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教育学部 原田眞理ゼミが放射線に関する知識の普及に貢献。環境省大臣官房環境保健部より感謝状を授与

2021.03.30

3月8日、環境省大臣官房環境保健部の放射線健康管理担当参事官である鈴木章記氏、参事官補佐古川卓也氏が来校。「放射線の健康影響に関するセミナー」の開催に貢献したとして、玉川大学に感謝状が贈られました。当日は教育学部の原田教授、ゼミを代表して4年生の市川秋音さんと山重恵美さん、そして小原一仁教育学部長が出席して授与が執り行われました。

左より 古川氏、鈴木氏、市川さん、原田教授、山重さん、小原教育学部長

臨床心理学が専門の原田ゼミはトラウマなどのこころのケアを中心に学んでいます。その中で、東日本大震災発災以来、福島県内外の支援をゼミ活動の一つとしています。原発事故の被害にあった地域での取り組みやセミナー等で放射線の健康影響についても学び、学問に基づいた支援活動を行っています。これまでの取り組みから、2020年度のゼミ活動として、環境省が主催する「放射線の健康影響に関するセミナー」に参加することになりました。「次世代と考える放射線に関する情報発信」のなかの『「伝える」ではなく、「伝わる」とは』というテーマの部分では、市川さんと山重さんが県外の大学生として発表しました。ゼミ生は12月16日、原子力安全研究協会理事長である杉浦紳之先生から「放射線の基礎知識、健康影響 ―遺伝性影響、胎児影響 ―福島原発事故と現状」の講義をハイブリッド型で受講しました。そして緊急事態宣言のため、1月23日に会場を東京と福島に分けて、専門家による授業と福島県内外の学生による、今回のテーマ、『「伝える」ではなく、「伝わる」とは』についての収録が行われました。動画は環境省のYouTubeに掲載予定です。

インタビュー先の一つ、株式会社KiMiDoRiにて。植物工場の見学

二人は昨年の12月に事前調査として、原田教授と一緒に福島県双葉郡川内村などを訪問。遠藤雄幸村長をはじめとする震災を経験された4名に「震災からの歩み」「現在の川内村の取り組み」「未来への願い」について、2日間にわたりインタビューを行いました。プレゼン当日は、この貴重なインタビューを含めて「私たちの考える伝え方―東京の大学生の活動―」と題し、最初に市川さんが、これまでのゼミ活動を紹介。科学的根拠がないにもかかわらず、放射線が福島県民の健康に影響している可能性が高いと間違った認識を持つ都民が約40%いるというデータを示しながら、ゼミ活動の中では2019年度開催の学食コラボが最も多くの人に伝わった実感があると述べました。その後、山重さんが福島でのインタビューから感じたことや伝えたいと思ったことを発表。将来、教壇に立つ日がきたときに、放射線をはじめ、現在置かれている福島の状況を正確に知り、防災教育や教科の学習を通して、子供たちに正しく伝わる授業を行っていきたいと結びました。

これらの活動が評価され、鈴木参事官から、「たくさんある情報やデータから、自分自身で正しい情報を探し出せる力をつけ、それを伝わる形で発信するという役割を担い続けてほしい」と激励の言葉とともに、「次世代に影響を与える人材を育成している玉川大学に期待しています」と感謝状が贈られました。

感謝状を受け取った市川さんと山重さん、そして 原田教授のコメントです。

教育学部教育学科4年 市川秋音さん

今回セミナーに参加させていただくことで、震災を風化させないためにどのような活動があり、自分たちに何ができるかを深く考える機会になりました。また、今までのゼミでの活動が多くの人に発信することができたのではないかと思います。この学びが自分たちの代で終わることなく、継続してこのような活動ができるよう、後輩たちに繋いでいきたいと思っています。
今回の発表にあたり、ヒアリングに携わってくださった方々、発表の機会を設けてくださった方々、ご指導いただいた原田先生に心から感謝します。本当にありがとうございました。

教育学部教育学科4年 山重恵美さん

セミナーを通してさまざまなお話をうかがうことができ、まだまだ知らないことが多くありました。そして何より福島のために働きかけている人がたくさんいることがわかりました。震災から10年が経つ現在でも次々と自然災害が起きているなかで、過去の災害を風化させないこと、これから起こりうる災害に備えることの大切さを改めて実感しました。そのようなことを今後、教壇に立ったときに子供たちにも伝えられるよう、自分自身ももっと過去のことや現在の福島のことを知っていきたいと思います。

教育学部教育学科 原田眞理教授

東日本大震災、福島第一原発事故から10年ということで、たくさんの情報が発信されていましたが、東京で暮らす大学生にとって福島の問題は少し遠いことになっているかもしれません。このセミナーでは、表層的なデータに翻弄されず、たくさんの情報を自分の中で取捨選択し、自身が判断していくことも大学生に問いかけました。これは新型コロナウイルス感染拡大についても同様のことが言えます。
これまでもセミナーに参加したり、講演を伺ったりしてたくさん勉強をしていた2人でしたが、今回インタビューをして、直接対話をすることにより、自分のこととして理解していこうという視点が強くなったように思いました。これが伝えるではなく伝わるのターニングポイントだと感じました。つまり、受け身的にいくら情報を受け取っても、それは知識にはなりますが、実感は伴わないように思いました。今回のセミナーに参加したあと、2人は「後輩や次世代に伝えたい、残したい」と自分のしたいことが明確になっているようで嬉しく思いました。

市川さんと山重さんは4月から本学大学院教育学研究科に進学し、さらに「心のケア」について研究を続けていきます。将来の教育現場を見据え、研究方法を模索しながら、理論と実践により「教育学」を修得し、子供たちの心に寄り添う教員になっていくことを願っています。

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