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沖縄県伊江島海の会と玉川学園のサンゴ研究との教育連携がスタート。第一弾として到着したサンゴの株分け作業が行われました。

2021.12.17

沖縄本島の本部半島の北西に位置する伊江島は、豊かなサンゴ礁に囲まれた島として知られています。この伊江島と、玉川学園Secondary Program Divisionのサンゴ研究部・自由研究サンゴが連携。2021年度から5年間にわたり、伊江島からサンゴを預かって養殖し、伊江島の海に還すことを目標とした飼育・研究活動をK-12の生徒たちが担うことになりました。 その第一弾として、伊江島で採取されたサンゴが9月29日(水)に空輸便で玉川学園に到着し、すぐに水槽に移されました。その後、水槽内の環境への適応期間を経て、10月14日(木)に、クラブ活動の生徒に加えて自由研究でサンゴの成育に取り組んでいる生徒が集まり、株分け作業に取り組みました。

9月29日到着時の様子

サンゴ礁の死滅や白化現象は国際的な環境問題の一つであり、伊江島の漁業関係者で構成された団体「伊江島海の会」でも、周辺海域のサンゴ礁の保護が喫緊の課題となっていました。その対策として水産庁の水産多面的機能発揮対策事業なども活用して保護活動を展開している伊江島海の会の活動に、玉川学園のサンゴ研究部・自由研究サンゴを指導する市川信教諭が新たなパートナーとして着目。日本サンゴ礁学会で知り合った水産土木建設技術センター安藤氏を通じてアプローチを図ったことから、今回の教育連携が実現しました。伊江島海の会でも、以前から地元小学校と一緒にサンゴの移植活動を行ってきましたが、さらに一歩踏み込んで飼育観察や研究を行う教育機関を探していたそうで、全国でも数少ない生徒たちのサンゴ研究体制(クラブ活動・自由研究)がある玉川学園は、最適なパートナーだと期待してくださっています。玉川学園と伊江島海の会に加え、伊江島とサンゴ保護活動をともに展開している国際航業(株)と玉川学園のサンゴ研究活動を支援してくださっている西松建設(株)にもご協力いただき、教育連携活動を行っていきます。

株分け作業当日はサンゴ研究部の児童・生徒と自由研究の児童・生徒の約30名が集まりました。サンゴの株分け作業が初めてという児童・生徒も多く、市川教諭やサンゴ専門誌コーラルフリークスにたびたび登場されるサンゴ陸上養殖の第一人者であるネオウェーブ阿久根直之氏による丁寧な指導に児童・生徒たちは注意深く聞いています。 株分けの方法は、まず電動ノコギリのような専用の器材を使います。「ゆっくりと切断すると断面が平坦になり、台座に定着しやすくなります」と市川教諭。児童・生徒たちもアドバイスを聞きながら、真剣な表情で作業を進めていきます。株分けされたサンゴは切断面から雑菌が入ることを防ぐためにヨウ素の中に15秒ほど浸す工程が必要です。その後台座に接着させ、慎重に水槽へ戻していきます。

株分けに参加した生徒に、話を聞いてみました。

「小さい頃から海が好きだったので、玉川学園には全国的にも珍しいサンゴ研究部があると聞いたので入部しました。日々、水槽の検査を行い水質を一定に保つようにしているのですが、休み明けにサンゴを見ると弱っていることもあります。サンゴは環境変化の影響を受けやすい繊細な生物なので、接しているうちに社会問題となっている海洋汚染や地球温暖化などへの関心も高まってきました(8年生・6-8年生のサンゴ研究部部長:櫻田光太郎くん)」。

「当初は『サンゴを切る』ということに対して良いイメージがなく、サンゴがかわいそうだと思っていました。けれども、今回参加できて、切って株分けを行うことでサンゴが健全に育つと知れたので良かったです。サンゴ研究部だけでなく自由研究でもサンゴに取り組んでいるのですが、世界と日本におけるサンゴを守る取り組みについて研究し、学園展でプレゼンテーションを行う予定です(6年生:鬼頭佑成くん)」。

「6年生になってどのクラブに入ろうかと考えていたときにサンゴ研究部のことを知り、興味を持って入部しました。サンゴのことは何も知りませんでしたが、先輩から本を貸してもらうなどして関連した知識が増えていき、その魅力を感じています。11月にはサンゴ部として伊豆へサンゴを見に行きます。普段水槽で見るサンゴとは違うと思うので、今から楽しみです(6年生:磯川昴くん)」。

今回株分けされたサンゴは玉川学園サイテックセンター内の水槽で育て、2022年に伊江島へ返す計画です。伊江島では返還されたサンゴを移植し、サンゴ礁の維持・再生に活かしていきます。また生徒たちは飼育観察を行うだけでなく、伊江島サンゴの成育条件なども調査研究しその結果を伊江島海の会や国際航業(株)の皆さんに向けて、さらには日本サンゴ礁学会やSSH研究発表会など外部の機関でも発表する予定です。市川教諭は、「いままでの他組織との連携では、サンゴを育てて移植するところまではいきましたが、今回は、5年という長期にわたるモニタリングができることになるので、いままでにない大きなプロジェクトを進めることになります。その研究の成果の中でサンゴの生育環境など新たにわかることもあるかもしれません。」と児童・生徒たちの活動に期待を寄せています。

玉川学園と伊江島海の会で新たに始まった教育連携。この連携が伊江島サンゴの成育にどのような影響を与えるのか、今からとても楽しみです。

サンゴ研究部の皆さん
自由研究サンゴの皆さん

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