令和元年度 AP活動報告

(1)学修支援を強化するための専門スタッフの継続雇用(4月~3月)

実績

平成30年度に引き続き、学生の主体的な学びと学修時間の確保に向けて、ラーニング・コモンズに常駐の教員(専任教員2名、非常勤教員3名)、および事務補佐員4名(シフト制)を雇用し、学生の学修支援や指導に当たった。

成果

アカデミック・スキルズ全般の指導や英語関係・会計学(簿記・BATIC)学修指導、IT活用・操作方法指導など2,292件(前年度2,153件)の学修指導、学生の相談・質問に対応することができた。また、サポート・デスクの認知度上昇することを目的に、学期初めに「SUPPORT DESK NEWS LETTER」(計2号)を発刊した。1年生と教員を中心に配布したことにより、結果として、学生および教員の認知度も上がり、授業の中でラーニング・コモンズの活用を呼びかける教員も増えた。さらに、ライティング等アカデミック・スキルズに関する講座も複数回開講した。科目担当教員と連携することでラーニング・コモンズの活用が広まった。新たな取り組みとして、入口横に伝言板を設置し、学生が感想、要望を自由に書き込み、常駐教員が回答を掲示することとした。これにより、学生により身近に感じてもらうことができるようになった。学修支援の推進により学力の向上(GPAの伸び)が確認できた。以上の多様な取り組みの結果として、学生のアクティブ・ラーニングへの対応の支援となり、アクティブ・ラーニングの有効性を高めることにもつながったと考えている。

(2)日本語プレースメントテストの実施(5月)

実績

アクティブ・ラーニングによる学修の成果を高めるためには、学生の基礎学力を把握する必要がある。本学では日本語のコミュニケーションの基本は語彙力と理解力にあると考えており、このことから、学生の基礎学力を把握するために継続して、日本語についてのプレースメントテスト(日本語運用能力テスト)を1年生全員が受検した。

成果

Z会ソリューションズの「日本語運用能力テスト(標準レベル)」を大学1年生全員に受検させた。当該テストは「学術文献に頻出する語彙を知っているか」「理解した内容を実生活に応用できるか」という観点から日本語運用能力テスト能力を捉えるもので、本学が日本語コミュニケーションの基本と考える語彙力・理解力の測定に適したものと考える。結果としては、今年度入学生は中間レベル=自立した使用者が80%を占め、上級レベル=熟達した使用者は2%に留まっていることが確認された。全学的には全国平均(75%)よりは高いものの、一方、学部によっては1/4以上が基礎レベル=基礎段階の使用者であることも判明した。昨今の新聞離れも日本語運用能力低下の一因と考えられることから、希望する学部に対し読売新聞社の協力による新聞講座を行った。しかしながら、参加した学部は3学部に留まり、さらなる対応策を検討する必要がある。また、次年度には希望者がより高いレベルの応用レベルを受検できるよう計画している。継続受検により1年間の学修成果を測定することができると考えている。

(3)学修成果に関する卒業生調査の実施(6月)

実績

本調査は、本学の教育活動全般についてその成果を可視化し、課題を明らかにすることを目的としている。過去2回の調査は卒業後3年目の卒業生を対象としたが、今回は卒業後10年目以内の卒業生を対象とした。主に、大学や学びに対するイメージ、学生生活への評価、学習活動や体験活動等への評価、身に付けた能力が仕事や生活を送る上で役立っているか、在学中に経験した活動や人間関係への評価、卒業後の大学とのつながりについて、分析した。

成果

今回の学修成果に関する卒業生調査は、卒業後10年目以内の卒業生を対象に実施した。回収数97名と回収率は低かったが、今回の調査では調査項目を増やし、内容も細分化されたものとなっており、きめ細やかに卒業生の実態を可視化するものとなった。全体をとおし、本学の教育活動全般に対して肯定的な回答が多くみられた。一方、外国語の活用能力の向上が実感できないという回答が少なくなく、課題として認識された。この課題は在学生調査でも同様の傾向がみられ、互いに整合する結果となった。今後も同様の調査を継続して行い、在学生調査など他の調査結果とも合わせた分析をすることで、本学の教育の改善および質保証につなげていく。

(4)担任による学修成果の確認と指導(10月~12月)

