「工・農・芸融合価値創出プロジェクト授業(PBL授業)」の集大成となる最終プレゼンが7月17日(水)に行われました。

2019.08.01

2019年度春学期の「工・農・芸融合価値創出プロジェクト授業(PBL授業)」もいよいよ最終回。これまで各学部の12名の教員が先端的なテーマで講義とワークショップを展開。3学部の垣根を超えた6グループの学生たちがそれぞれアイデアを練り上げてきました。
学生たちに与えられた課題は「玉川大学の新しい価値発信に貢献する『STREAM Hall 2019 新食堂』を提案せよ!」。
7月17日(水)、ELF Study Hall 2015 TAMAGOラウンジにて、6グループの学生による最終プレゼンを開催。各グループ渾身の新学生食堂のアイデアを約10分間のプレゼンで披露しました。
当日はゲスト審査員として玉川大学の卒業生でもある、株式会社雪国まいたけセールスマネージャー蒲義直氏、株式会社BRAIN MAGIC代表取締役神成大樹氏、株式会社博展第2営業本部長木島大介氏が参加。
また、フリーコンサルタントで工学部非常勤講師の力丸萠樹氏、あきた芸術村の長瀬一男氏、さらに大手厨房機器メーカーであるホシザキ東京株式会社より、設計課副部長松倉太一氏、管理部総務課主任大村奈央氏の2名の方が駆けつけてくださり、プロの目から学生たちのプレゼンテーションを審査しました。

蒲義直氏
神成大樹氏
木島大介氏
力丸萠樹氏
長瀬一男氏
松倉太一氏、大村奈央氏

以下各チームのプレゼン概要を紹介します(発表順)。

チーム ブラックヘアーズ

「学生生活の中心に“食堂”を」

アクション映画のオープニングシーンのようなメンバー紹介動画でプレゼンがスタート。続いてメンバーが寸劇で「混んでいる」「営業時間が短い」「コミュニケーションが取りにくい」など現状の学生食堂の問題点を指摘します。
その解決策として提案したのが学食アプリ「TAMApp」の開発と食堂内に「指定席」「料理BOX」「タッチパネルテーブル」の導入です。
アプリで座席の確保と注文・電子決済が可能で、好きな時間にゆったりと食事ができるため友達と時間を決めて集まることも容易になります。また、クラウド上での食費管理やカロリー計算、さらに食堂の運営サイドにとっても売上管理や変動料金制によるフードロス減少などの施策を図ることができるメリットがあると紹介。内容はもちろん、学食アプリ「TAMApp」のイメージが伝わるように、アプリ画面を試作して発表に活用したり、動画、音楽、寸劇などを取り入れるなど見せ方にも様々な工夫を凝らしたプレゼンでした。

チーム 右利き

「変化がある食堂」

「みなさんはどんな食堂が欲しいですか?」という問いかけで始まったプレゼン。チームの提案は、工学部や農学部をはじめ玉川大学のすべての知的リソースを駆使して、学生食堂を壮大な食品・メニュー開発の試作品の実験台にしようというもの。たとえばカフェメーカーなどと連携して、農学部の植物工場産レタスやイチゴを使ったメニュー開発を行い、食堂利用者アンケートなどによって商品化につなげていくというアイデアを紹介しました。
このアイデアのベースにあるのは玉川の丘のキャパシティ。幼稚園児から大学生、さらに教職員、保護者まで幅広い年齢層と志向性(文系、理系、芸術系など)を持つ人々が集い、いわば一般社会の縮図として市場調査の絶好のサンプルになるわけです。また農薬を使用せず安心・安全な食材を作る植物工場のPRなどによって、玉川大学のブランディングも図ることができると説明。企業と大学のコラボレーションとしてとても興味深い提案となりました。

チーム SNS

「師弟共食」

このチームは玉川学園の「全人教育」を出発点に新しい学生食堂のあり方を考えました。いわば「温故知新」のプレゼンです。
グループのメンバーは、玉川の学生なら誰でも知っている12の教育信条のうち「師弟間の温情」「24時間の教育」に着目して、新しい食堂で学生と教員が一緒に食事ができる環境づくりをすることを提案。お互いに大きなメリットが得られる師弟のコミュニケーションの場としての学生食堂=「師弟共食」を推進していくことを提言しました。そのために工学部は食堂アプリを開発、農学部は農場など作物の調理・実食、そして芸術学部は宣伝やキャンペーンのデザインを担当。こうした3学部の力を合わせた「師弟共食」の実現により、玉川大学の価値をあらためて世の中に発信していこうというものです。わかりやすいパワーポイント資料と要点を踏まえた明快な説明も好評でした。

