『全人』2023年3月号 No.880より

• 霜が降りた早朝の畑でダイコンを収穫し、満足そうに教室へと戻る５年白樺組の児童たち。引率・指導は理科担当のザッカリー・パーリー教諭

  冬本番を迎えて年の瀬が近づくと、キャンパスや駅構内で、袋からはみ出さんばかりに葉がついた泥つきダイコンを抱えた玉川っ子を見かけるようになります。
  玉川学園では創立期から児童生徒や塾生たちが丘の開墾（かいこん）や植林活動、作物栽培などに励み、体験を重視した労作教育に取り組んできました。身近にある自然に親しみ、科学的根拠に基づいた視点や考え方などを養い、本物にふれての観察や体験を通して、主体的に探究する心を育んでいく－－。現在もつづく季節にあわせた作物の栽培は、伝統ある教育活動のひとつです。

  「みんなで育てる」５年生［理科］　p4

• 2013年、岩手県陸前高田市の矢作小学校体育館での演奏。2010年に北海道で訪問演奏を開始し、翌年には1993年7月に発生した北海道南西沖地震の追悼演奏のため、奥尻島を訪れたオーケストラ部。2013年からは東日本大震災の被災地を訪問し、2022年度で10周年を迎えた

  2014年に訪問した大槌小学校は津波で校舎の大半を失い、近隣3つの小学校と統合され、プレハブの仮設校舎で学んでいました。校長先生からは、震災から3年が過ぎて児童の境遇の格差が表面化し、精神的に不安定な状況が浮き彫りになっている実情を聞きました。音楽を通して少しでも希望が持てるように、心が育つように、と校長先生は願っておられました。
  2年つづけて訪問した気仙沼市、唐桑（からくわ）保健福祉センターの燦（さん）さん館では、一人の生徒が「去年よりも上手になったわね」と呼び止められ、「驚かないでね。実は津波で流されてしまった孫にあなたがそっくりなのよ。だから去年はとても驚いたの。今年も演奏にやってくると知り楽しみにしていたのよ。一年ですごく上手になるのね。これからも頑張ってね」と声をかけられる場面もありました。

  実践レポート
  玉川学園オーケストラ部 北海道・東北での訪問演奏をふりかえる
  鈴木孝春　p20

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目次

• ［特集］丘に学ぶ
  　みんなで育てる ５年生［理科］
  　藍で染める IB６～８年生［自由研究Handcraft］
  　土とふれあう 幼稚部 ／泥んこになる ２年生［総合科］
  　親子でつくる １年生 ／教材として生かす ５年生［家庭科］
  　豊かな環境をつくる 農学部環境農学科
  　作物から学ぶ 農学部生産農学科［植物科学領域］３、４年生
  　花を植える リベラルアーツ学部１年生
  　未来に生かす 教育学部［理科・環境教育ゼミ］
  　丘のいきものたち
  　丘から見える山並み
  　玉川の桜
• TAMAGAWA GAKUEN NEWS
• CAMPUS TOPICS　南さつまキャンパスを拡充
• CAMPUS TOPICS　 K-12東山校舎 マリア像聖壇完成
• 実践レポート
  玉川学園オーケストラ部 北海道・東北での訪問演奏をふりかえる…鈴木孝春
• 令和４年度　礼拝献金についてのご報告
• 玉川玉手箱　39　新しい世界を何度でも…髙橋 愛
• 玉川発見伝　37　玉川学園のランドセル…モリナガ・ヨウ
• 脳科学相談室　13　なぜ絵の中のリンゴは食べられないのだと思うのでしょうか…佐藤由紀
• 研究室訪問　20　経営学部 矢野尚幸
• キャリアナビゲーション’22
  群馬県農業技術センター 園芸部 茂木隼介さん＋就活Q&A
• 学園日誌…小原芳明
• Book Review　210　『GIVE & TAKE』…法島正和
• 教育博物館館蔵資料紹介　362　「新版 しんこくご 一ねん下」…宇野 慶
• 玉川の仲間たち　「オツネントンボ」…横倉 啓