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研究内容と歌でSDGsに提言。5年生がさまざまなアイデアをプレゼンテーションしました。

2021.11.25

9月21日(火)、「Tamagawa Academy SDGs Festival」がUniversity Concert Hall 2016内のメインホールMarbleで開催されました。これはPrimary Divisionの5年生が、SDGsを題材に自分の考えた解決策をプレゼンテーションするというもの。サブタイトルには「Song for SDGs 世界を変える歌とアイデア」が掲げられ、プレゼンテーション内容をより理解してもらうため、自身で作詞作曲した歌による歌唱表現にも取り組みました。この日は審査を通過して選ばれた7名の児童が、壇上でプレゼンテーションを行い、最終審査に臨みました。

6月には「SDGsがつくる地球の未来」というテーマで勉強会を行った5年生。公益社団法人日本環境フォーラム事務局長の加藤超大氏、東京ガス森高雪菜氏をゲストスピーカーとして迎えて、SDGsがめざすさまざまなゴールや環境問題についてレクチャーを受け、5年生全員が自分事として未来の社会・環境について考えました。その上で、児童一人ひとりが関心を持ったSDGsを深く掘り下げる調べ学習にも挑戦。具体的な施策をレポートにまとめる児童や実践に取り組む児童も多く、24名の児童がプレゼンテーションの企画と歌の創作にチャレンジしました。その中から学内選抜を経て、今回7名の児童が最終審査に参加することになりました。

当日は、各自が課題として取り上げたSDGsとその解決策を8分程度にまとめた内容を発表しました。またプレゼンテーションを行う児童以外の5年生は、オンラインでの視聴で学習に取り組み、後日課題レポートを全員提出しました。Marble内も手指消毒や検温、マスクの着用の他、ステージ前にはパーティションを設置するなど、万全の感染症対策を行っての開催となりました。


<挨拶時のみマスクを外しています>

この日の司会を担当するのは安倍尚樹教諭と、6月の勉強会でもゲストスピーカーとして講演を行った東京ガスの森高雪菜氏です。児童たちが取り組んだ今日までの過程と審査員の紹介を行った後、審査員を代表して東京ガスのソリューション共創部の清水精太部長よりご挨拶をいただきました。
「今回、5年生の皆さんが柔らかく純粋な頭で考えたことは、間違いなく世の中から求められていることです。そしてSDGsの17項目を含め、将来いろいろな課題を解決するため、多くのことを学んでいくことと思います。今は吸収することが多いと思いますが、今日のように自らテーマを決め取り組んでいくことはAIにはできないことであり、それこそがこれからの社会に強く求められていることだと考えています。チャーチルの言葉に『世界は若者に口説かれ、勝ち取られるためにある』というのがありますが、皆さんのような素晴らしい若者に道を譲ることを、今から私も楽しみにしています」。
清水部長の言葉に大きな拍手が送られた後、児童たちによるプレゼンテーションが行われました。

大津 翔太郎くん
ビーチクリーンの実践から 楽しく活動できるアイデアを

日頃から鎌倉の海岸でビーチクリーン活動に参加している大津くん。どれだけのごみが出ているのかなどを調べた上で、どうすれば人々がビーチクリーンに興味を持って参加してくれるのかを考察。参加者が取り組みやすいようポイント制を導入しそのポイントに応じて記念品がもらえるなどの具体策を立て、子どもにアプローチを図ることでその親世代にも参加してもらうといった案を発表しました。また、海のごみの多くが街から流れてきたものであり、日頃からごみを捨てない意識を持ってほしいという想いを込めて「We can do it!」という曲を披露しました。

中西 美空さん
世界の子どもに教育を すべては自分ごととして考えることから

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言でオンライン授業を経験した中西さん。けれども世界には教育を受けることのできない子どもたちがおり、環境を整えなければPCなどを配布しても意味がないことを理解しました。SDGsの「4 質の高い教育をみんなに」を実現するためにはその他の目標にも取り組まなければいけないと気づき、それらの項目のSDGsロゴの色が近いことにも言及しました。「世界の子どもに教育を」その想いを「Keep the sunshine in your heart」という曲に込めました。

A.T.さん
美しい海の未来へ プラスチックの使用を減らすために

海洋プラスチックごみの問題について興味を持ち、自分たちでできることをしようという考えを「Change this world billions of hearts」という曲にしたTさん。調べていくうちに、このままだと2050年頃の海は魚よりごみのほうが多くなってしまう現状を知りました。プラスチックごみを出さないようにするために身近な取り組みの一つの例として、蜜蝋ラップの作り方を紹介しました。実際に使用した感想も交え、一人ひとりの意識が変わり、それぞれの出すごみの量が減れば、環境問題も大きく変わることを訴えました。

