アフター・コロナの時代を見据えた2022年度玉川大学観光学部リニューアル(Vol.1)
Vol.1「玉川大学観光学部」で学ぶということ
観光・ホスピタリティ分野の未来を見据えた「2コース制」スタート
2013年に開設した玉川大学観光学部。4年間を通した英語学習プログラム、オーストラリアへの1年間の留学プログラム(必修)など、ハイレベルな英語力、グローバルな視野と知性を身に付けるカリキュラムを展開。多様な価値観と共生していく知識と感性、スキルを養い、これまでツーリズム、ホスピタリティ関連業界をはじめ、国内外の多様な分野で活躍する多くの人材を輩出してきました。
そして開設10年目を前に、観光学部はさらにグレードアップした教育を実践する「2コース制」にリニューアルされます。卓越した英語コミュニケーション力でグローバルビジネスの世界でリーダーシップを発揮できる能力を学ぶ「グローバルエリートコース」、そして国際感覚と英語による発信力で地域活性化やまちづくりのリーダーとなる素養を磨く「リージョナルリーダーコース」。2つのコースは観光・ホスピタリティ分野の未来を見据えた多様な進路を想定し、さらにフレキシブルになったカリキュラムでポスト・コロナの時代の新しいツーリズム&ホスピタリティの可能性を拓く人材を育成します。
訪れる人が〝自分ごと〟として楽しんでもらえるグローバルスタンダードな観光まちづくりを研究
「人が動くところにビジネスあり! 観光(Tourism&Hospitality)はとても広がりのある分野です」と話すのは観光学部長の家長千恵子教授。「いわゆる旅行やレジャーだけではなく、人々の暮らしを快適にする製品やサービス、喜びをもたらすエンターテイメント、知的好奇心を満足させてくれる教育やメディアなど、今、あらゆるビジネス領域でTourism &Hospitalityの考え方はたいへん重要になっており、学生も〝観光〟を広い視野で捉えて将来について考えてほしいと思っています」
家長教授はもともと大手旅行会社で「大学生観光まちづくりコンテスト」など教育事業のソリューション開発やMICE(ビジネスイベント)、産官学連携事業などを手がけ、その後、大学院に社会人入学し、働きながら修士、博士の学位を取得。玉川大学観光学部着任後は、地域のホスピタリティや観光まちづくりなど、学生とともにフィールドワークを重ねながら、実践的な研究活動を繰り広げています。
たとえば鎌倉市の鶴岡八幡宮に程近いカフェとのコラボ。「地域×観光の共存」をテーマに、地元住民に愛され、かつ観光客にも来てもらえるカフェの在り方を話し合いました。それぞれ異なるターゲット層から導き出したのが、体験価値の重要性です。リピーターには新たな魅力を提供し、観光客には体験として鎌倉を思い出に残してもらう、地元住民そして観光客にも喜んでもらえるカフェの過ごし方を構想しました。また、⻑野県・⼩布施から少々⼭間部に入ったところにある「⾼⼭村」もその⼀つです。800年前に元湯が発見されたとされる山田温泉は、歴史ある温泉地として長く愛されていますが、平成2年をピークに観光客が減少しています。そこで、新しいターゲット層を迎えるための高山村の魅力づくりや、地元の食文化や特産品を体験する体験型観光商品をこれから提案するところです。
現在はコロナ禍のためフィールドワークが中断されていますが、今後、ゼミでは現地に出向いて、地元の人々の生の声を聞きながら実践的な研究活動を進めていく予定です。近年、観光マナーを知らない海外からの観光客などによるトラブルが指摘されるようになりましたが、このことも家長教授の重要な研究課題です。
「日本人が当たり前と思うマナーでも、他国の方々にとっては必ずしもそうではありませんし、逆に日本人が海外で現地のマナー違反と思われる行為をすることだってあります。要するにコミュニケ―ションや異文化理解の問題です。これからの観光スポットではインバウンドも想定して、異文化の人々へのおもてなしなど、グローバルスタンダードを志向する観光まちづくりを進めていきたいと思っています」
玉川大学観光学部で学ぶ学生たちに伝えたいこと
「玉川大学観光学部の特色?それは最先端のアカデミックな研究に携わる先生方と、私も含む実務のキャリアを有する教員がバランス良く在籍していることでしょう。お互いが刺激しあい、協調しながら、学生のためにどのような教育が望ましいかを真剣に話しあっています」
今回の2コース制へのリニューアルも観光学部の教員陣がこれまでの実績とコロナ後を見据えた視野から最適解として導き出したものです。「人が好き。人に喜んでもらうことが大好き。そんな人にぜひ観光学部に来てほしい。この学部で多様な個性と出会い、留学で異文化に出会うことで、世界に向けて夢をかなえられる人になってほしいですね。この学部にはそのチャンスがたくさんあるはずですから」
家長教授は学部リニューアルに伴う新カリキュラムで、新たに「日本文化論」の授業を担当する予定です。「異文化の人々と語り合うためには、まず自国文化を知らなければ対等なコミュニケーションはできません。そこでオーストラリア留学前に和服や和楽器、歌舞伎、相撲、折り紙など、わが国の歴史と風土に即した文化について深く学んでもらいます」
※次回は家長教授に「グローバルエリートコース」について解説してもらいます。