『全人』2020年11月号 No.854より
2020年11月号 No.854
興味や関心を入り口に、「本物にふれる」体験に重きを置くK-12社会科の教育実践を特集。授業での取り組みを教員たちが紹介するほか、創立期から学内外で盛んに行われた考古学研究の歴史も振り返ります。「研究エッセイ」では「『娯楽の邦楽』『教養の洋楽』 その図式の源流をたどるポピュラー音楽研究」をテーマに、日本の音楽文化のあり方とその歴史をリベラルアーツ学部大嶌徹助教が探ります。「玉川の先輩を訪ねて」には、和洋菓子や茶葉などの「食」にかかわるパッケージやロゴなどのデザインで知られるデザイナーの粟辻美早さんが登場。デザインの本質、デザイナーの役割についてうかがいました。
表紙写真=岩崎美里
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以前、授業で子どもたちに見せた黒曜石などは、今も教室で保管しています。本物には説得力がある。黒曜石の塊を目の前で削って、そのかけらを「欲しい?」と聞くと、みんな「欲しい! 」と。無条件にすごいと思うことは、深く印象に残るのです。
黒曜石は限られた場所でしか採れません。縄文時代、黒曜石がほしかった人はどうやって手に入れたと思う? 自分で探しに行く? 何かと交換したのかな? 子どもたちとやり取りを重ねることで、歴史だけでなく地理や経済を理解する素地ができていきます。過去に何があったかを知るだけではなく、自分だったらどうするかという視点が育まれるのです。「自分の目でたしかめて実感する楽しさ」小宮山 拓 p4
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デザインってもはや特別なものではないですよね。起きて寝るまでの生活のすべてにデザインが関わっています。デザインには、生活を豊かにしたり、考え方やしくみを変える力があります。あとは自分が何にこだわって、どんな生活をするか。着るもの、食べるもの、行く場所、見るものなど、日常を大切にして、生活の中にデザインとの関わりを多く持ってほしいですね。
デザイナーをリレーに例えると、クライアントから渡されたバトンを、相手の意思や意図を受け継ぎながらアンカーにつなげる仕事でしょうか。相手の立場になって考えられないと、いいデザインは生まれないんですよ。玉川の先輩を訪ねて 87
デザイナー・粟辻デザイン代表 粟辻美早 【高等部1984年卒業】 p22
目次
- [特集]歴史に学ぶ
1~5年生
「自分の目でたしかめて実感する楽しさ」小宮山 拓
「歴史を学ぶ理由はより良い未来を生きるため」葛西宏志
玉川学園の考古学研究 教育博物館 菅野和郎
6~8年生
「日本刀を通して歴史を考える」佐藤二郎
「体験から時代を想像する自由研究」東條輝正
9~12年生
「歴史の全体像を理解し問題解決の糸口を探る」阿部恭士
「生徒と教員が共に考え答えを導く」有光正哉
文字の成り立ちを学び 筆に気持ちを込める 6~8年生 真下郁代
故きを温ねて 83 「世界の共同舞臺に立つて文化建設」…白柳弘幸 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- EDUCATION REPORT オンラインのペガサス祭
- 研究エッセイ
「娯楽の邦楽」「教養の洋楽」その図式の源流をたどる
ポピュラー音楽研究…大嶌 徹 - 玉川の先輩を訪ねて 87
デザイナー・粟辻デザイン代表 粟辻美早 【高等部1984年卒業】 - K-12 海外交流校レポート 2 オーストリア テレジア校
- 玉川玉手箱 29 今までできなかったことも…南島永衣子
- 数字でみる玉川 14 松陰橋
- Teaching @ Tamagawa 15
Libraries as the Heart of the Community…Tiina Matikainen - キャリアナビゲーション’20
アサヒビール株式会社青森支店 有角一成さん+就活メッセージ - 学園日誌 小原芳明
- Book Review 184 『就職先は森の中』…須賀恭平
- 教育博物館館蔵資料紹介 336 「儒者競」…菅野和郎
- 玉川の仲間たち 「カイコ」…佐治量哉