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オンラインで国際教育: COILから国際共同研究・プロジェクトへ

2021.09.17

2020年度(春学期秋学期)に続き、2021年度も玉川大学はオンラインによる国際教育や国際交流の機会を学生に提供しています。アメリカのペンシルヴェニア州にあるドレクセル大学、ビラノバ大学、ウィルクス大学との共同授業は、先方の大学授業と協働したCOIL(Collaborative Online International Learning)として定着しています。COILとはICTを用いて海外の学生と国際共修を行い、異文化理解や異文化間コミュニケーションスキル等を培う教授法のこと。日本でも多くの大学がCOILを使った授業・コース・プログラムを海外の大学等と共同で開発・実施を推進しています。以下、玉川における様々なグローバルの機会を意味するTamagawa Global Opportunities(通称:TAMAGO)として、国際教育センターの大谷センター長が中心となって開催しているTAMAGOイベントのCOILを紹介します。中でも、ウィルクス大学とのCOILは、両大学の共同研究として学会発表に発展しています。また、ドレクセル大学とのCOILも、玉川とドレクセル大学の学生との国際共同プロジェクトに発展しています。

1.ウィルクス大学・ワイオミングエリア小学校との共同授業2021年5月14日 日本時間21:30-22:30(米国東部時間 08:30-09:30)

教職コースの学生を対象にしたTAMAGOイベントとして、米国フィラデルフィアにあるウィルクス大学教育学部との共同授業、現地小学校(ワイオミングエリア小学校)でのオンライン参観(2020年12月)、そして現地小学校でのミニ授業体験(2020年2月)を実施しました(これらの実践は、2020年7月21日に産経新聞朝刊「学ナビ」に写真付で掲載されています。なお、オンライン版の記事もあります)。

アメリカの年度末は6月になるため、今回は、ミニ授業を経験したワイオミングエリア小学校の5年生が、5年生最後となる授業で玉川の学生達にクイズ形式の発表をしました。玉川大学からの参加者は、英語教育学科の米田佐紀子先生のゼミや授業を履修している11名です。

当日、ウィルクス大学教育学部の先生方とのZoom、そしてワイオミングエリア小学校が用意したGoogle Meetと、2つの異なるプラットホームを活用しました。目的は、Zoomをミュートにしたまま、ワイオミングエリア小学校のGoogle Meetにアクセスすることで、子ども達には見えない形で玉川の学生へのサポートや指示などをZoomのチャットに入れるためです。

当日の授業の流れは以下の通りです。

  • 自己紹介
  • ペンシルヴェニア州の教員養成について(カリキュラム、実習について)
  • Teaching English as a Second Languageのプログラムについて
  • 授業参観と子ども達の発表(ワイオミング小学校5年生クラス)
  • 振り返り

前半の自己紹介でアイスブレイキングをした後、ウィルクス大学教育学科主任のSuzanne Murray Galella先生より、ペンシルベニア州の教員養成について講義していただきました。続いて、ウィルクス大学English Language Centerセンター長のKimberly Niezgoda先生より、多様な児童生徒を対象に英語を教える第2言語としての英語Teaching English to Speakers of Other Languages(TESOL)のカリキュラムについて授業をしてくださいました。その後、後半のワイオミングエリア小学校5年生の授業に参加しました。

ワイオミングエリア小学校の当日の授業内容は、(1)イロコイ族の民話、(2)読む・話す・発表、(3)Creative Writingの作品発表です。授業後は子ども達が学生に伝えたいことをクイズ形式で出題してくれました。ワイオミングエリアスクールのマスコット、ペンシルベニアの滝、お祭り、ペンシルベニア州のリトル・リーグ、名物のチーズ・ステーキ、桜祭り、遊園地、州の花や犬など、玉川の学生に伝えたいことを魅力的なパワポで発表してくれました。クイズを出されましたが、ペンシルベニアや地域のことについてワイオミングエリアの5年生に教えてもらうことばかりでした。

将来、英語教師を目指している学生達にとっては、アメリカの5年生がどのように英語を学んでいるのかを学べる貴重な機会となりました。英語教育学科の米田佐紀子先生の授業では、このウィルクス大学およびワイオミング小学校との共同授業を活かした学びを授業に取り入れたことにより、コロナ禍だからこそ見えてきた現地小学校との交流の機会を大事にし、学びを継続・発展させていく準備をしています。

さらに、この取り組みは、国際共同研究としても発展し、2021年5月下旬に開催された日米教員養成協議会の第31回大会 (JUSTEC 2021)にて、オンラインでの研究発表をすることもできました(Chie Ohtani, Sakiko Yoneda, Kimberly Niezgoda, Suzanne Murray Galella (2021) “Collaborative Online International Learning (COIL) in Pre-Service Teacher Education” Proceedings and Abstracts of the 31st Japan-U.S. Teacher Education Consortium, p. 21)。

2.ドレクセル大学とのGlobal Café2021年5月14日 日本時間9:00-10:15(米国東部時間 19:00-20:15)

