『全人』2024年4月号 No.892より
2024年4月号 No.892
巻頭特集の「『食』と向き合う」では、ひとが生きていくために必要な「食」を切り口に、玉川学園・玉川大学が実践する最新の教育研究活動を掘り下げます。2年生児童による稲作や三國清三シェフの味覚教育、農学部の教育研究などをピックアップ。教育学部 中西茂教授の「教育探訪」は今号で最終回を迎えます。「研究エッセイ」は玉川大学と港区立青山中学校、都内の美術館が協働する美術の授業実践について、教師教育リサーチセンターの福井正仁客員教授が報告します。「研究室訪問」では芸術学部アート・デザイン学科の児玉沙矢華講師にインタビュー。写実的な大作を描き続けてきた経験に基づく描画指導の様子、学生の声などを紹介しています。
表紙写真=岩崎美里

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「先端食農実習」におけるアイスクリーム製造。応用的に学びたい学生は夏季・春季の休暇期間中に集中開講する「食品加工実習」を履修できる
農学部では、主に先端食農学科の学生が、「先端食農実習」で食品加工について学びます。使用する施設は、学内のFood Science Hallです。
実習では、学内農場で収穫したキウイフルーツを使ったジャムをはじめ、豆腐、アイスクリームなどをつくります。北海道と鹿児島にある学外施設の収穫物を使用することもあります。 食品加工を経験することで、学生は製造技術だけでなく、食材の機能性や食品衛生、科学的な変化などを学修して食品全体への理解を深めます。
私たち技術指導員は購買部の販売する「たまがわはちみつ」「たまがわアイス」などのオリジナルブランドを監修しています。さらに体育会陸上競技部 女子駅伝チームの栄養指導など、食を通じた学内連携をこれからも広げていきます。農学部の教育研究
先端食農学科 技術指導員 勝又美紀 p9 -
作家、教員、研究者の「3足のわらじ」を履く児玉講師。芸術学部が企画・運営を担うTamagawa Art Gallery Projectsをはじめとするイベントへの参加を通じ、芸術を介して人とかかわる礎を学生たちに築いてほしいと語る
描くにあたり、オリジナルの技法をつくることも重視しています。今日まで多くの画家が、古典絵画に使われた卵や油絵具、樹脂や顔料など、材料の配合の違いで生まれる表現を研究してきました。私自身の絵の具のレシピや技法をつくりあげ、独自の絵肌や質感を出すことで、新しい表現につなげたいと思っています。
美術教育の研究者としての主なテーマは描画指導で、実践を通して新しい授業の方法を開発するなどしています。たとえば絵を描く前に、貝殻を金槌で粉末に砕き、絵の具をつくるところから始めてみる。生徒たちが素材の調合によって絵の具が変わり、表現も変わることを知れば、美術自体への興味を深めるきっかけにもなると考えています。同時に「貝殻の主成分は炭酸カルシウムである」と知ることは、化学の学習につながるなど、分野横断の広がりが期待できます。研究室訪問 31
芸術学部アート・デザイン学科 講師 児玉沙矢華
p26
目次
- [特集]「食」と向き合う
2年生児童が総合科で取り組む お米の学習
三國清三シェフによる五味体験 ミクニレッスン
脳科学相談室【番外編】食生活は脳の健康にも影響を与えますか?…奥村 哲
農学部の教育研究
地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)
農学国際協力/未来型農業/食品加工実習/園芸班
学外施設の取り組み
北海道 弟子屈農場/南さつまキャンパス
食と体験を通じて地域とつながる
地域のこども食堂で生徒学生が活動中 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- EDUCATION REPORT
Primary Division(1-5)玉川学園展 - CAMPUS TOPICS 幼稚部子ども会
- CAMPUS TOPICS 学術研究所K-16一貫教育研究センター 幼児教育グループ研修会
- 研究エッセイ 中学生がつくる美術の授業…福井正仁
- 史料は語る 18 「塾食堂」…白柳弘幸
- 教育探訪 30 教育取材30年に思う…中西 茂
- 研究室訪問 31 芸術学部 児玉沙矢華
- 生涯学べ 83 佐孝卓也 北海道森町 社会教育課文化財保護係
- キャリアナビゲーション’23 日精株式会社 商品営業本部 穴水弓月さん+就活Q&A
- 学園日誌…小原芳明
- Book Review 222 『旅のラゴス』…平社和也
- 教育博物館館蔵資料紹介 374
『少年少女 小學敎科雙六』…菅野和郎 - 玉川の仲間たち 「キャベツ類とハクサイ類」…肥塚信也