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玉川大学の変遷Ⅳ 2003(平成15)年~2017(平成29)年

2018.02.06

学問の動向、社会的要請など教育を取り巻く環境の変化への対応を強いられる大学。玉川大学はそのような変化し続ける環境に柔軟な姿勢で対応し、積極的に改革を進めている。

1.常に時代の最先端を目指す教育組織の改編

1962(昭和37)年に工学部が誕生し、玉川大学は文学部、農学部、工学部の3学部体制となった。その3学部体制は39年間続いた。学科においても、1972(昭和47)年に、文学部に外国語学科、工学部に情報通信工学科を開設して以来、4学部体制になるまでの29年間、新たな学科の設置は行われてこなかった。

玉川学園キャンパス(2000年6月4日撮影)

しかし、21世紀を迎え、日本経済の急速な国際化や情報化により日本の企業を取り巻く環境が急激に変化し、高度な経営管理力と専門的知識、高い倫理観を兼ね備えた人材育成への社会的な要請が高まりを見せていた。このような社会的要請に対応するために、玉川大学では2001(平成13)年4月に経営学部を開設した。本学において社会科学系の学部設置は初めてであった。学科名称は国際経営学科で、学科名称に「国際」を付け、地球規模で物事を理解し、国際的な感覚を身につけた人材を養成することを目標に掲げた。

現大学1号館(経営学部開設時経営学部校舎)

経営学部開設の年、農学部の農学科が生物資源学科に、農芸化学科が応用生物化学科に学科名称を変更した。以後、変化の激しい時代に対応して、玉川大学では毎年のように教育組織の改編が続いている。

2001(平成13)年から2017(平成29)年までの改編状況

★印……学部or研究科の新設  無印……学部の学科or研究科の専攻の新設

開設年
(4月1日)
開設する学部・学科、
研究科・専攻の名称
学生募集を停止する学部・学科、
研究科・専攻等の名称
2001
(平成13)
★経営学部(国際経営学科)

【学科名称変更】
<農学部>生物資源学科
     応用生物化学科



<農学部>農学科
     農芸化学科
2002
(平成14)
★教育学部(教育学科)
★芸術学部(パフォーミング・アーツ学科)
     (ビジュアル・アーツ学科)

<文学部>人間学科
     国際言語文化学科
<文学部>教育学科
     芸術学科



     英米文学科
     外国語学科
2003
(平成15)
<文学部>リベラルアーツ学科
<教育学部>乳幼児発達学科
<短大>教養科
    幼児教育科
2004
(平成16)
<工学部>機械システム学科
     知能情報システム学科
     メディアネットワーク学科
     マネジメントサイエンス学科
<工学部>機械工学科
     電子工学科
     情報通信工学科
     経営工学科
2005
(平成17)
★マネジメント研究科 (マネジメント専攻)

<農学部>生物環境システム学科
     生命化学科

<農学部>応用生物化学科
2006
(平成18)
★教育学研究科(教育学専攻)

<文学研究科>哲学専攻
<文学部>比較文化学科
<芸術学部>メディア・アーツ学科
<文学研究科>教育学専攻


<文学部>国際言語文化学科

2007
(平成19)
★リベラルアーツ学部 (リベラルアーツ学科)

<経営学部>観光経営学科
<工学研究科>システム科学専攻
       脳情報専攻
<文学部>リベラルアーツ学科


<工学研究科>生産開発工学専攻

2008
(平成20)
★教職大学院(教育学研究科教職専攻)

<工学部>機械情報システム学科
     ソフトウェアサイエンス学科



<工学部>機械システム学科
     メディアネットワーク学科
     知能情報システム学科
2010
(平成22)
★脳情報研究科(脳情報専攻)

<文学研究科>人間学専攻
       英語教育専攻
<工学研究科>脳情報専攻

<文学研究科>哲学専攻
       英文学専攻
2013
(平成25)
★観光学部(観光学科) (経営学部)観光経営学科
2014
(平成26)
★脳科学研究科(脳科学専攻)
       (心の科学専攻)

