『全人』2022年4月号 No.870より

• 乳幼児教育学、保育学、子育て支援が専門の、教育学部乳幼児発達学科 大豆生田啓友教授。幼稚園教諭や３児の父としての経験から、核家族化が進む現代の親子や社会のあり方を説く

  親、とくに母親に過剰な負担がかかっています。昔もそうだったと言われますが、それは違います。漫画の『サザエさん』で、サザエさんは四六時中タラちゃんのそばにいませんよね。適度な距離感を保てるのは大家族だからです。夫のマスオさん、叔父と叔母であるカツオとワカメ、祖父と祖母の波平とフネもいて、ひとりで街を出歩いて、伊佐坂先生のお宅などに出入りしている。つまり、「群れ育て」だったのです。
  昔の子どもは地域社会や自然の中でさまざまな大事な体験ができ、親以外の人やものに育てられました。だからサザエさんは笑顔でいられた。昔よりも子育て支援は整いつつありますが、母親の負担や孤立の問題は改善されず、コロナ禍がより悪化させています。

  子どもの個性を認めて親子で笑顔に
  大豆生田啓友　p4
  

• ゲーム実況グループ「三人称」では「鉄塔」名義で活動する賽助さん。YouTubeチャンネル登録者数が43.5万人を突破（2022年3 月現在）するほか、エッセイ『今日もぼっちです。』（ホーム社）がベストセラーになるなど、多くの支持を得ている

  振り返ると、大学生になるまでもっとも重きを置いていたのは「失敗しないこと」でした。授業では変なことを言わず、なるべく目立たずにいる、みたいな。今はエッセイや雑談動画を配信しているおかげで、ずいぶん気が楽になりました。失敗してもネタにして書けばいいし、話せばいいんだって。
  ドラマのオファーをいただいたときも下手だったらどうしようと、実は不安で。僕だってそれなりによく見られたい。でも、下手なら下手でいいや。失敗したらそのときは怪我して痛いけど、最終的に面白い表現にしちゃえばOK、と考えられるようになりました。
  もし発表の場がなかったら、何事にも慎重だったでしょうね。でも今は失敗したっていいでしょう、という気持ちが強い。これからも活動的なぼっちとして、いろいろなことに挑戦していきたいです。

  玉川の先輩を訪ねて　92
  作家・ゲーム実況者　賽助【文学部芸術学科2003年卒業】　p20
  

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目次

• ［特集］親子をかんがえる
  子どもの個性を認めて親子で笑顔に　大豆生田啓友
  親が子どもに絵本を読み聞かせる意味　田甫綾野
  数値化できない能力こそよく見て育む心構えを　山田徹志
  子どもの不確実な言葉を受け止める　山田深雪
  子どもを運動好きにする親のかかわり方　南島永衣子
  親子のつながりから社会のあり方を考える　今尾佳生
  故きを温ねて　99　「小原國芳の父と母」…白柳弘幸
• TAMAGAWA GAKUEN NEWS
• EDUCATION REPORT
  芸術学部芸術教育学科 卒業プロジェクト 2022
• RESEARCH REPORT
  Human Brain Science Hall 竣功記念講演会
• 講演抄録
  玉川学園K-16教育研究活動等有識者会議
  今後のオンライン教育について　東京学芸大学 高橋 純
• 玉川の先輩を訪ねて　92
  作家・ゲーム実況者　賽助【文学部芸術学科2003年卒業】
• 研究室訪問　11　工学部 塩澤秀和
• 生涯学べ　73　高橋 泰 山梨県立宝石美術専門学校教授
• Teaching @ Tamagawa　25　Better Together …David Cooper
• 脳科学相談室　8　習い事が中途半端に終わってしまいます。…武井智彦
• キャリアナビゲーション’21
  株式会社理研グリーン 産薬事業本部 吉村光太さん＋就活Q&A
• 学園日誌…小原芳明
• Book Review　200　『翻訳できない世界のことば』…田中圭介
• 教育博物館館蔵資料紹介　352　「ヱホンABC」…宇野 慶
• 玉川の仲間たち　「アキアカネ」…横倉 啓