『みんなの夢をみんなの手で』聖山整備を生徒・学生・卒業生の手で行いました。

2019.07.22

2019年に創立90周年を迎えた玉川学園では、さまざまな記念プロジェクトが進行しています。その一つが、在校生や教職員、さらには卒業生も参加して行われる聖山労作です。玉川の丘では、卒業記念労作の合言葉に、『みんなの夢をみんなの手で』を掲げ取り組んでいました。この聖山労作は園児・児童・生徒・学生・教職員・卒業生が集う場として、皆が再整備に関わる、まさにこの合言葉を体現した活動です。

整備計画イメージ

キャンパスの中でも最も標高の高い場所の一つである聖山。かつて頂上部は芝生で覆われ、晴れた日には丹沢山系も臨める見晴らしのよい場として、朝の礼拝などに活用されてきました。ただ、月日は周辺の樹木を大きく成長させ、雑木林のような風情に。そんな聖山をかつてのような思索にふける憩いの場に戻したいという声が高まり、学園関係者も参加して整備を行うことになったのです。

聖山整備の主な内容は、成長した樹木の伐採です。そのほかにも、皆が集えるような設備を設置することも検討中です。既に5月25日(土)に幼稚部で行われた「こどものアトリエ」の中では、子どもたちが、5月27日(月)にはIB9年生が聖山の整備を体験。

IB9年生の活動の様子

そして6月5日(水)には、生徒や学生、教職員、そして卒業生が揃って聖山労作が行われました。この日は、玉川学園(5-12年)の生徒19名と教育学部の2年生20名、卒業生8名、そして教職員が参加。まずは約10年前まで小学部で教鞭を執っていた佐藤邦昭先生から、今回の整備に関する説明がありました。佐藤先生は小学部の教員の時から子供たちに自然と親しむ教育を推進しており、現在もK-12の保護者対象に丘めぐりをしたりと玉川の自然を熟知した先生です。現在は通信教育部で学ぶ、現役の学生でもあります。
「万葉集には約4,500首の和歌が収められていますが、その中には150種類の植物が登場します。そのどれもが私たちに身近な植物ですが、このキャンパスでは万葉集に登場する植物の98種が確認されています。これらに限らず、さまざまな植物種が共存する玉川のような場所は、非常に貴重な場所であり、私たちの財産と言っていいと思います」と佐藤先生。そして「木を切ることは自然破壊と思われがちですが、日本の雑木林は約30年ごとに人の手によって伐採が行われ、新たな樹木を育てるための整備が行われてきました。伐採された樹木は薪として有効活用されてきましたが、60年ほど前から石油ストーブが一般家庭にも浸透して薪が不要になり、多くの雑木林が手つかずの状態になったのです」。樹木を適切な時期に伐採することは、新たな樹木の育成を促すため、そして、多種多様な植物が生息するのに重要だと佐藤先生は力説。その上で、聖山を整備した後は学園の教育財産として皆で活用し、見守ってほしいと、この日集まったメンバーに語りました。

その後、建設会社と造園業者の方から伐採に関する諸注意を聞き、まずは造園業者の方が大きな杉の木をチェンソーで伐採する様子を見学しました。杉の木には既に所定の位置に倒れるようワイヤーでつながれており、玉川学園(5-12年)の生徒がワイヤーを引いて手伝いました。木が割れる乾いた音が聖山に響き、ゆっくりと杉の木が倒れて土煙が上がると、見学していたメンバーからも驚いたような声が。

そして、いよいよ参加メンバーによる伐採です。各々がノコギリで切ることができる太さの樹木の伐採に取りかかります。「何故まだ小さな樹木を伐採するのですか?」と尋ねる生徒に、佐藤先生は「これらの樹木は、陽射しが届かず大きく成長できなかったのですね。これらを間引いていくことで、樹木が大きく、まっすぐ育つ環境を整えていきます」と説明していました。
生徒も学生も卒業生も、協力し合いながら樹木の伐採や枝打ちを行っていきます。太い木が意外と脆かったり、簡単と思った細い木が想像以上に堅くて手こずったりもしましたが、業者の方から樹木の種類などのレクチャーを受けつつ切っていきます。この日は約50分をかけて、多くの樹木を伐採しました。

参加した生徒から

「学園内で伐採された木材を使用してアート作品を制作する活動を行っており、僕自身も自然が好きなので今回参加しました。多くの方からアドバイスをいただきながら実際に伐採を経験できて、とても達成感を感じました(9年生)」。
「最近、学内の大きな木が切り倒されており、『もったいない』と思っていたのですが、今日お話を伺って樹木を伐採して管理することで、次の樹木が育っていくのだということがよく分かりました(12年生)」。

参加した卒業生から

「幼い頃に丘めぐりでよく聖山を訪れていたのですが、最近は草深い森になっていて少し残念でした。当時を知る私たち卒業生が、いま玉川で学んでいる若い世代の皆さんにも聖山を訪れてもらえるよう整備することは、とても価値のあることだと感じました(卒業生)」。
「聖山で伐採された樹木は木材として学内でも活用されるそうですが、そうした備品があると、学校生活もより思い出深いものになるのではないでしょうか。卒業生の友人に今日のことを話したらぜひ参加したいと言っていたので、できるだけ多くの方に経験してもらいたいですね(卒業生)」。

この聖山労作は、玉川学園(5-12年)の生徒が行っている「Tama Tree Project」にも関連しています。このプロジェクトは、近年間伐が進む玉川学園内の樹木を木材として活用し、さまざまな木工品を作ろうというもの。既にテープカッターなどを制作し、完成品は学園内で使用されています。もちろんこの日伐採された樹木もこのプロジェクトに使われる予定で、早速工作室に持ち込まれ、ゴッホの「ファン・ゴッホの椅子」に描かれた椅子の実制作が始まりました。担当する瀬底正宣先生は「このプロジェクトを通じて、生徒たちには何かを企画して制作し、それを使ってもらうという過程を学んでもらいたいと思っています。今回の労作は、自分たちで木を切り出すことを学ぶという意味で、絶好の機会になりました」と語ってくれました。

聖山労作は今後も生徒や学生、卒業生が参加しながら行われていく予定です。自分たちの手で学園の象徴ともいえる場所を整備することで、より思い出深い場所となることでしょう。この聖山に限らず学園内では樹木の間伐が行われていますが、新しい樹木が育つ素地を作ることで、創立100周年のさらに先の学園環境を整えていきたいと思います。

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