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STREAM Hall 2019「メーカーズフロア」を拠点とした新しい時代のものづくりへの挑戦

2021.08.23

一人ひとりが「メーカー」に?! デジタルがものづくりの可能性を大きく広げた

20世紀後半からのデジタル革命は、私たちの暮らしはもちろん、ものづくりの世界を大きく変えました。「頭の中にひらめいたアイデアをすぐにデジタルデータ化し、3D CADなどで設計、3Dプリンターなどを駆使してカタチにする21世紀の〝デジタルものづくり〟の登場です」と話すのは、工学部エンジニアリングデザイン学科の福田靖教授。「従来のアナログものづくりに比べ、コストや時間を大幅に削減でき、消費者のニーズにきめ細かく対応する多品種少量生産にも有利です。また歳月をかけて身につける特殊なものづくりの技術、技能がほとんど不要なので、使い手(ユーザー)が自分の欲しいものを自分自身で創り出す可能性が大きく広がっています」(福田教授)。
樹脂や金属を素材にした3Dプリンターの価格も年々下がっており、将来的には一人ひとりがメーカー(作り手)となる時代がやってくるかもしれません。
エンジニアリングデザイン学科では、1~2年次よりデジタルものづくりの基礎をしっかり身につけるために「導入ゼミ」や「デジタルファブリケーション入門」などの授業を開講。頭の中のアイデアを実際にカタチにするデジタルなものづくりのノウハウを修得していきます。

玉川の丘の新しいものづくりの拠点 ガラス張りでオープンな「メーカーズフロア」

玉川大学では、工学部だけではなく、全学部の学生が21世紀のものづくりを志向し、ものづくりの基本になるデザイン・シンキングを実践する教育環境整備を進めています。
その舞台となるのが、2020年春にオープンしたSTREAM Hall 2019の1階にある「メーカーズフロア」です。ここは工学部と芸術学部を中心にすべての学部の学生が利用できるものづくりのためのオープンスペース。授業だけではなく、学生個人でのものづくりや学部を超えた共同のプロジェクトなどでも自由に利用できます。

  • デザインシンキング…「1.共感」「2.問題定義」「3.発想」「4.プロトタイプ」「5.精査(淘汰)」のサイクルを繰り返すことで、めざすイメージに近づいていくイノベーションを起こすための思考方法、正解が用意されていない問題の解決、まだ見たことがないモノを生み出すための方法論

壁はガラス張りになっているので、学生たちが取り組むものづくりの現場を部屋の外から見学することも可能。見学するだけでは飽き足らず、そのままプロジェクトに参加したり、自分たちが夢見るものづくりを実現させようと仲間と新しいプロジェクトを立ち上げる学生も次々と現れています。
メーカーズフロアは「デジタル」「工作機械」の2つのエリアに分かれ、それぞれ本格的なものづくり機器・設備が設置されています。

デジタルエリア

ものづくりのアイデア・コンセプトをまとめることから、3D設計、プロトタイプ制作、検証まで、デジタルものづくりすべてのプロセスをワンフロアで進めることができる環境を整備。常駐する助手が学生の作業をサポートします。このデジタルエリアではCADなどの知識が求められますが、無償ソフト(大学関係者のみ)の紹介や使用方法の説明も丁寧に助手が対応します。

【主な設備】
パソコン、3Dプリンター、フルカラー3Dプリンター、大型インクジェット3Dプリンター、3Dスキャナー、3D プロッター(切削加工で形を作る)、打刻機、シートカッター、レーザーカッター(紙、木版、アクリル板などの切断)

3Dプリンターとパソコン
3Dプリンター(熱溶解積層方式)
奥:フルカラー3Dプリンター
手前:3Dプリンター(光造形方式)
大型3Dプリンター
3Dスキャナー
3Dスキャナーが取得したデータ
3Dプロッター
打刻機
シートカッター
<様々なサイズに対応したレーザーカッター>

