玉川大学大学院教育学研究科IB研究コース・カメダクインシー講師――玉川学園のIB教育の環境整備に尽力vol.2――

2018.03.19

玉川大学大学院教育学研究科では、2014年に日本で初めてIB教員養成のプログラムを開設しました。カメダクインシー講師は、これまで玉川学園IBクラスの教科担当やカリキュラム開発に携わり、さらには日本国際バカロレアの一員として日本でのIB普及に活躍しています。カメダ講師の玉川学園に着任するまでの経緯や、IB教員養成に向ける情熱などを3回にわけて連載。2回目はIB教育における授業づくりについて紹介します。。

学校の必要性が薄れている現代。その存在意義を考え直すチャンスだ

教育学研究科「IB研究コース」の授業風景

玉川学園が導入したIBを、どのように浸透させていくか、カメダクインシー講師は学校と教員のあるべき姿について、次のように話しています。

「情報化社会の今、スマートフォンが1台あれば、必要な知識にすぐアクセスできます。社会のニーズも日々変化し、AIやロボットが人間に代わって仕事をする時代です。そのような時に、社会に貢献できる仕事をするには、現在無い物について考え、新しく作り出す力を備えていることが求められていると思います。教育もそうです。今や学校は将来の職業の準備の場としては、活躍しにくくなっているかもしれません」

このように学校は、時代のニーズに合わせてどう変化していくべきかについては、日本のみならず世界中の教育界が危機感を持っていることだと、カメダ講師は話します。

「しかし、一方で学校の存在意義を、改めて考え直すよい機会だととらえています。原点に戻って教育を考える時、教室は小さな社会であり、そのなかで新しい理解につながるような場にするべきだと思うのです。たとえば、生徒一人でできることを、あえて教室で行わない。宿題や事前の調べ事は、各自が自宅でできることです。近年、『アクティブ・ラーニング』の考え方が出てきたのも、本来の教育は生徒同士で、それぞれが備える知識を元にして、新たな知識を構築していくことを目指すものだからです。そこに学校の存在意義があるのだということを、私たちは反省とともに考えなければなりません。これら反省点をさまざまな教科のなかで考え直すことで、学校は探究心や創造力など、成果だけでなくプロセスを常に振り返りながら評価し、再検討して新たな道を作っていくことができると考えています」

生徒が自ら「学びたい!」と興味をそそる授業をつくる力

日本で広まっている「アクティブ・ラーニング」。日本の教育界で採用された当初は「グループ活動」の認識が強かったとカメダ講師は振り返ります。グループ活動といっても、指導者に「協働で活動させるスキル」がなければ、積極的な生徒は前へ出ていっても、消極的だったり興味のない生徒はいつも受け身になってしまいます。

「やはり、こういう時に左右するのが先生の指導力です。生徒たちが主体的に『やりたい』と思うような環境を提供することが、教員の唯一の役割だと考えています。教員にとって教育・指導の専門知識も必要ですが、生徒に学ぶことに興味をもたせること、それこそが教員の仕事なのではないでしょうか」

どのような授業であっても、教員がうまく誘導できたら、生徒は自発的に勉強していくことでしょう。そこに至るまでの工夫が教員の仕事だと、カメダ講師は強調します。

「人間は自分で学習していくことで、いろいろな新たな知識や理解を構築していきます。しかし、これは他者とのコミュニケーションによってお互いに刺激しあって生み出されるもので、一人での学習や、スマートフォンでもできないことです。教育研究のなかに、『社会構成主義的なアプローチ』というものがありますが、社会的な動物である人間は、一人だけで学ぶのには限界があり、社会と似たような集団のなかでこそ、身に付けるべき学びがあるとするものです。幼い頃、『おままごと』をしたことがあるでしょう。子供は相手の反応(おままごとの場合は親または保護者の反応)を見ながら想像力を働かせて、相手の立場から見る世界を理解しようとするために積極的に「遊び」ながらコミュニケーションしています。大人になっても同じことです。このような社会構成主義的なアプローチを重視したカリキュラムが、今、どんどん増えています。生徒を自発的な思考でグループを活動させていくことで、その展開は無限大だと考えています。この対話的で思考的な深い学びこそ、IBが求めている環境なのです」

では、その環境を作り出すのが「教員」の力であるとするならば、従来の黒板に向かって生徒が座り、教員が講義するスタイルとは大きな隔たりがあります。最終回となる第3回目は、いよいよ「IB教員養成」について、カメダ講師が語ります。

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