『全人』2019年12月号 No.844より
2019年12月号 No.844
自ら考え、自ら探究し、自ら工夫・創造することに学習の本質があると、教育信条に「自学自律」を掲げた創立者の精神は、自由研究、学びの技、課外活動などで展開される探究型学習に受け継がれています。12月号はSSH指定校の玉川学園で推進される理数系の探究型学習を特集。巻頭では鳥類学者の川上和人さんに、研究の道に進んだ動機などをインタビュー。つづいて、自らの興味・関心を原動力に研究に取り組む生徒3名に話を聞きました。台風であえなく中止となった創立90周年記念体育祭に代わって開催された「K-12体操発表会」を児童生徒の作文と写真で報告。「研究エッセイ」では芸術学部の小倉康之教授が、教会建築に込められた象徴的な意味を解き明かす方法について語ります。
表紙写真=岩崎美里
-
研究テーマが次々に湧いてくるような天才はごく一部です。人にちゃんと説明できなくても、ぼんやりでもいいから、面白いと思う対象に価値を見いだして研究してもいい。あせって無理矢理見つける必要はありません。
夢も同じです。もちろん夢をもつことはいいことですが、ないとダメなわけでもない。夢が見えていない状態は、それだけ伸びしろがあり、可能性が大きいとも言えると思うからです。
何をやっても興味をもてないという人はたくさんいると思います。でもその人たちが悪いわけではありません。大人はそれを否定しないでほしい。なぜなら、興味をもてるものにまだ出会っていないだけなのですから。「何となく面白い」から始まる研究の世界
鳥類学者 川上和人 p4 -
建築には「芸術」としての側面もあります。筆者の専門であるキリスト教建築は、文字が読めない中世の民衆にとって、「目で見る聖書」としての役割を担うものでした。バロックやロココの宮殿は、皇帝や王の権威を表現しています。こうした建築芸術には様々な意味が込められていたと推察されますが、時とともに宗教上、政治上の特殊な機能が忘れ去られ、象徴的な意味の解読が困難になっている場合が多いのです。
そうした「建築の失われた意味」に関心を持ち、学術的な手段で解読を試みる、という新しい建築の見方は、多くの人に知的な刺激を与えてくれるはずです。研究エッセイ
「教会建築を 読む方法」小倉康之 p22
目次
- [特集]楽しいサイエンス
interview
「何となく面白い」から始まる研究の世界
鳥類学者 川上和人
玉川とサイエンス
「答えのない課題にとことん取り組めるきっかけづくりが私たちの仕事」
理科主任 渡辺康孝
生徒インタビュー
自由研究 環境科学 サンゴ研究 12年木曽組 齋藤 碧さん
課外活動 サイエンスクラブ 12年鈴鹿組 野田 基さん
自由研究 地学・天文学 10年若草組 西牧美澪さん
故きを温ねて 73 「少年國芳のサイエンス」…白柳弘幸 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 玉川学園 K‐12体操発表会
- 研究エッセイ
教会建築を 読む方法…小倉康之 - 玉川発見伝 23
LED農園の 夢菜 …モリナガ・ヨウ - Teaching @ Tamagawa 9
Cracking the fear in the classroom…Travis Cote - 数字でみる玉川 9 『愛吟集』発行部数
- 今月の一労作 54
ラウンドスクエア実行委員会 届けよう、服のチカラプロジェクト - キャリアナビゲーション ’19
五洋建設株式会社 植田匡紀さん+就活Q&A - 学園日誌…小原芳明
- Book Review 174 『5Gビジネス』…山田徹志
- 教育博物館館蔵資料紹介 326
「『ロンドン動物学協会会議録』第5巻」…宇野 慶 - 玉川の仲間たち 「アテモヤ」…水野宗衛