工作機械エリア

主に金属加工を行うための本格的な工作機械を完備。デジタルエリアと同じく助手と長年自動車メーカーの製造工場で制作に携わっていたキャリア豊富な技術指導員が常駐し、学生の指導と作業の安全性に気を配っています。デジタルエリアよりも専門的な知識が求められるため、現時点では工学部生で実習を受けた学生が中心に使えますが、将来的には講習会なども行い、使用できる対象を増やしていく予定です。

【主な設備】
作業台(万力付き)、弓鋸切断機、シャーリングマシン(電子制御の切断機)、フライス盤(フライスという刃物で素材を削って加工する機械)、ベンダー(折り曲げ機)、コンターマシン(金属や木版の切断機)、マシニングセンタ(自動工具交換機能を有したフライス盤)、旋盤(大・小/素材を回転させながら切削する機械)、細穴放電加工機・ワイヤー放電加工機(アーク放電によって素材を加工する機械)

作業台(万力付き)
弓鋸切断機
シャーリングマシン
フライス盤
フライス盤
ベンダー(折り曲げ機)
コンターマシン
マシニングセンタ
細穴放電加工機
旋盤
旋盤
ワイヤー放電加工機

21世紀のものづくりを実践する学生たちによる多彩なプロジェクト進行中!

現在、メーカーズフロアを舞台に学生有志による様々なプロジェクトが進行しています。その一部をご紹介しましょう。

RSNPチャレンジ

日本ロボット学会等による「RSNP(Robot Service Network Protocol)コンテスト」は、通信機能を持つロボットサービスを競う国内外の大学、研究機関などを対象にした技術コンテスト。工学部の学生によるチームで2019年度に「駅における視覚障がい者のための移動支援ロボット」を提案し、「グッドコンセプト賞」を受賞しています。そのコンセプトをメーカーズフロアの機器を利用し実際に試作し、2020年度同コンテストで優秀賞を受賞しています。今年度はSTREAM Hall 2019を拠点にする芸術学部の学生も参加し、デザイン性を打ち出した新たな挑戦を目指しているそうです。

駅における視覚障がい者のための移動支援ロボットのデザインコンセプト図

デジタルクリエイティブプロジェクト

工学部と芸術学部の女子学生のチームが、地域の課題を解決するものづくりに挑戦しています。メンバーの学生は、普段の生活で感じている課題を持ち寄り、自分たちの強みであるデザインの考え方、ものづくりのスキルを活かした解決方法がないか、活発な議論をしています。現在、様々なアイデアがでてきており、それらをカタチにするべく、プロトタイピング(試作)が始まっています。いずれ自分たちのプランについて、機会を見つけて発表することを検討しています。

メーカー部

もともとは実践的な電子工作を学ぶ工学部学生有志のグループとして発足。センサーとモーターを組み合わせたプログラム制御の自動ドアを試作するなど、メカトロニクスを中心としたものづくりに取り組んできました。現在はNHK「大学ロボコン」出場を目指してロボット製作にも取り組んでいます。

「デジタルエリア」で学生のサポートにあたるエンジニアリングデザイン学科の今泉博貴助手と平社和也助手によると「メーカーズフロアの設備を見て、ものづくりをしてみたいと思った学生は誰でも受け入れています。ものづくりの経験があまりない学生に対しては、私たちが『そういうものを作りたいなら、こうしてみたら?』とアドバイスをしたり、機器の使い方をていねいに教えますのでお気軽に相談してください」。

平社助手
今泉助手

最後にメーカーズフロアの未来について福田教授にお話をうかがいました。
「一人ひとりの発想をデジタルマシンによってカタチにできるメーカーズフロアは、21世紀にふさわしいものづくり教育を可能にしました。私たちはここで工学部、芸術学部だけでなく全学部の学生が社会の課題解決やイノベーションを起こす何らかのプロトタイプを創り、将来的に起業をする学生が出ることを願っています。もちろん、全学部の叡智を結集したものづくりを志向し、将来的に玉川オリジナルブランド(商品)や21世紀ものづくりを志向する学内ベンチャー企業が誕生することも期待しています」。
2020年、メーカーズフロアで始まった玉川大学のものづくりに関する夢への挑戦。ここから21世紀型ものづくりをリードする多くの若者たちが巣立っていくことでしょう。

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