『全人』2015年7/8月号 No.796より
2015年7/8月号 No.796
1929年、学園創立時に開設された玉川学園教育研究所を出発点に歩んできた玉川の研究所。研究の目的を「社会に役立つこと」とする理念はしっかりと受け継がれ、現在、玉川の丘では社会に貢献する世界的な研究が進められています。今月号では、巻頭記事で「明日につながる研究」と題し、日本学術振興会理事長の安西祐一郎先生と本学脳科学研究所の坂上雅道教授に対談をしていただきました。さらに量子情報科学、脳科学、学術の3つの研究所を紹介、研究の最前線に迫ります。
大学の研究室や通大の学びのレポート、教員によるエッセイ、学生や生徒児童の労作の発表、キャリア支援など、連載も読みやすく充実。「キャリアナビゲーション'15」では拡大版として、国連世界観光機関の1年間のインターンシップに参加した文学部の4年生、税所里帆さんへのインタビューを掲載しています。
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安西: 基礎研究をする人にとっていちばん幸福なのは、内在的な思いと社会が必要としていることがぴったり結びついたときでしょうね。昨年、青色LEDの研究でノーベル物理学賞を受賞された赤﨑勇先生がいます。先生はご著書の中で、青い光を実現して社会に提供したい、それが夢であったと書いておられるんですね。つまり出発点は基礎研究だけれど、青い光を人類が自由に使えるようにしたいという、社会性のある目標も持っていたわけです。
坂上先生がなさっている脳の研究も基礎研究ですが、たとえば認知症を治すという社会性のある研究分野もあるわけです。 坂上: 確かに、基礎研究の成果が将来、多くの人が生きていくために必要なイノベーションにつながり、社会の基盤になる側面があります。 安西: そうなるためには、基礎研究が厚みを増してせり上がってこなければならない。なぜなら、そうした科学的な研究が技術と融合して、人間社会や経済社会を支えるからです。畑で言えば土壌ですよ、基礎研究の場というのは。そこから主体的な研究の小さい芽が出てくる。それをどう育てていくか。土壌が乾いたり、痩せてしまったりしていてはイノベーションにつながらない。「明日につながる研究」 安西祐一郎×坂上雅道 p4
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研究所の前身、教育研究所の開設は本学創立と同年。以来、玉川独自のテーマを軸にして、社会の要請に応じて研究の幅を広げ、組織や名称などを変えながら研究が続けられています。学術研究所の役割はインキュベーション(孵化する、育てる)の拠点であること。新たな研究が始動し、成果があがると巣立っていく。脳科学、量子情報科学もここが出発点でした。研究の基盤固めを支えるのも大きな使命です。
現在の6センターはまさに発達段階の組織。国内外から注目を浴びるミツバチと生物機能開発、研究会が盛んな人文科学、さらにK-16一貫教育、菌学応用が着実に成果をあげています。今年度から加わった高等教育開発を含めて、人文・社会・農学分野を横断し、学園や研究所などと連携を進めながらさらに研究を深めていきます。「玉川のインキュベーション拠点として」 大森隆司 p14
目次
- [特集]玉川の研究所
対談 明日につながる研究
安西祐一郎×坂上雅道
世界に広がる研究のネットワーク+研究所沿革
“量子の世紀”のさらなる先へ 世界をリードする最先端研究
量子情報科学研究所
学際的な研究を通じて「心の科学」の新地平を開く
脳科学研究所
文系と理系、領域を超えた研究で社会貢献
学術研究所
故きを温ねて 25
「敎育研究所の誕生」…白柳弘幸
最前線研究Report
国家プロジェクト「革新脳」に玉川からも参画!…松田哲也 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
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インタビュー=文学部4年 税所里帆
国連専門機関インターンシップで観光の力を実感 - 学園日誌…小原芳明
- Book Review 126 『データ解析のための統計モデリング入門』…小林直樹
- 平成26年度寄付受理ご報告
- 教育博物館館蔵資料紹介 278 「子供土用ばき水なぶりの圖」…菅野和郎
- 玉川の仲間たち 「ブッポウソウ」…田淵俊人