チーム Active

「SF風な食堂」

このグループが提案する「SF風な食堂」とは、近未来を想定した「企業と大学生の情報交換の場となる学生食堂」というビジネスモデル。リアルな新学生食堂と、ネット上に設置したバーチャル空間の学生食堂を連動させ、優れた人材を求める企業と、将来の夢の実現をめざす学生の出会いの場にしようというのが基本コンセプトです。企業との接点を増やすことで学生一人ひとりの人材価値を強化し、それによって大学全体のブランド価値を高めていこうという壮大なプランで、食堂を運営する学内企業の設立や学内通貨の流通などのアイデアが盛り込まれていました。
やや概念的なビジネスプランを、情報が整理されたチャートを駆使してプレゼンすることで、聞き手のイメージをふくらまそうという意図が感じられました。

チーム 今日から筍

「『企画部屋』をつくる」

出発点は「玉川大学から起業家をたくさん輩出したい!」。そのためには“機会”“資金”“話し合う場”などが必要となり、学生食堂を起業のためのプラットフォームとして活用しようという提案です。
起業のためのプラットフォーム=「企画部屋」は、「様々な人々との交流を交えて新たな発想を生み出す場所」です。企画部屋専用サイトや食堂内の大型情報パネル(タッチセンサー仕様)、学内の起業家認定制度などのアイデアを披露し、異分野融合による人材育成という玉川大学の新しい価値を生み出そうと締めくくりました。ともすれば抽象的になりがちなアイデアを言葉だけではなくイラストスケッチで表現するなど、具体的なイメージを伝えようと努力していたのが印象に残りました。

チーム 9692(クロクツ)

「食と国際交流を結びつける」

メンバーの一人である農学部生のカナダ留学体験が出発点となったプレゼンです。義務教育から英語を学んでいる日本人ですが、未だに苦手意識を持つ人が少なくありません。ところが同じアジアの国でもシンガポールやフィリピンなどでは多くの人が日常的に英語を使っています。この違いは英語を使う機会の差。大学生が日常的に利用する学生食堂に英語を使う環境をつくれば、英会話への苦手意識を払拭できるのではないか? そんな発想から、新しい食堂を英語オンリーにしようというアイデアです。
英語話者を食堂スタッフに採用し、利用者も英語で注文するシステムに刷新します。今年4月の入管法改正により、外食産業においても外国人の就労が解禁されたことがプレゼン内容の背景となっているようでした。

すべてのチームのプレゼン終了後、ゲスト審査員と来場者のWeb投票による審査が行われました。
その結果、優勝チームは同点で「ブラックヘアーズ」と「右利き」の2チームに決定。どちらのチームもアイデアの斬新さ、アイデアの具体性、ビジネスモデルとしてのリアリティーなどが高く評価されました。その他のチームも得点は僅差で、ゲスト審査員各氏の一押しチームもほとんど重なることなく、かなりの接戦となりました。各チームの発表は内容が重なることなく、独自性を持った多様なアイディアが満載でした。農・工・芸術の各学部が融合した授業によって養成されたデザインシンキング(デザイン思考)の成果と言えるでしょう。

優勝チームインタビュー

チーム ブラックヘアーズ

プレゼン当日まで準備が終わらず、開始直前にパソコンが故障するなどのアクシデントもあり、ドタバタな状態で本番に臨みました。優勝と聞いていちばん驚いたのは私たち自身かもしれません。でも、社会人の方々から高評価をいただき、少し自信が持てました。
他のチームのプレゼンも興味深く聞きました。同時優勝した「右利き」のプレゼンも素晴らしかったですし、「SNS」の“師弟共食”のアイデアと私たちのアイデアを合体させても面白いと感じました。
今回、私たちはこの授業を通して、人それぞれが異なる意見を持つことは当たり前だということを学んだと思います。その違いの中から一つのモノを創り出していく苦労と楽しさはかけがえのないものでした。他学部の学生と一緒に考えるからこそ出てくる発想があるんですね。今後もこの経験を生かした大学での学びに取り組んでいきたいと思っています。

チーム 右利き

優勝の要因は、コンセプト&ロジック考案、プレゼン資料のビジュアル作成、口頭発表などメンバーの特性を生かした役割分担がうまくいったからだと思います。特に終盤にかけて、授業などが忙しい中でも全員が一致団結して頑張ることができました。
毎回の授業でメンバーの頭の中に浮かんだ学生食堂のアイデアを並べていったのですが、なかなか「これだ!」というアイデアがまとまりません。最初に小酒井教授に見ていただいたアイデアも「面白くないなあ」と言われてしまい、全員がへこんだこともあります。でも、とにかくたくさんアイデアを出してまとめていこうというチームの意志は次第に強くなっていきました。その中でチーム全員が他のメンバーを認めて、尊重し合うムードも生まれてきました。優勝できたこともうれしいですが、それ以上に他学部の学生とそうした関係を築き、一つのモノを創り上げたことがかけがえのない経験となりました。

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