『全人』2023年12月号 No.888より
2023年12月号 No.888
2022年度に玉川のキャンパスから排出されたごみ・資源の総量は約184トン。資源に再生されたものが約139トン。残りの約45トンも、さまざまなプロセスを経て、資源化が図られています。どうすればごみの量を減らしていけるでしょうか。巻頭の「身近な資源」特集では、ごみ削減をめざす玉川の挑戦やK-12の活動などを報告。ごみ清掃員兼お笑い芸人のマシンガンズ 滝沢秀一さんのインタビューや、伊藤信太郎環境大臣からのメッセージも収録しています。「生涯学べ」は茨城県立石岡特別支援学校で指導する櫻井登志子教諭。第95回を迎えた「体育祭」の模様は、児童・生徒・学生の作文と写真で紹介します。
表紙写真=岩崎美里

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お笑い芸人・マシンガンズとして活躍する傍ら、2012年からごみの回収を行う清掃員の仕事も続けている滝沢秀一さん。20年環境省「サステナビリティ広報大使」に任命されたほか、『ごみ育』などの著書も多数
「ごみはウソをつかない」「地域の品格は集積所でわかる」「分別をしない会社は6年以内につぶれる」とつぶやいたところ、大反響がありました。
ごみの出し方にはどうしても人間性があらわれます。人や物へのリスペクトがあるかどうかが集積所から透けて見えてしまう。だからぼくはリユース、リデュース、リサイクルの3Rを、つくった人や清掃員へのリスペクトを加えた4Rに、と伝えています。
いまは清掃員の仕事は週1回程ですが、ライフワークとしてつづけています。仕事から帰るときも駅から家までのごみをコンビニ袋に拾い集めます。もともとそんな人間ではなかったんですが、仕事がぼくを変えました。
「足もとの紙くず一つ拾えぬ程度の人間に何ができよう」
大きな感銘を受けた森信三(もりのぶぞう/1896‐1992)という教育者の言葉です。それぐらいもできない人間が、確かに何を成し遂げられるのかなって。ごみは「ゼロ」にできる
ごみ清掃員・お笑い芸人 マシンガンズ 滝沢秀一 p4 -
幼少期をロサンゼルスで過ごした経験から、国際移動(グローバルモビリティ)研究に取り組む山田講師。移民となった個々の事情や背景はさまざま。学生には客観的な分析の重要性を伝えている
在ロサンゼルスの新一世を研究したときは、日本の食材を揃えている日系スーパーマーケットに行き、来店する日系人を待って話しかける――といった地道な作業もしました。長い時間をかけて研究対象と関係をつくり、対話を繰り返すからこそ新たな発見もある。それが質的研究の醍醐味です。
最近では、コロナ禍以降に顕著になった、インターネット経由の情報をもとに移動する人々、すなわち「デジタル移民」も研究対象にしています。ネット環境があれば、YouTuber発の留学・移住関連の情報を入手でき、行動に移せます。留学・移住といった国際的な移動が、その人の持つ経済資本や文化資本に依存していた時代から、ダイナミックに変化しているのです。
生き延びるために紛争地を離れ、他国へ移動するのと異なり、日本からの移動は、より良き自己実現やキャリア上のレベルアップという側面が強くあります。野球の大谷翔平選手も一例です。国際的な移動は国や社会を映す鏡。研究を通して、日本人や日本のあり方を明らかにしたいと考えています。研究室訪問 27
リベラルアーツ学部 山田亜紀講師 p26
目次
- [特集]身近な資源
interview
ごみは「ゼロ」にできる
ごみ清掃員・お笑い芸人 マシンガンズ 滝沢秀一
私たちの身近なごみを知る
やってみよう! エコすごろく
K-12の学びと活動
伊藤信太郎環境大臣メッセージ 身近な問題に取り組める人に - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- CAMPUS TOPICS 工学部エンジニアリングデザイン学科 台湾研修
- 玉川学園・玉川大学 第95回体育祭
- 脳科学相談室 19 ロボットを不気味に感じるのは? …岡田浩之
- 玉川発見伝 39 奈良池 モリナガ・ヨウ
- 研究室訪問 27 リベラルアーツ学部 山田亜紀
- 生涯学べ 82 櫻井登志子 茨城県立石岡特別支援学校教諭
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