『全人』2021年10月号 No.864より
2021年10月号 No.864
地球上にさまざまな恩恵をもたらす生命のみなもとである「土」。世界の食料の約95%を生産し、環境保全と生態系を守る役割を担う土や土壌を特集します。土や土壌を理解し、親しむための基礎知識や、土に息づく作物・生物たち、学園周辺の地理や歴史、工芸品への発展などを切り口に本学教員にうかがいました。「EDUCATION REPORT」はK-12 Primary Divisionが昨年度の中止を経て、2年ぶりに行ったサマープログラムを紹介。「EDUCATION ANALYTICS」は2020年度 大学IRコンソーシアム学生調査をもとに、コロナ下の学びと学生生活を分析します。
表紙写真=岩崎美里

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学内に約30種超の生息が確認されているアリ。土中が高温多湿になるほど種数が増し、活発に活動する傾向がある。昆虫で唯一「腹柄節(ふくへいせつ)」という関節を持ち、土中で動きやすい構造になっている
土と聞くと、あなたはどんなものをイメージしますか。茶色といった色合い、ふかふかといった感触、人によっては臭いといった匂いを思い浮かべるでしょう。これらは土の「構造」に由来します。また、米や野菜などの作物を育てるもの、生き物のすみかといった「機能」を思い浮かべる方もいるでしょう。
土は石(無機物)や落ち葉(有機物)などが細かくなったものです。学術上では、地中深い下層にある母岩(R層)、その一部が風化し細かくなったC層、それらに腐植(動植物の遺骸が腐敗分解された物質)が少し混ざったB層、腐植を多く含み生物活動が活発なA層、動植物の遺骸が堆積したO層に分けられます。広い意味ではこれらすべてが「土」であり、特に有機物と無機物が混合した状態を「土壌」と呼びます。「土から視る自然」 農学部 友常満利 p4
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3年生のプログラムは学級混合で学内施設見学や消防訓練を実施。電気やガスなどが流れるパイプを地下に集約した「共同溝」見学の出発前
夏休み前、例年であれば各学年とも多様な校外学習や学内プログラムが実施されます。しかし昨年度は実施が叶いませんでした。そこで今年度は、児童たちが楽しみにしている行事をひとつでも多く、かつ安全に実施できるよう、Primary Division(1‐5)の教員が案を出し合い、「できないことは何か」ではなく「何ができるか」という観点でさまざまな条件を考慮し、検討を重ねてきました。
そうした思いのもと、1~5年生対象のサマープログラムが7月19、20日(4年生のみ7月15、16日も実施)に行われました。EDUCATION REPORT「Primary Division サマープログラム」 p16
目次
- [特集]土と生きる
土から視る自然 農学部 友常満利
作物が育つ良い土の構造 農学部 浅田真一
アリの体の不思議と多様な環境の大切さ 農学部 宮崎智史
玉川の地理と歴史 教育博物館 菅野和郎
玉川の大きな木とどんぐり 農学部 山岡好夫/教育学部 市川直子
伝統、産業、アートを生んだ「土」 芸術学部 椿敏幸 - 故きを温ねて 93 「植林とは山に木を植えるほか 心へ木を植える」…白柳弘幸
- TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- EDUCATION REPORT
Primary Divisonサマープログラム - EDUCATION ANALYTICS
2020年度 大学IRコンソーシアム学生調査 - 研究室訪問 5 文学部 森本 俊
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