『全人』2021年6月号 No.861より
2021年6月号 No.861
細菌、真菌などに分類される単細胞生物で、未解明なものが多い「菌類」は、人間のくらしに役立つさまざまな可能性を秘めています。玉川大学農学部と学術研究所 菌学応用研究センターでは、独自の菌株ライブラリを活用した菌類研究に取り組んでいます。身近なようで意外と知られていない「菌類」と「菌学」の世界にご案内します。「研究エッセイ」には、中学校課程技術・家庭科で技術分野の指導を担当する山田真也教諭が寄稿。問題解決学習とキャリア教育の視点で取り組んだ、生きる力を育む授業の実践を報告します。
表紙写真=岩崎美里
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地球上には膨大な種類の「菌」が存在しています。しかし名前がつけられ、図鑑などに載るようなものはほんのごく一部です。
菌類は推定で150万種いると考えられ、これまでに発見されたり、研究されているものはおよそ10万種。全体のわずか6.5%にすぎません。
これらの菌類を研究するのが「菌学」です。菌類には未解明なものが多く、発展途上の分野でもあります。
私たちはたくさんの菌類に囲まれています。なかでも死んだ動植物を分解する性質を備えるきのこは、食用だけでなく、コレステロールやアレルギー反応などを抑える医薬品、殺菌剤などの農薬、ガムなどの口臭予防成分、ジーンズの漂白剤、パルプの製造などに活用され、多様な製品に形を変え、私たちのくらしに役立っています。「ようこそ、菌類の世界へ」石﨑孝之 p4
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今日から始まる大学生活は将来を見据えた学修の機会です。各自の夢の実現に至る学問の道は厳しいでしょうが、積極的に努力を積み重ねてください。
英語でIdealsは人生の究極的な目標を意味します。君たちにはIDEALSをそれぞれの立場から考える学生であってほしいと願っています。
IDEALSとは、International perspective:国際的見地、Democracy:民主主義、Environment:自然の尊重、Adventure:リスクを恐れない開拓者精神、Leadership:先取の気概と行動力、Service:利他の精神と社会貢献の6つの価値観です。
今日は主にInternational perspectiveとDemocracyについて話します。
International perspectiveは現代社会のいっそうの国際化が背景です。グローバリゼーションにより、ヒト、モノ、カネの3要素が国境を越えて動くようになり、政治や経済活動は大きく変化してきました。2019年来、3要素以外にも国境を越えて動いているのが新型コロナウイルスです。現在はこの4番目の要素が原因して3要素の動きが止まっているかのようで、今後数年間にわたり人類はこのウイルスとの闘いを強いられるでしょう。しかし、やがて以前に増して、国際化は進むと考えられます。「令和3年度 玉川大学・玉川学園入学式訓辞」
小原芳明 p14
目次
- [特集]菌学への招待
ようこそ、菌類の世界へ
農学部 石﨑孝之
玉川の仲間たち【きのこ編】
農学部生産加工室監修 からだがよろこぶきのこ料理
玉川の微生物研究
故きを温ねて 90 「自ら掴み、發見し、學ぶ敎育に」…白柳弘幸 - 令和3年度 玉川大学・玉川学園入学式訓辞 小原芳明
- TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 玉川大学名誉教授称号記授与報告
- 令和2年度 卒業生からのメッセージ
- 研究室訪問 2 工学部 斉藤 純
- 生涯学べ 70 有川智己 慶應義塾大学経済学部教授
- 研究エッセイ 社会とつながる技術・家庭科の授業…山田真也
- 脳科学相談室 2 効果的な暗記方法はありますか? …酒井 裕
- 教育探訪 18 転機の時代の新入生…中西 茂
- キャリアナビゲーション’21
MSC JAPAN 藤原悠城 さん+就活Q&A - Book Review 191 『チョコレート工場の秘密』…佐々木 梢
- 教育博物館館蔵資料紹介 343 「日本國産食用蕈類一覽圖」…宇野 慶
- 玉川の仲間たち 「オニヤンマ」…横倉 啓