玉川学園「創立90周年記念式典 玉川の集い」
夢を拓く――未来へのチャレンジ――(後編)

2020.01.09

2019年11月28日(木)に横浜アリーナで開催された、玉川学園「創立90周年記念式典 玉川の集い」。創立から90年の歴史を振り返り、新たに100周年に向けた第一歩を踏み出した式典の第2部の様子を紹介します。

第2部は「Part5 第九への夢」で始まりました。スクリーンに映し出されたのは、玉川学園のベートーヴェン像。「University Concert Hall 2016」正面広場に建つこのベートーヴェン像は、玉川学園の音楽教育を見守っています。この像は、1967年(昭和42年)に「ベートーヴェン生誕200年記念展示会」で展示されていたものを、創立者・小原國芳が「展示会が終了したら、ぜひ本学園にお譲りいただきたい」と主催者に懇願。その熱意は主催者の心を動かし、玉川の丘に移設されることになったという経緯があります。
続いてスクリーンでは、玉川学園が第九合唱と出会った83年にわたる歴史が当時の貴重な写真とともに紹介されました。ベートーヴェンは「苦悩を突き抜けて、歓喜にいたれ」という名言を残しており、小原國芳にとっても、難しい第九を生徒や学生に歌わせることは、「世界の名曲を歌えた喜び、舞台に立てた喜びを持たせることであり、それ自身が『大きな教育』だ」としています。
戦前から学生が第九の演奏会に参加。1936年(昭和11年)の日比谷公会堂での初公演、1938年(昭和13年)の歌舞伎座での公演、1943年(昭和18年)には戦時中のため日本語によるレコード録音、戦後の公演活動など、時代と共に第九を歌い、奏で続けてきました。その伝統は現在に受け継がれ、玉川大学では、1年生全員がベートーヴェンの「交響曲第9番ニ短調 作品125(合唱付)」終楽章〈歓喜に寄せて〉を、毎年12月の大学音楽祭で披露しています。
戦前の1962年(昭和37年)には合唱、オーケストラ、指揮等をすべて玉川学園の教員、学生・生徒、卒業生で行う「All Tamagawa」での公演を実現。当時、高等部1年生だった小原芳明学長も、合唱団の一員として舞台に立っています。その当時を「何度も何度も練習した。なぜこのような難しい曲に挑戦しなければならないのかと思いましたが、歌い終えて大学生の喜びの歓声に、『凄いことを成し遂げたのだ!』と気付かされました」と回想。「第九の演奏会は玉川学園の伝統の一つになりました。どんな難しいことであっても、挑戦しない限りは、『できる』『できない』は言えません。難しいこと故に、挑戦する価値があるのです。いつの日か、再び第九全楽章の演奏会を開催したいと考えています」と話しました。
いよいよ、この式典での第九の披露です。合唱は、大学1年生・在学生有志・卒業生有志・学友会のOB有志、演奏は90周年メモリアルオーケストラ(5-12年生・大学生・卒業生有志)、独唱は、ソプラノ・斎藤智子氏、メゾソプラノ・加形裕子氏、テノール・芦田瑞樹氏、バリトン・金子宏氏。そして指揮は、卒業生であり、世界を舞台に活躍されている今村能氏です。合唱のダイナミックな魅力を存分に発揮しました。夢を育み、夢をつないだ、この伝統と歴史は、これからも変わることなく、さらに新しい夢を響かせ続けることでしょう。

第九合唱の余韻が残る中、式典は「終章 100周年へのカウントダウン」へと進みます。「Part1 未来を創造」では、創立90周年特別プログラム、「一枚の未来画コンクール」の入選作品10点から、来場者投票によって選ばれた「ゆめ大賞」3作品が発表されました。創立者 小原國芳が描いた一枚の「ゆめの学校」の絵は、果てしない夢への情熱の証しとして、今も大切に残されています。90周年を迎えた今年、現役の玉川っ子が、自身の思う未来の玉川の姿を実際に描く、「一枚の未来画コンクール」を企画。幼稚部から大学生まで、691作品の応募がありました。司会進行のお二人は、卒業生であり、俳優・声優・紙芝居師の大久保ちか氏と、プロ野球ドラフト会議の進行役でお馴染みの、フリーアナウンサー・ナレーターの関野浩之氏が務めました。「ゆめ大賞」を受賞したのは徳田結衣さん、内田鼓々さん、松田佳奈さんの3名。関野氏の名調子で一人ひとり名前を呼ばれ、スポットライトに照らし出されると、会場からは大きな拍手があふれていました。

