『全人』2018年3月号 No.825より
2018年3月号 No.825
神仏を畏怖し、聖なるものを敬愛する心を土台に人は育つ――その信念のもと、宗教教育に取り組む玉川学園。創立者小原國芳は「宗教教育すなわち人間教育」と語り、聖書の箴言や宗教家の格言、畏敬すべき存在を題材にした言葉や絵画を訓戒や指標とし、教育活動に取り入れてきました。礼拝を中心に、聖なるものに向き合うK-12と大学の学びを紹介します。「研究エッセイ」には大学で宗教教育に携わる文学部の小田部進一教授が登場。ルターの宗教改革から500年を迎えた今、ルターの生涯を振り返りながら、平和探求の学問として宗教研究の意義を語りました。「RESEARCH REPORT」は創立者生誕130年・没後40年・大学創設70周年記念として昨年12月に行われた「小原國芳と教員養成の70年」の模様を報告しています。
表紙写真=岩崎美里
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小原國芳にあって宗教教育とは、決してある特定の一宗一派の教育ではなく、どこまでも本来人間に備わっている宗教心の涵養ということでありました。
小原自身は最終的にクリスチャンに落ち着いたものの、教育の場でキリスト教を強要することはありませんでした。私は中学生だった頃、礼拝の講話で聴いた小原の言葉を覚えています。「人類を悩み苦しみから救って下さった大恩人がふたりいらした。キリスト様とお釈迦様だ。一方は愛を説かれ、他方は慈悲を説かれた。おふたりが目指されたものは同じではないか」と。
浄土真宗の家に生まれ、長じてキリストの教えに触れた経験が、小原をして広い意味で「聖なるもの」を受け入れる素地を作ったのだと思います。「玉川教育の根底を支える宗教の学び」 石橋哲成 p6
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約1年半を経て完成した久志晴耕塾は、清楚ながらも大きな存在感を放ち、開設40年を迎える久志農場の新たな顔となりました。
中央のエントランスを入ると、コミュニティスペースの大きな窓から丸木浜の風景が目に飛び込んできます。約50名が宿泊できる機能を有するほか、2つのラーニングスペースにはゆったりとした学修環境が確保されています。(略)
小原芳明学長は、「創立者の夢でもあった出身地の開発がひとつ成し遂げられました。皆様のご協力のもと、ここを拠点として農学部、教育学部、観光学部をはじめ多くの学生達や生徒達による様々な学び、地域貢献を期待しています」と語りました。「南さつまキャンパス久志晴耕塾竣功式」 浅田真一 p22
目次
- [特集]聖なるものに学ぶ
礼拝のある学校
創立期からの宗教教育
聖山の祈り/礼拝堂の完成/宗教教育にゆかりの人々 ほか
「玉川教育の根底を支える宗教の学び」 石橋哲成
K-12 心を育む礼拝の時間
大学 普遍的な教えに触れる
聖なるもの、聖なる場所
故きを温ねて 54
「ランシングと小原 信」…白柳弘幸
研究エッセイ
宗教改革500年から平和を考える…小田部進一 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 平成29年度 礼拝献金についてのご報告
- 行事報告
南さつまキャンパス 久志晴耕塾竣功式…浅田真一 - RESEARCH REPORT
小原國芳と教員養成の70年 - 生涯学べ 55
祐美・ジェーン・カーチス 北越高等学校ALT - 玉川玉手箱 15
春がきたら、また…有泉高史 - 今月の一労作 46
自由研究「着物」 - キャリアナビゲーション ’17
座間市役所 市長室 危機管理課 齋藤コスモさん+イベントスケジュール - 学園日誌…小原芳明
- Book Review 155 『深海のYrr』…矢崎貴紀
- 教育博物館館蔵資料紹介 307 「女學校すごろく」…柿﨑博孝
- 玉川の仲間たち 「コチョウラン」…山﨑 旬