<芸術学部>メディア・デザイン学科
      芸術教育学科
脳情報研究科


<芸術学部>メディア・アーツ学科
      ビジュアル・アーツ学科
2015
(平成27)
<文学部>英語教育学科
<工学部>エンジニアリングデザイン学科
<文学部>比較文化学科

2017
(平成29)
<文学部>国語教育学科
<農学部>生産農学科
     環境農学科
     先端食農学科
<工学部>情報通信工学科
<文学部>人間学科
<農学部>生物資源学科
     生物環境システム学科
     生命化学科
<工学部>機械情報システム学科

2.経営学部、教育学部、芸術学部の設置

経営学部の設置については上記にも記載したが、詳細は教育学部、芸術学部を含めて、「玉川大学の変遷 Ⅲ 2001(平成13)年~2002(平成14)年」に記述した。ここでは、当時の設置認可申請の手続きについて記すこととする。

経営学部設置には文部省(現在の文部科学省)への学部設置認可申請が必要。当時は認可申請の審査期間が長く、2年審査であった。翌年から1年審査に変更となったため、本学経営学部の設置の手続きは2年審査の最後の設置認可申請として行われた。

経営学部設置認可申請書類

経営学部設置の翌年、教育学部と芸術学部を設置することとなった。しかし、既設の学部・学科で過去4年間の入学定員に対する入学者の割合の平均が1.3倍未満でないと、新たな学部・学科の設置はできないと設置認可基準で定められていた。実は新たに設置した経営学部では予想をはるかに超える高校生が受験し、その結果、初年度入学者が入学定員の1.3倍を超えることとなってしまった。しかし、1年目にすでに教員、施設をすべて準備していたことと、超過した数値が4年間の平均ではなく1年間だけのものであったため、4年間では定員超過を是正するということで、教育学部と芸術学部の設置が認められた(現在は開設1年目に1.3倍を超えていた場合も設置認可申請は認められないこととなっている)。学部設置の手続きも、文学部教育学科、芸術学科を学部に独立するということで、通常の設置認可申請ではなく、「大学の設置等の認可の申請手続等に関する規則」の第六条の設置認可申請の手続きの特例(六条改組)を使っての申請が可能となった。当時は届出という手続きがなく、六条改組での申請が届出の役割を果たしていた。

3.リベラルアーツ学部の設置

玉川学園女子短期大学を廃止して、教養科をリベラルアーツ学科、幼児教育科を乳幼児発達学科として大学の学科に位置づけるために、設置計画が立てられ、文部省への申請手続きが進められた。

リベラルアーツ学科については、学部として設置することも考えられたが、まずは文学部の中に学科として設置することとなった。しかし、文部省からは、文学よりもリベラルアーツの方が分野が広いという指摘があった。文部省との交渉の結果、「人文科学」を視座の中心に据え、学生が自己の関心に応じてさまざまな分野を多角的・総合的に学ぶことのできるリベラルアーツ型カリキュラムとして新たな学びのスタイルを提案するということで、文学部の中にリベラルアーツ学科を設置することが認められた。

フィールドリサーチ・観察調査
北海道の小学校での授業実践

そして、文学部リベラルアーツ学科が完成年度を迎えたのを機に、2007(平成19)年4月にリベラルアーツ学部を設置した。すでに学科として存在していたため、設置認可申請ではなく、届出手続きでの学部設置となった。

リベラルアーツ学部リベラルアーツ学科を設置した理由は、国際化や科学技術の進展等社会の激しい変化に対応しつつ、国民としてはもとより国際社会の一員としての現実を正しく理解する力と自己の進むべき方向性の明確化が求められていることに応えるためであった。つまり「教養教育」を重視し、科学的かつ論理的な思考力と判断力あるいは体験を伴う行動力を修得する総合的な学力の育成を最大の目標とし、また人文科学系の学問に偏らず、総合的に学べる教育環境の提供を社会的な要請と考えての設置であった。具体的には、異なる意見や文化を持つ人と協働できる幅広い教養を有した人材、特にグローバル化した世界と現代日本の姿を様々な視点を通して理解し、自ら問題を設定し、その問題解決に貢献できる高い思考力と論理力を持った学生の育成を目的としている。

