『全人』2011年6月号 No.751より
6月号の巻頭記事は、「21世紀のデザイン思考」。多摩大学大学院教授の紺野登先生に話をうかがいました。これからのデザインに求められるのは目の前の現実や人々のニーズから見えない価値を感じ取り、具体的な形に落とし込む能力で、それこそが「デザイン思考」であると論じる鋭い提言です。
連載では「教育連携@K-12」がスタート。大学の各学部と幼稚部~12年生までの連携しあった授業をルポしますが、第1回目に取り上げたのは9年生とリベラルアーツ学部生の連携です。もうひとつの新連載は、金田一秀穂先生の「なるほど! 日本語」。あたりまえに使っている日本語の「なるほど!」な部分を紹介するページです。
通大の先輩の現在の仕事を紹介する「生涯学べ」、研究室を訪問する「学びの時間」、大学の課外活動や、世界の子どもの本の紹介など、連載記事も充実。さらに今号では、「玉川の先輩を訪ねて」で第53回角川短歌賞を受賞した齋藤芳生さんをインタビュー。また、入学式と名誉教授授与式なども報告しています。
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モノが不足していた時代ならば、人々が感じる不便をくみとり、その不便を解消してくれる「モノ」を開発するだけで済みました。しかし、今、多くの人が不便を感じているのは「なぜ、これほどまでにモノが溢れてしまったのだろう」という点です。(略)こんな時代に、顧客に「何が欲しいか」とたずねても、明確な答えは返ってきません。顧客はそもそも、今ある選択肢の中から最適だと思うものを選ぶことはできても、いまだ存在しないものを具体的にイメージして「欲しい」と認識することはできません。(略)
優秀なデザイナーは、顧客の経験の中に分け入り、五感を総動員して、目の前の現実から「見えない価値」を直観的に感じとり、それを具体的な形に落とし込んでいく能力を持っています。
そうした優秀なデザイナーが持っている創造的な思考や方法論をより普遍化し、発展させ、経営にも役立てようとしたのが「デザイン思考」です。「21世紀のデザイン思考」 紺野 登 p4
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「ふるさとの川の濁りに羽化したるカゲロウは吹雪よりも激しき」 自分らしく真っすぐ生きたいけれど、心は混沌としていた。子どもは大好きで教えることが好きでも、いい先生にはなれないと思った。そんな心境がふるさとの濁った川と重なり、私もこの川と同じだと。生きるためには、この水を飲むしかないと思ったのです。
ふるさとから逃げたかったけれど、出られなかった自分もいる。その中で歌をつくることは、もう一度、自分自身を見つめ直す作業だったと思います。
歌をつくりながら、自分のこと、家族や友だち、街のことも考えていく。そこで混沌とする気持ちに整理がつきました。(略)日本語教師の仕事を探し始めたとき、求人サイトで見つけたのが、アブダビの小学校で教える仕事。国際交流事業の一環として、現地の子どもたちに日本語を教えるプログラムがあり、小学校教員の免許をもつ人を一人募集している。まさに“天啓”と閃いたのです。「玉川の先輩を訪ねて55 齋藤芳生・歌人」 p30
目次
- 21世紀のデザイン思考…紺野 登
- 玉川の入学式
幼稚部入園式「はじめの一歩」…佐藤馨一
1年生入学式「三つの約束」…野瀬佳浩
大学・新入生ガイダンス「新たな希望を抱いて」…稲葉興己 - 学園ニュース
[大学]玉川大学名誉教授授与式~名誉教授紹介
[K-12]高学年チアダンス部ワークショップ イン ハワイ…榑松史人 - 教育連携@K-12 1
9年生×リベラルアーツ学部「学びの技」 - なるほど! 日本語 1
金田一秀穂 「ある」と「いる」日本語は曖昧な区別が得意 - 学びの時間 2
芸術学部メディア・アーツ学科 赤山 仁 研究室 - 玉川の丘めぐり 13
教育博物館「シュヴァイツァー博士のメッセージ」…白柳弘幸 - Book Review 82
『群れのルール』…小野道照 - 子どもの本で世界をまわる 13
〈韓国〉大竹聖美 - 生涯学べ 2
校長は指導者で調整役で責任者
―埼玉県公立小学校校長職を経て玉川大学教職センター教授(教職担当)/小林弘和 - 課外活動訪問 13
写真部=かけがえのない一瞬をカメラにおさめる - 玉川の先輩を訪ねて 55
齋藤芳生 歌人 - 小児科ドクターの診療カルテから 2
初夏に多いブツブツの病気 - Career Navigation '11
仕事インタビュー〈販売企画〉&イベントスケジュール - 学外施設定期便 13
カナダプログラムがスタート〈カナダ/ナナイモ〉…小原廣幸 - 同窓会インフォメーション
評議員会が開催されました - 学園日誌…小原芳明
- Photos of the Day│ベルリンで響いた「第九」
- 入学にあたり、新入生に寄せられた祝辞
- 学園スケジュール│玉川大学・K-12のイベントと入試に関するご案内
- 表紙の風景│立葵 藤枝利枝子 【作】
- 教育博物館館蔵資料紹介 234│白磁青釉線刻文花器…柿埼博孝
- TAMAGAWA HEADLINES 学園近況
- 玉川の仲間たち│オオバジャノヒゲ…畑中喜秋