『全人』2024年7/8月号 No.895より
2024年7/8月号 No.895
7/8月号の巻頭特集は「知の実践 リベラルアーツ学部の今」。2003年、日本で初めて「リベラルアーツ」の名を冠した学科を文学部に開設した玉川大学。07年に独立した学部となり、23年度から新カリキュラムを導入したリベラルアーツ学部にスポットを当て、動向を調べました。「玉川の先輩を訪ねて」では、NHK「趣味の園芸」の講師としてもおなじみの京成バラ園園長、村上敏氏が登場。「EDUCATION REPORT」は、アメリカ桜まつりで玉川太鼓と創作民俗舞踊を披露し、玉川大学での凱旋公演を果たした芸術学部の学生たちを取り上げました。「研究室訪問」で紹介する教育学部の鈴木淳也准教授は、“フジヤマのトビウオ”・古橋廣之進氏に師事した経歴の持ち主。そんな鈴木准教授から、水に親しむ楽しさを教わった学生にも話を聞いています。今月も玉川教育の最新情報をお届けします。
表紙写真=岩崎美里

-
玉川大学脳科学研究所の「赤ちゃんラボ」を拠点に、乳幼児が言葉を獲得する仕組みや、親子の関わりと知覚の発達などを研究している梶川教授。生きる基礎となる道具である言葉を理論的に体験することは、自己や社会の理解につながると説く
人間の心理や行動は生涯を通してどのように変化するのか。言語が人々の間でどのように理解・表現されているのか。心理実験や心理検査の手法とは。私の授業は心理学的視点から「言葉」「発達」「心理」をキーワードに、学生自身の振り返りを交えて展開しています。
授業では学生同士が被験者となって言葉を用いた実験を行い、データ化します。言葉は共通のツールのようですが、実際は一人ひとりが脳内に構築してきた辞書は異なり、バックグラウンドや心理的な背景が加わるため、伝え方も伝わり方もさまざまです。言葉の癖は思考の癖でもありますから、分析することで自分がよく使う言葉や、言葉を使うときの心理状態に気づき、内省にもつながります。Humanフィールド 「言葉による心の動き」を分析して自分と向き合う
リベラルアーツ学部リベラルアーツ学科 教授 梶川祥世
P6 -
「大好きな『花』を手放さなかったから、いまの私があります」と語る村上氏。京成バラ園芸への就職後は育種部門を経て、アメリカ・ペンシルベニア州に研修生として約1年半滞在。アメリカと日本の庭園の違いを学んだ。現在はNHKの「趣味の園芸」に講師として出演するなど、活躍の場を広げている
仕事の第一はバラをきれいに咲かせることです。そのためにバラの個性を知り、引き出すことに努めます。大きくなるバラの近くに小さなバラを植えたら、日照が得られず飲み込まれます。だからそれぞれの花や木の大きさを把握します。
また個人宅の庭と違い、園内を人が行き交います。通路を塞ぐほど大きくならないように、サイズを意識して育てることが欠かせません。
このバラ園の一部エリアで、バラを他の草花と組み合わせてプロデュースしています。季節ごとに別のエリアの見せ場を提供するアメリカの広大な庭園を見て、対極的な日本でどうすれば良いのかと考えてきました。それを実践に移しているのです。
私は園芸のハードルを下げたいと思っています。たとえば入念な手入れが不要なバラもあります。まずはそうした品種で花を愛でる感覚を楽しんでもらいたいのです。玉川の先輩を訪ねて 98
京成バラ園園長 村上 敏 農学部農学科1990年卒業
P20
目次
- [特集]知の実践
リベラルアーツ学部の今
図解 リベラルアーツ学部、4年間の学び
interview
Human フィールド
「言葉による心の動き」を分析して自分と向き合う 梶川祥世
Societyフィールド
新移民の視点から日本人を解き明かす 山田亜紀
Cultureフィールド
日常に息づく信仰のありかたを探る 髙木大祐
STEAMフィールド
情報工学×教育で知見を体系化 立野貴之
在学生、卒業生たちの声 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- EDUCATION REPORT アメリカ桜まつり公演/凱旋公演
- CAMPUS TOPICS こいのぼりカップ
- 史料は語る 21 「反対合一」…白柳弘幸
- 玉川の先輩を訪ねて 98 京成バラ園園長 村上 敏 【農学部農学科1990年卒業】
- 研究室訪問 34 教育学部 鈴木淳也
- 生涯学べ 85 小山晴子 経営者・教育者
- 脳科学相談室 22 思春期ならではの脳の状態について知りたいです…髙岸治人
- 先生の横顔 5 リベラルアーツ学部 網野公一
- キャリアナビゲーション’24 ヤンマーアグリジャパン株式会社 狩野春佳さん + 就活Q&A
- 学園日誌 〜玉川の丘から〜 …小原芳明
- Book Review 225 『道をひらく』…頼光一太郎
- 教育博物館館蔵資料紹介 377
『浅鉢形土器』…菅野和郎 - 玉川の仲間たち 「サンコウチョウ」…田淵俊人