『全人』2013年12月号 No.778より

『全人』は、玉川教育の実践をインタビューや報告記事などで紹介。豊富な写真で学園行事やニュース、学部新設などの動向をビジュアルにお伝えします。学園機関誌の枠を超え、タイムリーな論評やエッセイなども掲載。テーマも、教育、科学、社会と家族、芸能まで多岐にわたり、各分野とも話題の執筆陣をむかえて、読みごたえ充分です。
2013年12月号 No.778
12月、来年度卒業予定者の就職活動が解禁となりました。今月号の特集は「学びを社会へ」。大学で学んだことを生かして道を切り拓くためのアドバイスや、就活体験記など先輩の声をページに詰め込みました。巻頭では紛争予防の専門家である瀬谷ルミ子さんにインタビュー。20代からソマリア、ルワンダなどのアフリカやアフガニスタンに飛び込み、平和の構築、武装の解除、紛争の予防という、誰も足を踏み入れなかった分野を自らの仕事として目指した経緯と、キャリアの中での気づきや選択をお聞きしました。とても勇気づけられます。
幼稚部園児から大学生までが集って開催された第85回体育祭。写真満載で伝統行事の1日をお届けします。「宇宙農場でのマルハナバチの活躍を夢見て」と題した研究エッセイは佐々木正己名誉教授の執筆。火星と同じ重力場でハチを飛ばすという大きなスケールの実験ルポです。

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武装解除に始まり、現在は紛争予防の専門家として世界の紛争地で活躍する瀬谷ルミ子さん。認定NPO法人日本紛争予防センター理事長
紛争地で思うのは、この時期に適切な介入をしていれば平和的な解決ができたのに、というタイミングが必ずあることです。一定のラインを超えるともう戻れない。皆さんも、いましかできない選択肢を優先し、それ以外のものは切り捨てるぐらいの潔さをもって進路を切り拓いていってほしいと思います。それと、最初から100%を目指さないことも大切ですね。問題解決で壁にぶち当たったとき、私はできることから始めるようにしています。100のうち10でもいい。
かつてケニアの大暴動があったとき、30万人が住むスラムの人たちの心をケアするために、若者30人をカウンセラーとして育成しました。周囲は「そんな少ない人数で何になる」と批判したけれど、いま彼らは若者のリーダーに成長し、スラムの揉め事の調停をしたり、村人が頼る存在になっています。とにかく一歩踏み出すことで状況は変わります。「人にはない強みを支えにあえて困難な道を選ぶ」 p4 瀬谷ルミ子
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玉川大学キャリアセンターの大槻利行次長。玉川独自の就職支援プログラムを企画運営しつつ、ガイダンスの講師もつとめる
私たちのセンターでは、在学生の「働きたい」意欲に寄り添いたいと考えています。情報の蓄積や知識と経験のあるスタッフがそろっていますので、気兼ねなく訪ねてほしいですね。(略)
頭ごなしの「就職して」は意味がありません。学びを通して働く意義を理解し、自分なりの将来設計や理想像を持ち、仕事観を養う必要があります。親や教官は縦の関係。養ってもらったり、教えられたりの上下があります。プレッシャーや相談しにくいこともあるのでは? センターは、上下関係でなく、斜め上あたりにいるおじやおばのような立場でいられたら。言わば、客観的な意見を言ってくれる〝社会的なおじ・おば〟でしょうか。ですから、気負わず足を運んでくださいね。「Welcome to the Center!」 p10 大槻利行
目次
- [特集]学びを社会へ
人にはない強みを支えにあえて困難な道を選ぶ
…認定NPO法人日本紛争予防センター理事長 瀬谷ルミ子
故きを温ねて 7 「ホントの知育を成就せんが爲に」…白柳弘幸
キャリアナビゲーション'13 【特別編】
わたしたちの就活体験記 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 玉川学園・玉川大学 第85回体育祭
- 学びの時間 28
教育学部教育学科 今尾佳生研究室 - 生涯学べ 28
内山雪子 慶應義塾普通部図書館勤務 - 研究エッセイ
宇宙農場でのマルハナバチの活躍を夢見て…佐々木正己 - Our Job, Our Pride 17
入試広報部入試課 土屋 梓さんの仕事 - 今月の一労作 4 細胞分裂
- 学園日誌…小原芳明
- Book Review 108
『迷惑な進化――病気の遺伝子はどこから来たのか』…三村真紀子 - 教育博物館館蔵資料紹介 260 「荻生徂徠門弟の図」…菅野和郎
- 玉川の仲間たち 「キウイフルーツ」…脇 孝一