『全人』2016年9月号 No.808より
2016年9月号 No.808
玉川大学では今年度から世界共通語としての英語を学ぶ「ELFプログラム」を全8学部でスタートさせました。拠点となるELFセンターと新校舎ELF Study Hall 2015もオープン。学部学科を超え、少人数制、レベル別授業で、多国籍の教員とチューターは50名を超えます。
9月号では、グローバル化社会に必要な伝わる英語を身につけるプログラムの全容を紹介。ELFセンター長の小田眞幸教授の研究エッセイでは、ネイティブ信仰の強かった英語教育から世界共通語としての英語教育に至る背景を解説しています。
充実の連載ページの中でも「教育博物館館蔵資料紹介」では、10月からの「ガスパール・カサド没後50年 原智恵子没後15年記念祭」にちなんだ資料を6号にわたって紹介しています。

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イェール大学卒業後、三井物産勤務を経て立川志の輔に弟子入り。現在二つ目。古典・新作のほか英語落語にも取り組む立川志の春さん
でも、ネイティブのように話そうとしていた外国人学生なんて、日本人くらいだったんですよね。それで3年生の頃に思ったんです。「アメリカ人に『君の英語、うまいね』と言われたからって何ほどのものなんだ」と。そりゃあ「君の言っていること、面白いね」なら嬉しい。相手と長く付き合うことを考えたら、「うまいね」より、「面白いね」って内容を評価されるほうがいいですから。
こうも考えました。「日本人のしゃべる英語で上等じゃないか、内容さえ伝われば」と。僕は以後、ネイティブの英語をめざすのを止め、日本人らしい英語でいくことに決めました。
大学の授業は、大教室での講義に加え、週に2回は10人ほどで行うディスカッション形式でした。議論の場では、考えたことはすぐに言わなきゃいけなかった。「文法を正しく」「発音に注意して」とか考えるうちに話は進んでしまうんです。遅れてチャンスを逃すより、正しいかどうかなんて考えずに発言するほうがマシ。日本人らしい英語で、文法、発音を二の次にすることが、学ぶ上でもプラスに働きました。「『落語英語』で世界を笑わせる!」 立川志の春インタビュー p4
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ELFセンター長をつとめる小田眞幸文学部教授。自身の留学体験等のエピソードにも触れながら、玉川の英語教育の変遷を執筆
これまで実質的に学部別に運営されていた英語のプログラムを名実ともに全学共通に移行することを軸に、綿密な計画が立てられた。(略)新プログラムの試行初年度は従来のEFL(English as a Foreign Language)プログラムが用いられていたが、2010年頃から広がり始めたEnglish as a Lingua Franca(共通語としての英語)に注目した。
これはWorld Englishesとは異なり、異なる母語をもった話者が意思疎通のために使う共通語としての英語のことを指す。必然的にネイティブスピーカーとノンネイティブスピーカーの区別は全く必要がなくなった。(略)
筆者が玉川大学で英語を学んでいたころから35年、国際社会における人、もの、そして情報の移動はますます盛んになり、様々な背景をもった人々と英語で意思疎通をしなければならない場面もますます増えてきた。英語はもはやネイティブスピーカーのものを借用するのではなく、自分の大事なツールとして、目的達成のために使用することを学生が認識し、自信をもって巣立っていけるように、ELFプログラムを育てていきたいと思う。「真の国際人育成のために」小田眞幸 p16
目次
- [特集]ELFで世界へ
interview
「英語落語」で世界を笑わせる! 立川志の春
キーワードで読み解くELFプログラム What is ELF program?
英語を使いたくなる「非日常的な学修空間」 ELF Study Hall 2015
ELFプログラムの授業
【201/202】 多様な英語から伝えるスキルを身につける ブラゴヤ・ディモスキ
【401/402】 英語が引き出す自己表現とコミュニケーション 祐乗坊 由利 ジョディー
研究エッセイ
真の国際人育成のために…小田眞幸
先輩たちの留学体験記
故きを温ねて 37
「外國語の力なしには絕對的に學問は深まらない」…白柳弘幸 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 行事報告
低学年春の遠足…須賀恭平 - 玉川発見伝 7
奏楽堂と器楽演習室…モリナガ・ヨウ - 今月の一労作 33
第4回たまがわ会議 - キャリアナビゲーション’16
採用選考スケジュールを企業は【遵守】している?+SPIガイダンス - 学園日誌…小原芳明
- Book Review 138 『せかいのひとびと』…大谷千恵
- 教育博物館館蔵資料紹介 290 「ガスパール カサード 原 智恵子 ソナタ演奏会チラシ」…栗林あかね
- 玉川の仲間たち 「ドラゴンフルーツ」…水野宗衛