米国フィラデルフィアにあるドレクセル大学で日本語授業を履修している学生19人、玉川の学生19人、合計38人が参加しました。今回はGlobal Café なので、カジュアルにおしゃべりをしながり交流することが目的です。お題は、好きな本または映画についてです。小さなグループで交流するセッションを2回し、新しい友人をつくる機会となりました。日本語あるいは英語で自己紹介をした後、自分の好きな本あるいは映画を紹介します。当日は実物の本、映画のチラシなどを画面共有しながら、日本語/英語、時にジェスチャーを加えてお互いの好きなものを伝え合いました。次の週にGlobal Classroomで共同授業をするので、その前のウォーミングアップとして両大学の学生で交流することができました。

3.ドレクセル大学とのGlobal Classroom2021年5月20日 日本時間9:00-10:30(米国東部時間 19:00-20:30)

教育学部の大谷千恵先生のゼミ生(3年)とTAMAGOスタッフの希望者、合計16人が参加しました。ドレクセル大学は日本語授業を履修している学生30人が参加。今回の共同授業では、「ビジネス・シーンにおける日本語の敬語」がテーマです。日本企業をアメリカ企業が表敬訪問するという場面設定でのシミュレーションです。

玉川の学生は、日本企業の社長や部長を演じます。ドレクセルの学生は、アメリカ企業の社員を演じ、日本企業を表敬訪問に相応しい日本語に挑戦しました。アクティビティでは、まず、アポを取るための電話から始まります。次に企業訪問し、挨拶、名刺交換(名刺を画面共有)しながらの自己紹介、そして相手の会社を褒めながら、自分の会社をアピールします。気に入っていただければ、社長が自宅に招いてくれることになっています。なんとか社長宅に招かれたら、まずは家や窓から見える景色など、褒めながら、良い雰囲気をつくります。そうしていると、お茶とお菓子が出されます。どんなお菓子か説明があり、そのお菓子についても褒めながら話をしていきます。相手を立てながら、相手を褒めていく。沈黙にならないように気を遣うなど、表敬訪問では色々と気を回しながら会話を進めていくことを実感したようです。玉川の学生は、日本語の尊敬語や謙遜語を使っているドレクセルの学生の姿から刺激を受け、自分も英語をもっと頑張りたい!と思ったようです。

後半、余裕のあるグループは立場を逆転させ、アメリカでビジネス展開したい日本企業を玉川の学生が演じ、アメリカ企業を表敬訪問しました。英語で相手を褒めながら、ビジネス・パートナーとなれるように、ビジネスの話を進めていくことの難しさと楽しさを学びました。「あいにく、本日は名刺をきらしておりまして…」と、本物の日本のビジネスマンのような日本語を使うドレクセルの学生に、玉川の学生が驚く場面もありました。

オンラインでの表敬訪問をシミュレーションしましたが、画面共有しながら、相手を褒める、おもてなしをする、お土産を渡す...など、色々なところで相手への気遣いをする日本文化を再認識する機会にもなりました。

このGlobal Classroomをきっかけに、大谷千恵先生のゼミ生とドレクセル大学の有志の学生で「コロナ禍における東京とフィラデルフィアの学生生活」をテーマにしたプロジェクト「【玉川×ドレクセル】授業風景あつめてみた!」に取り組んでいます。こちらは、オンラインで開催される玉川大学のコスモス祭(大学祭)のゼミ展示で発表する予定です。COILから国際共同プロジェクトに発展しています。

4.ビラノバ大学とのGlobal Café2021年7月30日 日本時間 22:00-23:00 (米国東部時間 9:00-10:00)

フィラデルフィアにあるビラノバ大学は、バスケットバールでは全米制覇をしたスポーツ強豪校としても有名です。東京オリンピックのバスケットバール男子USA代表チームのコーチングスタッフには、ビラノバ大学のヘッド・コーチ、ジェイ・ライト氏が加わっています。これまでに交流したビラノバ大学の学生の中にもバスケットボール部の学生が宝物のシュートを決めたバスケットボールを見せてくれたこともあります。

今回の司会進行はTAMAGOスタッフで、昨年度のTamagawa Global Leadership Fellowsとして選ばれた英語教育学科の岡本壮平さんが担当してくれました。何度か司会進行を経験してきたことで、前よりも余裕を持って、初めて参加するビラノバの学生に接することができていました。

今回のGlobal Caféで司会進行を務めさせていただき、とても貴重な経験ができたと感じました。コロナ禍で自分自身、留学が中止になってしまい国際交流の場を失いかけていた中でTAMAGOイベントは私の留学に対しての気持ちを持ち続けるための貴重なプラットフォームでした。TAMAGOイベントではさまざまな国の方との交流や英語力の向上はもちろんのこと行動力や継続力も自然に高めることができると感じました。学生生活で何かやりたいけど何をしていいか分からないという方にとって良いきっかけになるのではないかと思います。私もこれからも積極的にさまざまなことに取り組んでいきたいと思っていますので興味のある方は気軽にご参加ください 。(文学部英語教育学科3年 岡本壮平)

