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シリコンバレーの「今」を肌で知る、またとない機会。米国の投資家・江あきさんによるTAMAGOイベントが開催されました。

2022.08.16

6月9日(木)に、玉川大学国際教育センターによるTAMAGOイベントがオンラインで開催され、アメリカのベンチャーキャピタルファンドで投資家として活躍している江あきさんからお話を伺いました。今回のイベントはJETRO(日本貿易振興機構)サンフランシスコの所長を務めている山下隆也氏が企画運営を行っているシリコンバレー体験プロジェクトと、玉川大学国際教育センター及び玉川大学観光学部の共催という形で実現しました。

司会進行はJETROサンフランシスコ所長の山下氏

江あきさんは東京大学経済学部を卒業後、戦略コンサルティングファームに勤務。入社から3年経った後、アメリカのスタンフォード・ビジネススクールに入学してMBAを取得しました。その後現在の職場である、シリコンバレーにあるベンチャーキャピタル、WiLに入社。主にヘルスケアやフィンテック関係のスタートアップへの投資を担当しています。孫正義育英財団生 第一期生でもあります。

まず、シリコンバレーという地域の特性について語ってくれた江さん。「私は留学で、初めてシリコンバレーにやって来ました。世界を代表する名だたるIT企業がこの地に本社を置くだけでなく、スタートアップの聖地と呼ばれ、毎月のように新しいテクノロジーが生まれては消えていきます。そうしたテクノロジーのいくつかが残り、私たちの生活を変えていくんですね。なぜシリコンバレーでそうしたことができるのか。それにはいくつかの理由がありますが、まず起業家精神に富んだ教育機関が集まっていることが挙げられます。日本ではいかにリスクを回避するかに重きが置かれますが、シリコンバレーはその逆で、『Fail Fast』という言葉があるくらいです。これは日本語に訳すと『失敗は速くする』ということですね。日本企業はなにか新しいことをやるにも計画に時間がかかりすぎて、失敗するのにも時間がかかってしまい、こんなに時間をつかったのに大失敗してしまった・・・となるのですが、スタートアップのマインドセットではとりあえず実行することで、速いスピードで「小さな失敗」をクイックに繰り返し、よりはやく成功に近づく、という意味です。最初に手がけるビジネスなんて、失敗するのが当たり前。ただその経験を糧に、最終的に成功をつかみ取ることが大事であるという考え方です。こうした考えで学生を指導する大学があると同時に、ベンチャーキャピタルというビジネスが活況を呈している点が、シリコンバレーがシリコンバレーたる所以だと思います」。

その上で、江さんはベンチャーキャピタルというビジネスについても触れました。「ベンチャーキャピタルとは、可能性のあるスタートアップ企業を見つけて投資を行い、育てていく会社やビジネスのこと。スタートアップ企業が手がける新たなアイデアは可能性が未知数のため、従来の銀行はなかなか融資をしてくれません。そこで私たちベンチャーキャピタルは、次のGoogleやFacebookになるようなビジネスを見つけ、その可能性を見極め、投資の交渉を行い、継続的にサポートしていくという四つのフェーズでスタートアップ企業とビジネスを展開しています」。
そのビジネスの過程で、江さんは必要となる資金を日本の大企業から調達し、アメリカのみならず日本のスタートアップ企業のサポートも行っているそうです。その中には学生たちも知っている有名なフリマアプリの会社も含まれています。「私たちは、日本とアメリカの、そして大企業とスタートアップ企業の架け橋になりたいというミッションを掲げています」という江さんの言葉を、学生たちも注意深く聞いていました。

そして最後に現代の世界の動向、特にコロナ後のスタートアップ企業について、三つのキーワードで語ってくれました。「一つ目は『危機・変化がドライブするイノベーション』。いつの時代も危機や変化の時期に新たなイノベーションが生まれます。今回もコロナによって、たとえばヘルスケアの分野で新たなテクノロジーが生まれています。そして二つ目は『エクスポネンシャル時代』。インターネットが普及したことで事業の成長スピードが予測不可能なほどの速度を記録するようになりました。特徴的なのは、若い会社ほど成長の速度が速いということですね。そして三つ目が『感性の時代に』です。日本企業は技術があってもそれをどう売るかが得意ではないとよく言われます。それに対してシリコンバレーで成功した企業の多くは『顧客から始める』ということに注力しています。イノベーションには市場規模、テクノロジーに加えて、この顧客ニーズが重要なんですね。この三つのキーワードが、今回私がお伝えしたかったことです」と、プレゼンテーションのための資料も提示しながら学生たちに説明を行った江さん。