「Part2 夢を拓く」では、全国各地の自治体との連携・協力の包括協定の基に進められている、教育連携プログラムや大学生の地域連携教育、国際交流をスクリーンで紹介。そして、世界をリードする玉川大学の最新の学術研究を、「学術研究所」「脳科学研究所」「量子情報科学研究所」の各研究者の語りで紹介しました。


「Part3 20歳の自分へのメッセージ」として、4~12年生の代表による演奏(11年生代表のシンセサイザー)とコーラス「I Have a Dream」にのせて、10歳の4年生が10年後に20歳になった自分へのメッセージと夢を語る映像がスクリーンに映し出されました。

「Part4 ”夢”100周年へのメッセージ」では、ステージに小原学長と玉川学園・玉川大学の代表の児童・生徒・学生が登場し、100周年に向けて整備が進む、「ESTEAM エリア」などの取り組みを紹介しました。「ESTEAM」は、Science、Technology、Engineering、Mathematics(科学、技術、工学、数学)を統合的に教えるSTEM教育に、Arts(芸術)とELF(English as a Lingua Franca<国際共通語としての英語>)を融合する、玉川大学独自の教育です。時代の変化を取り入れ、時代が求める教育のあり方を常に追求してきた玉川大学では、教育研究施設や設備も、時代に沿って充実させています。2020年4月より運用が始まる「STREAM Hall 2019」は、工学部・農学部・芸術学部が主に利用する学際的な学びを実現した新しいモノづくりの拠点。また、2021年4月運用開始の「Consilience Hall 2020」は、「Consilience=知の統合」を支える基礎実験拠点となります。

また、小原学長はステージで「100周年に向けたメッセージ」を次のように話しました。
「『新しい日本を動かす力を、ここからつくるのだ』という夢からデザインした、『理想の学校』の絵。昭和4年、わずか18名の教職員、111名の生徒で、玉川学園は始まり、今日こうして創立90周年を迎えるまでになりました。今日まで玉川学園を動かし続けてきたのは、小原國芳、玉川の親父の夢でした。幕末の志士、吉田松陰先生は、夢の大切さについて、このように諭しています。『夢なき者に理想なし。理想なき者に計画なし。計画なき者に実行なし。実行なき者に成功なし。ゆえに、夢なき者に成功なし』。これからの時代で活躍する君たちです。夢を持ち、理想を掲げ、そこから目標を立て、計画をつくってください。そして大事なことは、一歩前へ踏み出す勇気を育んでいくことです。予測不可能な社会といいますが、こうした考え方もあるのです。未来をつくり出すことこそが、最良の未来を予測することですから、園児・児童・生徒、そして学生諸君、何か見えないことが見えてくるまで、待つのではなく、自分が理想とする方向へ、まず一歩歩み出してみましょう。

聖書の教えにもありますが、大切なことは、未来へ向かって、人生の最も苦しい、いやな、辛い、損な場面を、真っ先に微笑みを以って担当する人であることです。これはジョン・F・ケネディの『Ask not what your country can do for you; ask what you can do for your country.  国に何かしてくれるのを期待するのではなく、諸君が社会で何ができるかを問うてくれ』という言葉に通じることです。今、この会場には、来年、幼稚部の年少さんとなる2歳の幼児から、創立当時に2歳、そして4歳だった人に至るまでの卒業生、元教職員の方々も参加してくれています。そして、日ごろから玉川学園と玉川大学の良き理解者として、私たちを支援し、応援、連携してくださっている方々に、創立90周年記念式典へのご列席を心より感謝申し上げます。本日は、まことにありがとうございました」

式典もいよいよ最後の「グランドフィナーレ 夢と輝く未来へ」となりました。90周年メモリアルオーケストラが演奏する「90周年フィナーレマーチ(愛吟集)」が響く中、式典の出演者がステージ上に登場すると、会場の照明が落とされ、真っ暗な会場に参加者全員が色とりどりのサイリウムを振る「みんなで創る光のページェント」が出来上がりました。再び照明が灯り、明るくなった会場では、創立者の揮毫した一画多い「夢」の文字が入ったハート形の紙飛行機が舞う中、参加者一同で校歌を合唱し閉幕となりました。

玉川学園・玉川大学の歩んできた90年間を振り返り、次なる10年に向けたチャレンジをご紹介した今回の式典。2020年は創立100周年に向けた第一歩となる年であり、式典タイトルとして掲げられた「夢を拓く」を実行に移す年でもあります。これからの玉川学園・玉川大学の挑戦にご期待ください。

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