『全人』2018年7/8月号 No.829より
2018年7/8月号 No.829
国際観光客到着数が過去最高の13億人を突破し、訪日外国人数も3,000万人に迫るなど、観光産業に熱い視線が注がれています。玉川大学観光学部は、グローバル化社会の観光人材の育成を掲げて2013年4月に開設されました。1年間のオーストラリア留学を含んだ4年間の学びの概要を、語学力のスコアや就職率などにあらわれた成果とともに紹介します。「玉川の先輩を訪ねて」は山形の温泉旅館、桜桃の花 湯坊いちらく社長の佐藤哲也さんが登場。90年代から海外からの集客に力を入れるなど“オンリーワン”をめざした経営哲学を披露してくださいました。「研究エッセイ」は、K-16体育科教員7名が参加したオレロップ体育アカデミー(デンマーク)の研修報告。研修の目的や交流の模様、そして両校のさらなる連携や新しい研修プログラムの開発構想などについて、教育学部の工藤亘准教授が語っています。
表紙写真=岩崎美里

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観光学部4年生の授業「異文化交流論」の1コマ。留学中の経験をもとに、異文化間の摩擦の事例から要因、解決方法までを学ぶ
留学で多くの学生が高い英語運用力を身につけており、確かに成果は上がっています。でも満足はしていません。それは「(頑張って成果を上げている)できる学生をさらにできるようにする」のが本学部の使命だからです。
1年次の英語シャワープログラムと2年次夏からの1年間の留学を終えた2015年度入学生82名のうち、その4分の3がすでに卒業要件のひとつである700点以上のスコアに達しており、最高点は970点となっています。それは観光学部生の優秀さと、玉川の教育力が証明された結果だと思います。
多民族国家である豪州への留学は、高い英語運用力の修得だけでなく、異文化を受け入れ、積極的に異文化と交流できるグローバル力を育むことも目標としています。「いきた英語力と社会に役立つ人間力が身につく4年間」香取幸一 p10
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1981年農学部農学科卒業の佐藤哲也さん。山形県天童市にて、多くの訪日外国人客にも愛される温泉旅館「桜桃の花 湯坊いちらく」を営み、国内外に山形の魅力を発信している
バブル期は周囲が規模拡大に走るなか、規制もあって大きな増築はできなかった。他県の旅館買収も検討しましたが、ウチの規模では無理。生き残るためにじゃあどうするか?
大規模な旅館がつかまえられないマーケットもあるはずだと踏んで、「オンリーワン」をめざす経営に舵を切ったんです。(略)
こうした小さなことでもお客さまのために心を尽くして一生懸命やる。これがわれわれの楽しみでもあります。
山形の名産サクランボで地ビールをつくりたくて、館内にブルワリー(醸造所)を設置したのも、オンリーワンの考えからです。「ここでしか飲めない」ものは、お客さまが来てくださる理由になるはずだって考えたんです。玉川の先輩を訪ねて 77 佐藤哲也 p14
目次
- [特集]未来をひらくツーリズム
STUDY ABROAD 世界の観光産業で輝くために
INTERNSHIP IN AUSTRALIA 豪州最大級の博覧会でインターンシップ
観光学部 授業ルポ
異文化交流論 鈴木シルヴィ
観光経営学 A 庄司俊夫
イベント・ツーリズム 根木良友
デスティネーション・マーケティング B 三木日出男
観光学部の成果
夢を実現する4年間の学び
故きを温ねて 58 「小原國芳のおもてなし」…白柳弘幸 - 玉川の先輩を訪ねて 77
桜桃の花 湯坊いちらく社長 佐藤哲也 【農学部農学科1981年卒業】 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 行事報告
大学院研究科交流会…相原 威 - 研究エッセイ
デンマーク体操を礎とした健康教育の発展に向けて…工藤 亘 - 数字でみる玉川 2
留学生派遣 - 教育探訪 2
高齢者は大学を変えるか…中西 茂 - キャリアナビゲーション ’18
理学療法士・池上整形外科勤務 清水麻美子さん+就活Q&A - 学園日誌…小原芳明
- Book Review 159 『昆虫はすごい』…堀 葉月
- 平成29年度寄付受理ご報告
- 教育博物館館蔵資料紹介 311 「新撰 理科讀本 第一」…宇野 慶
- 玉川の仲間たち 「ルリイトトンボ」…横倉 啓