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プロジェクト型授業により社会に貢献できる力を育成(クリスマスイルミネーションに挑戦)

2014.11.28

玉川大学芸術学部では、アートで社会に貢献できる人を育てることを目的に、多様な「プロジェクト型授業」を展開しています。そのうちのひとつを担当するのが、メディア・アーツ学科(現メディア・デザイン学科)の田中敬一教授。光・環境造形作家として、国内外でイルミネーションのプロデュースや光を使ったイベントの演出も手掛けています。

玉川伝統のクリスマスイルミネーションに挑戦

現在、田中教授がプロジェクト型授業で取り組んでいるのは、玉川大学のクリスマスイルミネーション「光のMisty Ring」。これは、現在建設中の大学教育棟の前にある3本のモミの木を中心としたイルミネーション演出で、12月1日から25日まで実施されます。その経緯について田中教授は次のように話します。

クリスマスイルミネーション テスト演出の様子

「モミの木に直接電飾を取り付けるのではなく、ミスト発生機で辺りに霧を漂わせ、それをライトアップすることで、樹木に負担をかけないイルミネーションにしました。実は、当初は電飾を直接取り付ける予定だったのですが、樹木にとってかなりの負担になることを知らされたのです。そこで、周辺から樹木に向けてライトアップする方法を考えました。しかしながら緑の葉に直接光をあてて色を出すのはとても難しい。また、あくまでも大学は学びの場ですから、洗練された品格を感じ、かつ知性を感じる演出にしたいと思い、演出方法を模索しました。そこで思いついたのが霧です。これならエスプリも感じられるし、風で流されて毎日見え方が変わるため、何度も足を運んでもらえるきっかけにもなる。クリスマスイルミネーションに霧というめずらしい取り合わせにも、モチベーションが高まりました」。

学内で培った力を社会で活かす方法を学ぶ

こうしてプロジェクトの内容が決まった後は、学生がその実行に取りかかります。「制作、運搬、会計、記録などの役割を学生に振り分け、それぞれの仕事を担当してもらいます。たとえば今回の場合、ミスト発生機の業者に発注をかけ、説明を聞いて一緒に組み立てたり、実際にデモを行い、それをビデオや写真に撮って広報活動にも取り組みました。今回の舞台はたまたま学内でしたが、以前には、羽田空港でオリジナルのLEDコスチュームを使ったグラフィック作品を制作したり、近くの金井小学校、町田市立博物館と連携し、作品制作ワークショップとその展覧会を企画・運営したこともあります。このように、学内の座学や実習で身につけたことを学外で実践してみて、社会でどう活かしたらいいかを学ぶのがプロジェクト型授業の目的です」。

「また、学生は実際に企業や自治体と連絡を取り、さまざまな交渉や調整にもあたる必要があります。こうした経験を積むことは、キャリア教育としても有効です。あくまでも学生が社会を実体験することが目的ですので、教員はプロジェクトの外堀を埋める役割に徹し、学生の自主性を重んじています。初めてのことなので学生にとっては大変でしょうが、実際にやってみると『この学生にこんな力があったのか』と驚かされることの方が多いですね。学生にとってもそれが自信になるようで、過去にはプロジェクトで担当した役割がきっかけで、職業としてその道を選んだ学生もいました」。

大変なぶんだけ力になる

田中教授のプロジェクト型授業を履修した学生は、その感想を次のように話します。

福留歩乃佳さん(3年)

 

「2年次は羽田空港でのグラフィック作品制作に参加。現在は東京・有楽町で行われる『ライティング・オブジェ』というイベントに向けた作品づくりを行っています。2年生のときは何もできず、先輩の後ろをついて回っていたという感じでした。先輩は動画やポスターも自分たちでつくっていて、それを見ているだけでも勉強になりました。私は写真のセレクトをさせてもらったのですが、それが実際ポスターになって駅や電車の中に張られているのを見たときは、大きな達成感がありましたね。インターンシップ先でこの話をしたところ『おもしろいね』といってもらえ、この経験は就職活動でも活かせると感じています」。

赤嶺ひとみさん(3年)

「去年と今年、続けて金井小学校での作品制作ワークショップに参加したことが特に印象に残っています。このプロジェクトでは、ワークショップで何をするのか、展示はどのように行うのか、一から自分たちで考えます。私は設営を担当していたのですが、会場の寸法を測って図面を起こすところから始め、どの作品をどういうレイアウトで展示するか、放課後遅くまで試行錯誤しました。何度も失敗したりやり直したりしましたが、最後は良いものが完成し、お客さんにも喜んでもらえたと思います。良いものをつくるためには、根気強く続けることが大切だと身に染みて感じました」。

梶村夏実さん(2年)

「現在進行中のクリスマスイルミネーションで広報を担当していて、イベントを告知するチラシは私がデザインしました。ミストをイメージさせるロゴを考えるなど、このイベントの魅力をどれだけ伝えられるかにこだわりました。チラシは学外に出ていくものなので、どう評価されるか不安もありましたが、それだけ真剣に取り組みましたし、とても良い勉強になりました。こうした経験は玉川大学でなければできないものだと思います。特に田中先生は『ほかの誰かがしたことでは意味がない』と、常に新しいことに取り組んでいます。そういう新しい試みに携われるのが、プロジェクト型授業の魅力だと思います」。

最後に田中教授は「実社会での業務の場合、通常クライアントがいて、その意向に合わせて制作するのがふつうです。一方、このプロジェクト型授業の場合は、外部の企業や自治体と連携はしますが、ある意味自己完結型のプロジェクトなので臨機応変に対応することができます。ですから社会経験をしながらも、学生は自分たちのやりたいことに取り組むことができるのです。また、私のような一人のアーティストが作品制作のためにたとえば羽田空港を貸してくれといっても、絶対に取り合ってはくれません。これは玉川大学の授業の一環で、学生が携わっているからこそ実現可能なものなのです。プロジェクト型授業は、こうした大学の多くの利点を活用した取り組みであり、アートで社会に貢献できる人材育成を具現化した授業の一つです。」と話していました。
これからも学生に魅力ある授業を提供し続ける芸術学部の活動にぜひご注目ください。

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