『全人』2021年9月号 No.863より
2021年9月号 No.863
2021年度から、「音楽学科」「アート・デザイン学科」「舞踊・演劇学科」の3学科体制でスタートをきった玉川大学芸術学部を特集。アートを通じて成長し、アートを介して社会貢献できる表現者、教育者、理解者を育てる授業実践を紹介します。「研究エッセイ」では芸術学部の村山にな教授が、社会や環境の変化と密接にかかわるアートのあり方を問い、現代アートにおける表現の変遷などを探究します。9月号から新連載「ものづくり図鑑」がスタートしました。玉川の施設・設備を活用し、学部や専門領域の垣根を越えて完成した成果物を取り上げます。教育博物館の白柳弘幸専門スタッフによる特別寄稿「台湾にみる全人教育のひろがり」も収録しています。
表紙写真=岡村隆広

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音楽学科・音楽教育コースで今年度から開講された「和楽器指導法」。和楽器演奏の技術だけでなく、日本の音楽や文化を伝えられる音楽教員の養成をめざす
私たちがめざしているのは「芸術で社会に貢献できる人」。磨きあげた感性、実践や協働を通して学んだ知識と技能、さらには豊かな人間性を兼ね備えた人材です。
当然ですが玉川は美大や音大のような単科大学とは異なります。専門性の追究と同時に異分野にふれる機会が身近にあり、読む・書く・伝える・他者との協創、デジタルリテラシーなど、社会で必要とされる力を育む総合大学です。このバランスが、玉川の強みと特色だと考えています。
出発点は「自分のため」でいいんです。学びを重ねる中で自分と社会の接点を見出し、いずれは芸術で社会を発展させる人になってもらえたら。仮に芸術と直接の関わりがない職業に就いても、学びは幅広い分野で息づきます。「芸術の力を携えて社会へ」 芸術学部長 中島千絵 p4
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玉川学園出版部刊行『児童百科大辞典』の販売のため、1940年に台湾を訪れた塾生たち。今なお大切に保管している現地校の存在が、筆者の調査で明らかになった
研究の充実のため、当時の教育事情を学校所蔵文書からもとらえようと、2010年以降たびたび台湾各地の学校で調査訪問しました。嘉義市の崇文國民小学(旧玉川公学校)では、校舎に「全人教育溫馨校園」の掲示を見ました。
台北市立第一女子高級中学(女子高等学校)では「豊かな人文素養を育て上げ、全人教育の理想に」などと載る日本語学校案内冊子など、各地で思いがけないものを見いだしました。台中市の私立常春高級中学創立者の李園會校長は『小原國芳與全人教育論』を著していました。これらから、現在の台湾で全人教育がひろがっていることに気づいたのです。特別寄稿「台湾にみる全人教育のひろがり」白柳弘幸 p22
目次
- [特集]Artsで社会をつなぐ
芸術学部3学科&施設紹介
Interview
「芸術の力を携えて社会へ」芸術学部長 中島千絵
授業紹介
音楽学科
アンサンブルⅠ/和楽器指導法/音楽専門実技Ⅰ
アート・デザイン学科
メディア・デザイン・プロジェクト
メディア・デザイン研究Ⅰ/教育実習(事前指導)
演劇・舞踊学科
舞台技術基礎演習/演技・舞踊入門/芸術概論
成果発表
春学期野外公演「女の平和」/たまおん 2021
夏のMusic Cafe/ELECTRIC ENSEMBLE - 故きを温ねて 92 「眞の人間をつくる爲に、藝術敎育を高調する」…白柳弘幸
- TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 研究エッセイ
アートからの問いかけ…村山にな - 特別寄稿
台湾にみる全人教育のひろがり…白柳弘幸 - 研究室訪問 4 教育学部 武内麻美
- ものづくり図鑑 1 教育学部 山田徹志クラス
- Teaching @ Tamagawa 21 Language and Workout…Peter Macinnis
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- 玉川の仲間たち 「フクロウ」…關 義和