オンラインで国際教育:学生企画で留学生との交流、産学連携も
Tamagawa Global Opportunities(通称:TAMAGO)とは、玉川大学における様々なグローバルな学びの機会を意味します。その1つであるTAMAGOイベントは、①入門、②キャリア、③アカデミック、④交流といった4つのカテゴリーをバランスよく組み合わせて展開しています(これまでの取り組みは「関連リンク」から)。「③アカデミック」として開催している海外大学とのCOIL(Collaborative Online International Learning)は、国際共同研究やプロジェクトにも発展しています。
2022年度春学期の特徴は、対面で開催した留学生と交流するイベント、産学連携したコンテンツです。進化を続けているTAMAGOイベントをどうぞご覧ください。
1.ウィルクス大学の授業+現地小学校参観 ②③2022年4月22日(金) 21:30-22:30+事前授業
英語教師を目指している英語教育学科(中高1種免(英語)と小2種免(全科))と中2種免許(英語)を目指している教育学部の学生が参加しました。英語教育学科の学生達は、米田紀子先生が担当されている授業「Teaching English to Children」の履修者、Wilkesとの交流経験のある大学院文学部研究科1年生、米田ゼミの学生、そして教育学部の学生です。昨年に引き続き、今回もワイオミングエリア・スクール(米国ペンシルベニア州)の5年生と交流しました。
昨年と同様に、初めにウィルクス大学教育学部 教育学科主任のDr. Suzanne Murray GalellaとDr. Kimberly Niezgoda(English Language Centerのセンター長およびTESOLの修士課程のプログラム・コーディネーター)からアメリカの小学校についてレクチャーを受けます。
次に、地域のロールモデルの教師、master teacherであるMs. Kara Anthonyの授業を参観しました。Kara 先生の授業からは、学ぶことが多いです。例えば、ネズミのガリレオ(クラスのマスコットのパペット)を授業に参加させ、子ども達が疑問に持ちそうなこと、考えそうなことを代弁しながら、楽しく授業を進めていきます。授業の導入、発問、子どもへの声かけ、展開など、スムーズに進む授業を観察しました。
昨年12月に玉川大学の学生達の授業を受けた子ども達が、今度は玉川の学生にクイズを出したい!ということで、後半は、子ども達が作ったクイズに玉川の学生が答える授業となりました。
英語話者の子どもが話す英語を聞く機会もなかなかないので、子どもの早口で話す英語に少々戸惑いながらも、楽しくペンシルベニアのご当地クイズで子ども達が伝えたい!と思うペンシルベニア州について色々と知ることができました。この取り組みは2回目。前回聞き取れなかったのは準備不足もあったので、今回は事前に質問をもらい、下準備をしました。答えがあっていたかどうかはさておき、学生たちは以前より理解でき、回答できた喜びを実感していました。また、準備することで異文化理解を深めるとともに、リスニングには当該テーマについての知識を持つことの重要性を改めて痛感したようです。
2.ドレクセル大学とのGlobal Café ①④2022年5月11日(水) 9:00-10:00+事前活動 40分
Global Café は、カジュアルにおしゃべりをしながら、テーマについて意見交換しながら交流することを目的としています。今回の司会進行は、経営学部2年の河上紗良来さんとドレクセル大学コンピューターサイエンス学部4年のエイバリー・ディーマーさんが担当しました。参加者は、ドレクセル大学(米国フィラデルフィア)で日本語授業を履修している学生22人と玉川大学の学生16人(合計38人)です。
お題は、(1)私のコミュニティのすてきなところ、(2)エコのためにしていることの2つです。小さなグループで交流するセッションはブレイクアウトルームを使って2回まわします。自己紹介をした後(ドレクセルの学生は日本語、玉川の学生は英語)、今回のテーマを通して自分の価値観やライフスタイルを共有していきます。自分で用意したパワポを画面共有しながら、日本語/英語、時にジェスチャーを加えながら、お互いについて伝え合いました。次週に予定しているGlobal Classroomに向けての良いウォーミングアップとなりました。
司会進行を終えた河上紗良来さん(経営学部2年)の感想
Global Cafeで司会をさせていただいた際は、初めて司会を勤めさせていただいたため非常に緊張し、不慣れな点が多かったとは思いますが、ドレクセル大学の方々のフレンドリーな人柄に触れ、イベントが進むにつれて笑顔で話せるようになりました。アメリカの学生と一緒に司会を務める機会は非常に稀だと思いますし、司会をする事で言語能力もコミュニケーション力も上がった気がします。非常に良い経験となりました。
エイバリー・ディーマーさん(コンピューターサイエンス学部4年)の感想