Global CaféのようなカジュアルなTAMAGOイベントに参加することをきっかけに、少しずつ、アカデミックなTAMAGOイベントに参加するようになり、今度はイベントの運営などに挑戦するように成長したTAMAGOスタッフもいます。TAMAGOイベントは、学生達が気軽に参加できるイベントとして、今後も楽しく交流しながら、小さな成功体験を学生が重ねていけるようにしていきたいです。

Topics: その他のTAMAGOイベント

留学経験がキャリアに与えるメリット

6月28日17:00-18:30

ポスター制作:芸術学部メディア・デザイン学科3年 石田愛
(指導:小北麻記子教授)

昨年度に続き、今年度も「留学経験がキャリアに与えるメリット」というタイトルで留学経験をした卒業生から就活や進学にどのように繋がっていったのかお話しを聴くTAMAGOイベントを開催しました。参加者は、国際教育センター副センター長の髙城宏行先生が担当する履修生と参加申し込みをしたTAMAGOスタッフの52名です。今回、お話をしてくださった卒業生は以下2名です。

  1. 岸本夏希さん:農学部(生物環境システム学科)卒業、食品会社の生産本部購買グループ勤務(主に国内外からの原材料の調達を担当)
  2. 長尾マリアさん:芸術学部(パフォーミング・アーツ学科)卒業、豪クイーンズランド大学でMaster of Applied Linguisticsを修了

お二人からは、学部・大学院での留学や海外インターンの体験談、その後の就活・キャリアパスと現在のお仕事、さらに留学を通して得た経験、スキル、 物事の見方・考え方、価値観などがキャリアにどのようなインパクト・メリット を与えたかなどについてお話しいただきました。 留学先にて多様な文化、考え方、価値観などに触れることで、自分のアイデンティティや可能性などを見直し、将来のキャリアを考える良い機会となったこと、また留学を通して英語力や専門知識の向上に加え、コミュニケーションスキル、適応能力、チャレンジ精神、時間管理能力などが身につき、さらに人との繋がり、ネットワークが広がったことが留学の主なメリットであり現在のキャリアにも生かされていることなどを話してくださいました。多くの受講生から、卒業生の話に刺激を受け、将来のキャリアを見据え留学への意欲がより高まったとコメントがありました。

参加した学生からのコメント:

  • 留学がゴールではなくそこからどうやって将来に繋げていくのかを考え、難しいことから逃げずに挑戦している姿に感銘を受けました。(農学部2年)
  • 留学がキャリアにメリットを与えるのは、コミュニケーション能力や知識、人との繋がり、適応能力があるからだけではなく、目的が明確な留学をすることで、就活でもその専門分野での学びが活かせるからなのではないかと推測した。(芸術学部2年)
  • 留学がキャリアに与えるメリットして単純に語学力などの学業面の成長だけではなく、コミュニケーション能力やチャレンジ精神といった人としても成長することができるという側面もあるということを理解しておかなければならないと感じた。(文学部2年)
  • 今日卒業生の話をお聞きし、留学中、常に自分とは何なのかについて考えていたという事を知り、またそれがこれからの自分のキャリアについて考えるときに役に立った事を教えてもらい、印象に残りました。(リベラルアーツ学部3年)

次のTamagawa Global Leadership Fellowsを目指せ!
~成功する申請書と書き方のコツ~

2020年7月21日 17:00-18:15

Tamagawa Global Leadership Fellowsは、競争性の高い国際的なプログラムやイベントへの参加など、著しい成果をあげた学生に支給する玉川スチューデントサポート基金の奨学金です。2021年度は、休学を伴う場合であれば1人50万円、休学を伴わない場合は30万円と増え、これまで以上に学生の成果を奨励できるようになりま した(審査基準や詳細については、UNITAMAの下の方に表示される「国際教育・SAE」で募集要項要確認)。

ポスター制作:芸術学部メディア・デザイン学科4年
菅 葉子さん
(指導:小北麻記子教授)

ワークショップには、今年度の申請を視野に入れている学生、海外でボランティアをした学生、これから何かにチャレンジしようと考えている学生、頑張っている仲間から刺激をもらいたいと思っている学生が参加しました。

ポスター制作:芸術学部メディア・デザイン学科4年 妻木亮子
(指導:小北麻記子教授)

玉川大学国際教育センターは、グローバルに活躍している学生を応援する奨学金だけでなく、そのようなチャレンジを視野に入れていけるように、頑張っている仲間と共に学んだり、刺激を受けたりできる機会も大切にしています。

TAMAGOイベントは、玉川大学の学生であれば誰でも参加できます。まずは、TAMAGOスタッフに登録してください。学内にも芸術学部の学生が制作してくださってポスターが掲示されていますので、QRコードから登録することもできます。

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