シンガポール国立大学との交流
台湾の淡江大学との交流

なお、乳幼児発達学科の設置にあたっては、前年度に教育学部を設置したばかりで、設置した学部が4年後の完成年度を迎えるまでは学科増設はできないというのが通例であったため、文部省との交渉が必要となった。その交渉の中で、学科を増設しても、教育学部の設置計画には変更がないということが認められ、教育学部を設置した翌年に、教育学部の中に届出手続きにて乳幼児発達学科を設置することとなった。

短期大学の教養科をリベラルアーツ学科に、幼児教育科を乳幼児発達学科に改組するにあたって、入学定員はそのままの数で設定することが可能であった。そのため、修業年限4年の新たな2学科の収容定員は、修業年限2年の短期大学2学科の収容定員の2倍となった。

4.教職大学院の設置

近年の社会の大きな変動、教育を取り巻く環境の変化に対応して、教員養成教育の改善・充実を図るため、教員養成に特化した専門職大学院の設置が必要となった。そのため、国策として2008(平成20)年4月より教職大学院が開設されることとなった。開設初年度は、国立大学15校、私立大学4校の計19大学が教職大学院を開設。本学も開設初年度に教職大学院を設置した。それから9年、2017(平成29)年現在では、国立大学46校、私立大学7校の計53大学に教職大学院が設置されている。

教職大学院主催の学校教育実践研究会

本学教職大学院では、

  1. 教職経験を有する小学校・中学校の現職教員を対象に、地域や学校における指導的役割を果たし得る教員として不可欠な、確かな指導理論と優れた実践力・応用力を備えたリーダーシップを発揮できる中核となり得る小学校・中学校教員の養成
  2. 学部段階で教員としての基礎的・基本的な資質能力を修得した者の中から、さらに、より実践的な指導力・展開力を備え、新しい学校づくりの有力な一員となり得る小学校・中学校教員の養成

を目的としている。

授業風景

教職大学院制度が構築されてまもなく、本学では設置認可申請にあたって、設置計画が立てられた。初めての教職大学院の設置であったため疑問点も多く、それをクリアするためにかなり早い段階から文部科学省を訪問。しかし、文部科学省では制度設計ができたばかりで対応準備がまだ整っていなかった。そのため本来の相談窓口である設置事務室ではなく、制度設計を行った専門教育課に相談に行くこととなった。その際、相談の席に、多数の設置事務室の担当官の人たちが見学者として加わった。そんな状況での設置認可申請となった。

実際の設置認可申請にあたっては、専門職大学院ということもあり、教員審査をはじめとする審査が大変厳しかった。特に、実務家教員を必要専任教員数の4割以上置くことが義務づけられており、各申請大学とも、その実務家教員確保に苦慮していた。文部科学省での教員審査では、申請教員全員が審査をパスすることは極めて難しいと言われ、ほとんどの大学が短期間での専任教員の差し替えに追われた。しかし、本学は全教員が担当科目に対する業績が十分にあると判断され、申請教員全員が教員審査をパスすることができた。

模擬授業

また、現職教員の本学教職大学院への入学派遣を東京都教育委員会に依頼。東京都教育委員会からは教育課程の内容、教育実習の方法などについて多くの要望が出された。その要望にも応えながら、本学独自の特色ある教育を盛り込んで、教育課程を構築した。そして、「教育の玉川」「教員養成の玉川」に相応しい教育研究を展開している。

5.観光学部の設置

我が国においては、世界に例を見ない水準の少子高齢化、国内市場規模の縮小など厳しさを 増す経済環境、グローバル時代の到来による本格的な国際交流の進展などに直面している。このような状況において、観光が地域活性化や国民経済の発展、国際交流の充実に寄与するものであるという背景のもと、2006(平成18)年に観光立国推進基本法が制定され、2007 (平成19)年に観光立国推進基本計画が定められ、2008(平成20)年には観光庁が設置された。観光は「国際平和と国民生活の安定を象徴する」とも、「21世紀のリーディング産業の1つである」とも言われている。

そのような背景のもと、現代における観光の意義や役割とその課題を的確に把握し、適切な情報の収集と分析を通して、また、異文化に対する理解を基礎に、高度な英語運用力を駆使してグローバル時代の観光産業と地域活性化に貢献できる人材を養成する観光学部を設置することとなった。