グローバル・カフェは、初めての司会だったし、上手にできたか分からなかったし、非常に緊張していましたが、沙来来さん、玉川大学とドレクセル大学の先生の支援のおかげで、自信がつきました。いつものように、玉川の学生の皆さんと話すことができて、楽しかったです。私の仲間のドレクセルの学生も同じように感じてくれたことを願っています。皆さんに、本当に感謝しています。
ディーマーさんは、日本語で上記のコメントを送ってくれました。ドレクセル大学の学生達の日本語レベルの高さに玉川の学生達は多いに刺激を受けました。
3.ドレクセル大学とのGlobal Classroom ③④2022年5月19日(木) 9:00-10:00+事前活動 40分
司会進行は、前回に引き続き、経営学部2年の河上紗良来さんとドレクセル大学のAveryさんが担当しました。ドレクセル大学の学生10人と玉川大学の学生14人が参加しました。「コミュニティと資源」をテーマに、自分達の地域で行われているリサイクル、コミュニティ・ガーデン、子ども食堂など、コミュニティにある色々な資源をどのように活用しているのか、貧困や環境問題にどう取り組んでいるのか、身近で具体的な事例を基に日米比較しました。当日に充実した意見交換ができるよう、以下の手順で進めました。
- ドレクセル大学の学生達が日本語で用意したプレゼンファイル(日本語での音声付)を事前に提出します。
- 玉川の学生は同じグループに割り当てられているドレクセル大学の学生のプレゼンを視聴した上で、当日までに英語で自分の発表用パワポを用意します。
- 当日、玉川の学生はドレクセルの学生にフィードバックをしてから自分の発表をします。
- お互いの発表を元に、自由に意見交換をします。
ブレイクアウトルームでの1回の活動時間は20分。20分したらグループを変え、違うメンバーと意見交換します。ドレクセルの学生達は、見やすくわかりやすいパワポを用意した上で、日本語の発表をつけたファイルを作りました。ドレクセルの学生達の発表タイトルは「クールビズのキャンペーン」「もったいないの歴史」「Zero Waste Life」「現在と未来のゴール」「ファーストファッション」「日本でのゴミの堆肥化」「発電タイル」など、各自の切り口は色々です。玉川の学生からは「Re.UNIQRO」「脱プラスチック化」「買い物袋について」「社会教育」「環境に関するロゴ」など、日本企業の取り組みや教育の視点から発表していました。
参加したドレクセル大学の学生からのコメントからも言語学習としても、環境問題についての学びとしても、意義ある機会となったことが伝わります。
- グローバル・クラスルームは面白くて楽しかったです。玉川大学の人たちはエコバッグをよく使うので、エコバッグはとても便利だと思います。(チー)
- 僕の発表のあとでいい質問をくれたのは良かった。自由に話した時に、僕と玉川学生の趣味は似ていると思った。でも、普通は日本人とは話さないので、ちょっと緊張して僕の考えるスピードが遅過ぎたから、あまり話さなかった。それでもグローバル・クラスルームは楽しかった。次回、もっと話したい。ありがとうございました。(ロバート)
- グローバル・クラスルームは楽しかったです。コミュニティや環境についていっぱい話しました。特にRE― UNIQLOの話を初めて聞きました。面白いキャンペーンだと思います。私は日本語を上手に話せるようにもっと勉強します。いつか日本へ行って、そこで日本語を話したいです。(エリック)
4.Let’s Make TAMAGO Friends! ①④2022年5月25日(木) 17:00-18:00
経営学部2年の河上紗良来さんの企画・運営で、バックグラウンドを越えてTAMAGO(Tamagawa Gobal Opportunities)に登録している玉川大学の学生達が学部やつながる機会を設けました。当日は14人が参加。
留学生やルーツルートを中国やアメリカに持つ学生など、多様なバックグラウンドを持つ学生が集まりました。容姿、言語、所属などだけではわからない多様な背景を持った学生が自然な形で知り合い、お互いに励まし、支えあえるようなコミュニティをつくれるようなTAMAGOイベント。そんなイベントにしたいと、参加者の人数、留学生や日本語を母語としない学生の割合など、色々なケースを想定してグループ分けをし、誰もが居心地良く話せるイベントを目指しました。
河上さんが用意した「見ればわかる自己紹介」のサンプルを参考に、参加者は自己紹介と自分の出身地クイズをパワポで用意します。出身地クイズを通して、楽しくお互いについて知っていきます。中国に住んでいた学生もいたので、自然に中国からの留学生と中国語でおしゃべりしていました。その場/関係に合う言語を選んで使う姿が見られ、本学のELF(English Lingua Franka)の考え方を垣間見ることができました。
対面授業が増えた今年だからこそTAMAGOのメンバーで実際に集まり活動することで友達の輪を広げる事だけではなく、TAMAGOの活動をもっと活発にできるのではないかと思い企画させていただきました。実際に会が始まると話が自然に弾み、短い時間でしたが学年、学部、出身地の枠を超えて沢山の友達を作る事ができました。イベントを企画・運営する事ができて本当に良かったなと思います。
(経営学部2年 河上紗良来)
終了時間になっても帰らず、30分以上、おしゃべりしている様子から充実したイベントとなったことがわかります。学生主体で、このような機会を企画・運営できたことを嬉しく思います。
