り組みを幅広く展開しています。
思考ツールを活用して作文を書く低学年に始まり、表現方法の幅を広げる中学年、自ら選んだ研究テーマで論文執筆にチャレンジする高学年、アカデミックな文章術を学ぶ大学まで、さまざまな実践を紹介します。
巻頭では『絶対音感』『星新一』『セラピスト』など話題作を発表し続けているノンフィクションライターの最相葉月さんに、調べて書くことの意義を伺いました。
「行事報告」は、「玉川-ハーバード・グリークラブ音楽交流 2017」について。創立者小原國芳の想いを受け継ぎ、50年の時を経て実現した国際交流の模様を、国際教育センターの大谷千恵 副センター長が詳しく紹介します。

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『絶対音感』『青いバラ』など多くの著書を持つ、ノンフィクションライターの最相葉月さん。北九州市子どもノンフィクション文学賞の選考委員も務めている
SNSで誰でも気軽に発信できる時代です。体験や思いを一刻も早く伝えたくて利用する人も多いでしょう。でもそれは一瞬のことで、書くときに立ち止まって考えたりしないのでは? 「こう書いたら、読む人はどう感じるかな?」 と熟考して書く機会がいま、減っているのかもしれません。(略)
「はじめに言葉ありき」とは聖書の一節ですが、人と人は言葉のコミュニケーションでつながっています。言葉を介した「書く」「読む」は、空間も時間も超えるコミュニケーションです。
私は書く人と読む人が世界を形づくっていると思っているんです。紙とペンがあれば誰でもその一員になれる。それはあなたが世界を生き抜く力を手にするということでもあります。
あなたが書けば誰かに伝わり、読んでくれた人もいつか何かを書く。このつながりの中に、みなさんも入ってきてくれることを願っています。「書くことは新しい世界に踏み出すこと 最相葉月」 p4
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ハーバード・グリークラブはアメリカ最古の大学男声合唱団。玉川に2日間滞在し、児童、生徒、学生との交流を楽しんだ
玉川とHGC の交流は、1963 年に来園した1人のアメリカ人高校生と創立者小原國芳の出逢いからでした。この高校生がのちにHGC の一員となり、1967 年に公演のため再来日。HGC のメンバーたちとともに玉川を訪れ、友情や信頼を深めました。当時の玉川にはコンサートホールがなかったため、創立者は「次にいらっしゃるときまでに、コンサートホールを用意しておきます」 と約束します。
それから50年を経て、約束通りUniversity Concert Hall 2016 で「玉川-Harvard Glee Club 音楽交流2017」 が実現しました。「玉川-ハーバード・グリークラブ音楽交流2017」大谷千恵 p20
目次
- [特集]書く力
interview
書くことは新しい世界に踏み出すこと 最相葉月
書く力を育む実践
低学年
100枚日記/絵日記/読書感想文/リーフレット
中学年
自叙伝/ノートまとめ/書籍紹介POP
高学年
自由研究
大学
一年次セミナー
故きを温ねて 44 「綴方の本質は文字を通しての自己表現」…白柳弘幸 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 行事報告
玉川-ハーバード・グリークラブ音楽交流 2017…大谷千恵 - 玉川のアクティブ・ラーニング 7
経営学部国際経営学科 島 義夫 教授の授業 - 生涯学べ 49
遠藤由香利 宮城県仙台市立木町通小学校教諭 - 研究エッセイ
アートを共有する空間と時間…椿 敏幸 - 玉川玉手箱 11
それは、心をつくる要素かもしれない…宇井美代子 - 今月の一労作 39
段ボールの家 - 学園日誌…小原芳明
- Book Review 145 『街場の文体論』…鈴木シルヴィ
- 教育博物館館蔵資料紹介 297 「教草第一 稲米一覧」…柿﨑博孝
- 玉川の仲間たち 「アライグマ」…關 義和