この後、オンラインでの質疑応答が行われ、時間の関係でこの日オンラインで質問できなかった学生の分は、後日まとめてメールでやり取りが行われました。
「ベンチャーキャピタルの仕事というのは、企業のほうからアプローチがあるのですか。それともベンチャーキャピタル側から企業にアプローチするのでしょうか」という質問に対しては、「いい質問ですね。アメリカでも指折りの、大手ベンチャーキャピタルであれば、企業のほうからアプローチすることが多いと思います。ただ、それ以外は双方からアプローチが図られますね。私たちも『この会社は面白い!』と思ったら、競合他社に取られないようこちらから声をかけます」とのことでした。
「なぜベンチャーキャピタルで働こうと思ったのですか?そしてなぜシリコンバレーだったのでしょうか」という質問に対しては、「やはりスタンフォード大学への留学が大きかったと思います。もともとは留学後に以前の会社のインドオフィスで働こうと思っていたのですが、留学でリスクテイクのカルチャーに触れ、自分もスタートアップのビジネスを始めたいと思ったこと。そして実際に始めたのですが、資金が調達できなかったんですね。そんなとき、シリコンバレーにある現在の会社からのオファーがあり、投資家の視点でスタートアップ企業を見てみたいと思ったのです」と、現在に至るまでのキャリアについても説明。この他にも多くの質問が学生から寄せられ、江さんも丁寧に答えてくださいました。

またこのイベントの参加した学生のコメントから、多くの学びと気づきが読み取れます。

シリコンバレーがイノベーションの実験場ということに興味を持ちました。イノベーションを起こすには自由な発想や今までの固定概念を覆すことが重要ですが、固定概念を覆すには今までにはない挑戦をすることが必要であると考えています。そのためには、今日のお話にあったシリコンバレーの特徴である「リスクを好む」「Fail Fast」という考え方が活きてくると考えました。
(工学部マネジメントサイエンス学科 4年 永野幸輝)

印象深かったことは二つあります。一つ目はシリコンバレーでは常に新しい発明や経営、アイディアを実現していることです。日本では、煩瑣な手続きや承認が必要で、新たなアイディアを実行しにくい環境です。そして変化を好まず、新しいものを受け入れにくいところが、アメリカとの大きな違いの一つと感じました。二つ目は、早期の失敗を望み、失敗を次につなげるという考え方です。「成功しなくても、失敗だけはしたくない」と考えてしまうジェネレーションとして、大きなショックでした。私たちは一体いつからこんなに失敗を恐れることになったのでしょうか。沢山の失敗を経て、経験を積み上げたことによって成長することを今回の講義で気づけました。
(経営学部国際経営学科 2年 千薇薇)

新しいことに挑戦する時の、心構えを変えることができました。中でも、Fail Fastという言葉が衝撃的で、失敗の数だけ挑戦があり、挑戦の数だけ成功への可能性が広げることができると学びました。これからは、自分の選択に自信を持って、成功のために挑戦を続けていきたいと思います。
(観光学部観光学科3年 鈴木海心)

TAMAGOイベントに参加する学生は、学部を問わずグローバルな学びや将来に関心を持っていますが、今回の江あきさんの講演は、「いま世界で何が起きているのか」、「ITを含めた最先端のスタートアップ企業とベンチャーキャピタルのビジネスの実際」、「シリコンバレーと日本の考え方の違い」、「海外で学び、働くということ」など、さまざまな観点から学ぶべき点が多く、学生にとっても刺激的な内容でした。今回のイベントをきっかけに、海外に視野を広げて自分の将来を考える学生が増えることを願っています。そして玉川大学国際教育センターでは、今後もこうしたTAMAGOイベントを展開していく予定です。

なお、10月にも、産官学連携、高大接続の実践として、山下氏の司会進行でシリコンバレーで活躍されている岡田謙之氏(世界トップシェアのGPUメーカーおよびトップクラスのAI企業であるNVIDIA社の自律走行車開発部門のシニアソフトウェアエンジニア)をお招きし、K-12の生徒たちにご講演いただく予定です。

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