5.シリコンバレー体験プロジェクト ③④2022年6月9日(木) 9:00-10:00
日本貿易振興機構(JETRO)サンフランシスコと産学連携したTAMAGOイベント。シリコンバレーで活躍している江あき氏をスピーカーにお迎えしました。Fail Fastというスタンフォード大学やシリコンバレーのマインドから、多いに刺激を受けました。
6.留学がキャリアに与えるメリット ③④2022年6月28日(火) 17:00-18:40
在学中に留学をした本学卒業生をお迎えし、留学経験が卒業後のキャリアにどのような影響を与えたのかについて話をしていただくTAMAGOイベントを開催しました。25名の学生が参加し、中には留学先のオーストラリアからオンラインで参加した学生もいました。今回お招きした卒業生は以下の2名です。
- 冨井 優花さん(リベラルアーツ学部卒業)
- 在学中にイギリス・エセックス大学に留学し、卒業後に日系航空会社に就職
- 笹川佳暉さん(経営学部卒業)
- 在学中にアメリカ・ペンシルベニア大学に留学し、卒業後に企業への就職を経て起業
お二人には留学体験談、帰国後の就活、卒業後のキャリアパスと現在のお仕事、さらに留学を通して得た経験、スキル、物事の見方・考え方などが後のキャリアにどのようなインパクトやメリットを与えたのかについて話をしていただきました。留学を通して英語力、専門知識、コミュニケーション能力、異文化理解や適応力が向上しただけでなく、留学先で異なる文化や価値観に触れる中で、自己のアイデンティティや卒業後の仕事の可能性を考える良い機会となり、また多様な人々との出会いや繋がりがこれまでのキャリアに生かされているとのことでした。卒業生の話に参加者は大いに刺激を受けていました。以下参加者の主なコメントです。
留学が自身のキャリアに与える影響はとても大きいということを改めて実感しました。留学は就職だけではなく、人生を大幅に変えるものということが分かりました。留学経験は留学後すぐに影響がある訳ではなく、就職をした後、あるいは何十年先の人生にも、留学で得た経験や思考は生き続けるのだと思いました。
(リベラルアーツ学部2年)
留学先での経験が、その後のライフプランを考える材料になっていることがお二人の話から共通して感じました。英語力など実践的なスキルの習得以上に、異文化に触れたことによって得た自己理解や精神力、行動力や積極性の向上が大きいように思いました。
(芸術学部3年)
お二人のお話を聞き、とても参考になりました。お二人ともとてもモチベーションが高く、自分の人生を謳歌し、次のステップアップを目指して日々過ごしているように感じました。将来留学をして、英語力の向上は大前提に、多様な価値観や考えを受け入れ、かつ自分の意見をしっかりと言い、問題解決能力を高めて日々成長することを試みようと思いました。
(経営学部4年)
7.グローバルに活躍するために必要なエントリーシートの書き方 ③④2022年7月4日(月)17:00-18:15
昨年度に続き、今年度もグローバルに活躍していくリーダーに期待されるポイントを押さえたエントリーシートや申請書の書き方についてのワークショップを国際教育センター長の大谷千恵先生が実施しました。
まず、競争性の高い賞やプログラムにどんなものが含まれるのか紹介した上で、 玉川大学のTamagawa Global Leadership Fellowsに申請できる活動や取り組みについて確認しました。選ばれる人のエントリーシートや申請書は、何が違うのか?誰も選ばれようと書いていると思いますが、以外と自分の視点だけで書き上げていることが少なくありません。大切なポイントは、具体的な実績と成果を通して「この人を応援/投資したい!」と思わせられるかどうかです。そのためには、選ぶ側が何を求めているのか、よく応募要項で確認した上で、自分の実績と成果の価値を客観的に伝えていくこと。つまり、作戦を練ることが必要なのです。 例えば、「私は誰にも負けない努力をしました」のような言葉を使う人を散見しますが、このような極端で主観的な言葉は避けた方がいいです。理由は、上には上がいるし、どんな努力をしたかが具体的に見えないので、口だけの印象を与えるからです。また、英語で書くエッセイなどの時は、日本語で聞こえが良い言葉も、そのまま英語にすると印象が変わることがあります。
例えば、日本の学生が比較的好んで使う言葉に「やらない後悔より、やった後悔をしたい」がありますが、このまま英語に直訳すると後ろ向きな印象を与えます。大事なのは、その言葉で言わんとしている真意に着目して掘り下げて考えていくことです。そうしていくことで、同じ意味でもポジティブでわかりやすい言葉が見えてくると思います。よくある言葉を自分の言葉にしていくことで、オリジナリティのある言葉になります。
このように、ワークショップでは具体的な事例を元に、作戦の立て方、言葉の使い方、海外と日本での申請書の書き方の違い、インパクトのあるエッセイのポイントについて学びました。参加した学生達は、自分の申請書やエントリーシートをブラッシュアップし、それぞれの目標とする賞/プログラム/奨学金にチャレンジしていってほしいです。