玉川豆知識 No.98

本学で誕生した「どじょっこふなっこ」が追分駅の到着メロディに

多くの人たちに愛されている童謡「どじょっこふなっこ」は、1936(昭和11)年の本学の東北公演旅行の際に誕生しました。その「どじょっこふなっこ」の曲が、奥羽本線追分駅の到着メロディとして駅のホームに流れています。

1.童謡「どじょっこふなっこ」の誕生

春になれば 氷(すが)こも解(と)けて
どじょっこだの ふなっこだの
夜が明けたと思うべな

夏になれば 童(わらし)こ泳ぎ
どじょっこだの ふなっこだの
鬼(おに)こ来たなと思うべな

秋になれば 木(こ)の葉こ落ちて
どじょっこだの ふなっこだの
舟(ふね)こ来たなと思うべな

冬になれば 氷(すが)こも張って
どじょっこだの ふなっこだの
天井(てんじょ)こ張ったと思うべな

玉川学園では、日頃の体操と音楽の成果を日本全国へと伝えるために公演旅行を開始。当時日本各地で講演を行っていた玉川学園創立者の小原國芳と共に全国を巡るという計画を立て、1936(昭和11)年の4月から5月にかけて東北地方を回ることで最初の公演旅行が実現しました。この東北公演旅行では健康な心と身体を作るために体操が重要な役割を果たしていることを理解してもらうと同時に、音楽の持つ明朗さ、快活さを感じてもらうことが目的でした。そして各地を回る過程で、それぞれの土地に伝わる民謡や唄を取り入れることも多くありました。

玉川学園東北公演旅行

東北公演旅行一行は5月1日、秋田市郊外の金足西尋常高等小学校(現在の金足西小学校)を訪問。体操や合唱の披露が終わった後、玉川学園の合唱と秋田県の民謡やいろいろな芸能を交互に発表し合うというかたちで玉川学園一行の歓迎会が開催されました。その会の中で何度か交歓が行われた後、秋田側で指名により立ったのが金足西尋常高等小学校の中道松之助先生。この先生がたまたま歌ったのが、「どじょっこふなっこ」の原曲。ただ、この時に披露されたのは「ハァー、春になれば氷(すが)こもとけて・・・」といった詩吟調のもので、現在歌われているメロディとは全く違ったものでした。当時玉川学園の音楽教師として同行していた岡本敏明が興味を示し、その場で男声合唱用に採譜を始め現在のメロディに仕上げました。やがて会が終わる頃になると、今度は生徒たちが、混声三部の合唱で「どじょっこふなっこ」を披露。会場内は大いに盛り上がったといいます。

岡本敏明

こうして「どじょっこふなっこ」は、この歓迎会の会場で誕生しました。その翌日、生徒たちは追分駅から羽後本庄駅に移動する汽車の中でこの歌を練習し、羽後本荘市の学校での公演では混声四部合唱で披露。大喝采を受けたといいます。そして、1961(昭和36)年4月に、NHKの「みんなのうた」で放送されると、「どじょっこふなっこ」はたちまち全国で歌われるようになりました。今では日本の誰もが知っているあの童謡が誕生した背景には、こんなエピソードがあったのです。「どじょっこふなっこ」は、歌う機会の多い玉川学園の生活を支えてきた『愛吟集』(玉川大学出版部発行)にも掲載されています。

愛吟集

2.「どじょっこふなっこ」の歌碑

金足西小学校の前庭には「どじょっこふなっこ」の歌碑が設置されています。また、岡本敏明が眠る神奈川県川崎市にある柿生霊園や秋田県鹿角市にも歌碑があります。金足西小学校の前庭にある歌碑は、1995(平成7)年に建立されました。同年3月8日、その建立除幕式が金足西小学校で行われました。本学からは玉川大学合唱団が参加し、高森義文の指揮のもと、金足西小学校での記念演奏会で「どじょっこふなっこ」をはじめ、「ほたるこい」「浜辺の歌」「ピクニック」「森へ行きましょう」「小鳥の結婚式」などを合唱。記念式典の様子はテレビや新聞の全国版で取り上げられました。なお、この除幕式に岡本敏明の長女である中明子氏が参加されていました。

同年、「どじょっこふなっこの歌を楽しむ会」が設立され、地域の人たちと子供たちが一緒に歌う「どじょっこふなっこの歌を楽しむ集い」が毎年、金足西小学校において開催されています。

3.「どじょっこふなっこ」が駅の到着メロディに

こうして誕生した「どじょっこふなっこ」の曲が、83年の時を経過した今年2019(令和元)年6月7日より、JR東日本鉄道の奥羽本線追分駅の到着メロディに使用されています。6月7日には、追分駅前広場にて「どしょっこふなっこ追分駅到着メロディ開始記念式典」が開催されました。式典には地域住民100人が参加、岡本敏明の長男である岡本伸氏も岡本敏明遺族代表として出席しました。

「どじょっこふなっこ」の曲が追分駅の到着メロディに採用された理由は次のとおりです。

  • 「どじょっこふなっこ」は、1936(昭和11)年、玉川学園の東北公演旅行一行が金足西小学校を訪問した際に誕生したこと
  • 「どじょっこふなっこ」は、玉川学園の東北公演旅行一行が鉄道で移動した次の公演先でも歌われ広められたこと
  • 追分駅が金足西小学校の最寄り駅であること

2013(平成25)年から金足の住民たちが市を通じて東⽇本旅客鉄道株式会社に対して、追分駅の列車の到着メロディに「どじょっこふなっこ」の曲を採用してくれるよう要望。2018(平成30)年に追分駅が改修となり、放送設備が整備されたことから「どじょっこふなっこ」の採用が決まりました。

「どじょっこふなっこ」のメロディは、列車の到着を知らせるアナウンスの後に「おもてなしメロディ」として追分駅のホームに流れています。

どしょっこふなっこ追分駅到着メロディ開始記念式典
列車が到着する追分駅ホーム

参考文献

  • 梅沢一彦「「どじょっこふなっこ」誕生秘話―歌碑建立除幕式に参加して―」(『全人教育』第564号 玉川大学出版部 1995年 に所収)
  • 「どじょっこふなっこ追分駅到着メロディ開始記念式典」式次第
         追分町内連合会、どじょっこふなっこの歌を楽しむ会  2019年
  • 「どじょっこふなっこ響く」 秋田さきがけ新聞6月8日版 2019年
  • 玉川学園編集委員会編『愛吟集』 玉川学園出版部 1939年
  • 玉川学園編集委員会編『愛吟集』 玉川大学出版部 1996年
  • 玉川学園五十年史編纂委員会編『玉川学園五十年史』 玉川学園 1980年