東京オリンピックに向けた文化交流
海外インターンシップ

観光学部の開設は2013(平成25)年4月。すでに経営学部の中に観光経営学科があり、その学科が独立・発展するということで観光学部を設置するため、届出での設置で文部科学省に手続きを行った。

観光学部では、学生全員が2年次後期から3年次前期までの1年間、海外留学をすることが義務づけられている。海外留学先は、多種多様な民族の文化が共存するオーストラリアのメルボルンにあるディーキン、スウィンバーン工科、ビクトリアの3大学。英語シャワープログラムにより4年間を通して英語運用力の定着を図っており、卒業要件としてTOEIC700点以上が課されている。

海外留学(ビクトリア大学)

2012(平成24)年9月7日、オーストラリア大使館にて、玉川大学フォーラム「グローバル時代における観光人材の育成」を開催した。観光庁長官や国連・世界観光機関アジア太平洋センター代表の方など各界の識者に講演をいただき、観光立国を担う人材の育成について考える機会とした。このフォーラムは、オーストラリア大使館、ビクトリア州政府、オーストラリア政府観光局、観光庁、国連・世界観光機関アジア太平洋センターの後援を受けての実施であった。同時にこの日、オーストラリア大使館にて、学生たちの留学先である3大学と本学との間で留学プログラムに関する覚書締結式が行われた。

玉川大学フォーラム
海外留学先3大学と覚書を交わす

6.脳科学研究科の設置

社会が高齢化し、多様化・複雑化が進む中で、精神・神経疾患や心に問題を抱える人の数が著しく増加している。そのような現状の中、脳は、認知、記憶、情動、意志等を司り、その研究は、人間を理解するための科学的基盤を与えるとともに、近年、医療、福祉、教育等の幅広い分野への貢献が可能となってきていることから、心の理解や人類社会の調和と発展につながる科学的価値の高い成果を生み出すことが期待されている。

脳科学研究所

そのような背景のもと、既設の脳情報研究科を改組して脳科学研究科を開設することとなった。脳科学研究科は心の科学専攻(修士課程)と脳科学専攻(博士課程後期)から構成されている。研究内容によって、心の科学専攻(修士課程)では、修士(工学)あるいは修士(学術)が、脳科学専攻(博士課程後期)では、博士(工学)あるいは博士(学術)の学位が取得できる。

GBI棟

心の科学専攻(修士課程)では、人間の心の働きを理解するために、脳の情報処理の仕組みを探求する脳情報科学研究、神経ネットワークの物質・形態・機能的な仕組みを探求する神経科学研究、行動とその源となる心理に関する原理を探究する人間科学研究を、社会に活かしていく技術者・教育者・研究者を養成する。

fMRI(機能的磁気共鳴画像)を用いた研究

脳科学専攻(博士課程後期)では、神経情報処理の仕組みを理解し新たな脳型情報処理の創出を目指す脳型計算論研究と、脳の働きを科学的に探求し人間の持つ豊かな心と社会の理解を目指す脳・神経学際研究を担う、研究者や技術者、教育者を養成する。

関連リンク

参考文献

小原芳明監修『全人』No.672 玉川大学出版部 2004年
小原芳明監修『全人』No.673 玉川大学出版部 2004年
小原芳明監修『全人』No.698 玉川大学出版部 2006年
小原芳明監修『全人』No.709 玉川大学出版部 2007年
小原芳明監修『全人』No.737 玉川大学出版部 2010年
小原芳明監修『全人』No.764 玉川大学出版部 2012年
小原芳明監修『全人』No.765 玉川大学出版部 2012年
小原芳明監修『全人』No.766 玉川大学出版部 2012年
小原芳明監修『全人』No.779 玉川大学出版部 2014年
小原芳明監修『全人』No.783 玉川大学出版部 2014年
大学案内パンフレット(教職大学院、脳科学研究科、リベラルアーツ学部、観光学部)
教職大学院設置認可申請書
脳科学研究科設置届出書
リベラルアーツ学部設置届出書
観光学部設置届出書

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