島田 沙季さん
オリジナル絵本で 世界の子どもの教育をともに考える

SDGsの目標「4 質の高い教育をみんなに」を実現するために自作の絵本を作り、情感を込めて読み上げた島田さん。その内容は先進国と途上国の教育格差を解消するべく、学校に行けない子供たちに対し、トラックに大型スクリーンをつけ、移動式の教室を作り授業を行うという提案を行いました。その移動教室で出た質問は情報センターでとりまとめ、世界中の先生に回答してもらう仕組みです。最後に今回のプレゼンテーションで感じたことを、「Carry on!」という歌にし、表現しました。

根木 絢未さん
世界の人々の衛生環境を守る ロボット製作と実演

世界では5歳以下の子どもの命が5.6秒に1人失われている。この衝撃的な事実と同時に手洗いがとても効果的であると知った根木さんは、楽しく手洗いができるロボットを開発。このロボットは根木さん自身がプログラミングを行い、アートセンターの3Dプリンタを使って製作しました。実際に幼稚園で使用してもらいアンケートを取ったり、企業を訪れて製品化をお願いするなど活発に活動。このロボットの製品化で出た利益を使い、途上国のトイレなどに手洗い設備を設置したいと、企業の皆さんにもお願いしました。また最後に自身でマリンバを演奏しながら自作の曲「世界に広げよう正しい手洗い」を披露しました。

青柳 弥栄さん
リサイクル楽器でオーケストラを 海の声が聞こえますか

海洋ごみの問題に着目した青柳さん。調べ学習を進めていくうちに、漂着した海洋ごみを使って楽器を製作し、演奏を行うオーケストラが存在することを知りました。このオーケストラの想いに共感し、自分でも実際に海に行って集めた海洋ごみでアンデス地方の笛「サンポーニャ」という楽器を製作し、会場で演奏も行いました。その音色から海の苦しみや海洋ごみの問題を知ってほしいという青柳さん。さらにここまでの研究の中で芽生えた想いを「The voice of  the sea 〜希望になる日まで〜」という曲で表現しました。

伊﨑 崇太くん
フードロスの解消に向けて 課題解決のための実践

世界では、年間13億トンものフードロスが発生しており、日本でもこの問題が大きく取り上げられています。伊﨑くんは各国の現状や解決策などを調べた上で、食べられたのに破棄される食料を減らすことで、SDGsのゴールとして挙げられている飢餓なくすことができるとアピール。自分たちでできることはないかと考えた結果、一般家庭で起こるフードロスはどれくらいなのかと興味を持ち、そのサンプル値を自分で作成し、家庭などでの小さな努力の積み重ねが大切だと力強く訴えました。そうした調査を進める中で抱いた想いを「希望の船」という曲で表現しました。

全員のプレゼンテーションを聞いた後、審査員による最終審査が行われました。別室で行われた審査では、子供たちの課題に対する想いとメッセージを込めた歌の内容と表現力、そして発表内容から総合的に審査を行いました。結果発表に先立ち、審査委員長で芸術学部長の中島千絵教授は、「本当に、どのプレゼンテーションも甲乙つけがたい内容でした。また皆さんの礼儀正しく、綺麗な日本語で、一言一言きちんと伝えてくださったことに、本当に感謝しています。そうした中でも賞を決めなくてはいけません。最も優れたプレゼンテーションにグランプリをということでしたが、それとは別に、サステナブル賞とパフォーマンス賞という二つの特別賞を用意しました」と、発表内容が素晴らしかったことから、新たな賞を追加したことを児童たちに伝えました。
そしてグランプリは、実際にロボットを製作するといった活動やデータ解析、論理的な組み立てができていると内容が評価された根木絢未さんが受賞。サステナブル賞は海洋ごみから楽器を製作した青柳弥栄さん、パフォーマンス賞は歌や発表の表現が素晴らしかった島田沙季さんが受賞しました。受賞した3名は壇上に上がり、中島千絵教授から賞状を授与されました。また今回プレゼンテーションを行った7名全員に、玉川学園から記念品が贈られました。

賞の贈呈の後、東京パラリンピックの水泳で金メダルに輝いた木村敬一選手からのインクルーシブな社会の実現に関するビデオメッセージが流れました。

<挨拶時のみマスクを外しています>

最後にPrimary教育部長の野瀬佳浩教諭からの挨拶がありました。
「児童たちは今回のような発表の場を得たことで、自らの目標に向かって大きく羽ばたいてくれるのではないかと思っています。彼らや、今日はオンラインで参加している児童たちは、2030年に20歳を迎えることになります。この子どもたちがさらに大きな発信源となって、地球の担い手としての活躍をしてくれるのではないでしょうか。このような場を設けてくださったことに深く感謝致します」。

SDGsを深く掘り下げることで、自分なりのテーマに取り組んだ5年生の児童たち。それぞれが、「18番目の目標」を見つけたのではないでしょうか。SDGsのゴールとなる2030年、20歳を迎える彼らが社会の課題にどのように取り組んでいってくれるか、今からとても楽しみです。

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