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風評を払拭し被災地に寄り添う。教育学部 原田眞理ゼミが環境省より感謝状を授与

2022.12.21

玉川大学教育学部の原田眞理教授の臨床心理学ゼミが、環境省主催のセミナー「ラジエーションカレッジ」の開催に貢献したとして、感謝状が贈られました。ゼミへの感謝状授与は、昨年度に引き続き2回目となります。7月12日には環境省から古川卓也氏と松村悠子氏が来校。原田教授をはじめゼミ生代表として大学院生と学部生の5名、佐久間裕之教育学部長が同席し、感謝状をいただきました。

左から 佐久間教育学部長、教育学研究科 山重恵美さん甲斐るりかさん原田教授河内裕太さん古川氏、松村草薙彩花さん佐々木信吾さん

*撮影時のみマスクを外しています

東京電力福島第一原子力発電所事故以降、放射線に係る健康影響への不安を抱える住民等に対するリスクコミュニケーションに取り組んでいる環境省。同時に放射線の健康影響に関する風評を払拭するため、正確な情報を全国に発信しています。決して身近とはいえない放射線に対する理解を深めるため、情報を読み解く力と風評にまどわされない判断力を身につける場として生まれたのが、「つむ、つな、つたわ」の末尾の文字を取った環境省の「ぐぐるプロジェクト」。そしてこのプロジェクトの事業の一つであり、学生や社会人が放射線の健康影響に関する学びを深め、発信する場となっているのが「ラジエーションカレッジ」です。

原田ゼミでは、昨年開催されたプロジェクトのキックオフミーティングに山重さんが学生代表として参加するなど、さまざまな形で関わってきました。また、ゼミでは福島県双葉郡川内村を訪れ、学内での講演会実施や川内村の食材を使ったメニューを学食で販売するといった活動を続けています。この他、7月14日には原子力安全研究協会による「放射線の基礎知識及び健康管理について」、環境省福島環境事務所による「飯舘村長泥地区の環境再生事業」の講義を受講。放射線に対する知識を深めながら、福島の方々の心に寄り添ってきました。こうした活動を環境省も評価し、今回の感謝状授与という結果につながりました。

感謝状をいただいた後、古川氏からお話をうかがう機会をいただいた原田ゼミの学生たち。そこで古川氏は「これまで10年以上、福島県を中心に健康影響調査を続けていますが、健康に影響のあるような被ばくはなかったという結論が出ています。ただ、現在でも風評被害や差別・偏見が払拭されたとは言い切れません。これからも皆さんの力を借りながら、ぐぐるプロジェクトなどを通して活動していきたいと思っています」と語ってくださいました。

参加した学生2名に話を聞きました。

昨年の放射線の健康影響に関するセミナーでは放射線に関する知識を得ただけでなく、未だに放射線への不安からくる偏見によって苦しむ方々がいることを知りました。多くの情報が手に入る現代において、迂闊に情報を信じる怖さを感じたと同時に、自分から掴みにいくことも必要であると分かりました。それらの学びをもとに、毎年原田ゼミではゼミ研修や学食コラボを実施しています。こうした取り組みの中で、私たちは正しい情報を発信する役割を担っており、偏見や差別をなくし、災害を風化させないようにしていきたいと考えています。また、教員になってからも、児童生徒が自分ごととして捉えていけるよう、伝えていきたいと思います。(4年 草柳彩花さん)

原田ゼミの活動の一つに講演会がありますが、震災を経験された方々からお話を伺い、津波被害や故郷を離れざるを得なくなった辛さ、原発被害からの復興の様子を知り、災害に対して常に当事者意識をもつことの大切さを学びました。また、夏のゼミ研修では震災遺構の浪江町立請戸小学校を訪れ、震災をどう伝えていくか考えていきます。このような貴重な経験を生かして、教員になった際は防災教育に取り組み、災害に備える大切さを子どもたちに伝えていきたいです。この学びが自分たちの代で終わることなく、継続してこのような活動ができるよう、後輩たちに繋いでいきたいと思っています。(4年 河内裕太さん)

「現代はスマホやインターネットの普及により、情報があふれています。大学生には、あふれた情報の中から自分で正しい情報を選び取ってほしい。その上で、情報を受け身として捉えるだけでなく、自ら考え、発信してほしいと願っています」と語る原田先生。

東日本大震災、福島第一原発事故から11年が経過した現在。玉川大学で学ぶ学生の多くにとっては10歳前後に起きたことであり、福島の問題はもう過去の出来事になっているかもしれません。こうした中、いじめや不登校などで悩む子どもたちのこころの理解を大切にし、臨床心理学のエッセンスを取り入れた教員のあり方について学んでいる原田ゼミでは、これからも震災を次世代に語り継ぐことで次の災害に備えられるよう、防災教育や被災者のこころのケアにも取り組んでいきます。

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