実績

平成30年度に引き続き、学級担任が学生ポートフォリオをもとに、全学生との面談を行い、学修プロセスや能力に応じた指導を実施した。

成果

学級担任による学生との面談により、学生ポートフォリオの記載内容に基づく学修目標や学修プロセス、一日のタイムマネジメント等についての確認と指導を行うことができた。学生にとっては重要な形成的評価の機会となっていると考える。担任による面談記録の入力率は52.1%で、前年度の32.6%をから向上がみられたものの、面談実施に関わる負担感の増大や形骸化を感じている教員の存在は以前、否定できない状況にある。面談の実施を通して見られた学生の学修行動の変化等を数値で示すことにより、一層の理解・協力を求めていくことが不可欠だと考えている。

(5)アクティブ・ラーニング・ワークショップの開催(10月~2月)

実績

アクティブ・ラーニングの実施促進と強化に向け、平成26年度から実施している「アクティブ・ラーニング・ワークショップ」を、平成30年度と同様に対象を外部にも広げて開催した。

成果

令和元年12月17日に、「学習環境・状況間のシームレスな接続を意図した授業デザイン」と題したワークショップを開催し15名の専任教員・非常勤講師が参加した。また、2月21日には、アクティブ・ラーニングを促す授業設計WS」と「実践を通してアクティブ・ラーニングを考える」をテーマとし、それぞれ29名(外部2名含む)、16名が参加(外部2名含む)。計60名が参加した。2月21日には、このワークショップ以外に8学部のアクティブ・ラーニング事例報告会も開催しており、教員は各自の興味・関心のあるテーマに応じて参加できるよう工夫している。大学内外のシームレスな学習環境を実現する手立てや教員養成におけるアクティブ・ラーニングについての知識を得ることができ、さまざまな手法が学ぶことができた。また、実際にアクティブ・ラーニングを活用している教員にとって、自身の取り組みの確認や振り返りができた。

(6)ルーブリック・ワークショップを開催(10月~2月)

実績

平成30年度に引き続き、ルーブリック・ワークショップを2回開催した。ルーブリック指標を成績評価に採用することで成績基準が明確になると同時に、学生の学修状況の把握が可能となり、客観的な個別指導に役立てることができる。そのために、ルーブリック指標の作成と使用方法に関するワークショップを開催している。

成果

ルーブリック・ワークショップを令和元年10月29日および令和2年2月21日に開催し、計50名が参加した。これからルーブリック指標をもとにした成績評価に取り組むためにはどのよう にしたらよいのかということを中心にしたものであった。参加者からは、「どのように活用できるかという具体的なイメージ喚起まで含めた啓発をしていただいたので何とか使えそうだという感触を得ることができた。」「答えのない問題に対して、どのような評価基準を考えるかが今後の課題となる。」などの感想が寄せられ、今後の活用が期待できる。
なお、本取り組みは当該事業終了時までに全専任教員が受講することとなっており、全員が受講を完了した。

(7)アクティブ・ラーニングに関する教員調査を実施(2月)

実績

本学におけるアクティブ・ラーニング導入促進の取り組みがどの程度進捗しているかを定期的に測定するための手段としてアンケート調査を実施するものであり、令和2年度に引き続き教員アンケート調査を実施した。

成果

令和元年度の調査は、平成30年度と同様の調査用紙によりアンケートを行った。すなわち、春学期および秋学期の科目ごとにアクティブ・ラーニングのみの調査としたものである。調査件数および回答率は春学期は987科目/1,497科目(65.9%)、秋学期は996科目/1,427科目(69.8%)となり、いずれも回答率が向上した。授業に取り入れられた手法や工夫の状況は、春学期・秋学期ともに、過去に実施した調査と比較しても大きな差はなかったことが確認でき、アクティブ・ラーニングが定着してきたと考えることができる。

(8)アクティブ・ラーニング・ハンドブックの刊行(1月)

実績

アクティブ・ラーニング科目を体系化し、「アクティブ・ラーニング・ハンドブック」を作成した。本学ホームページにおいて公開した。

成果

本取り組みは、アクティブ・ラーニングの基本的な実践方法、定義、期待される効果、教員の役割、リソースの活用等を理解することで、教員自身がアクティブ・ラーニングを実際に活用するよう促すことを目的としている。アクティブ・ラーニングを実施している科目の体系化を行うことで、それぞれの科目でどのようにアクティブ・ラーニングが行われているかを、学生を含め外部に明確に明示することができた。

(9)シンポジウムを開催(2月)

実績

「アクティブ・ラーニングと学修成果の可視化~AP事業の現状と成果」をテーマに「玉川大学APフォーラム2019」として開催した。

成果

2月1日に開催した本フォーラムの内容は、基調講演と3件の事例報告、パネルディスカッションで構成した。基調講演は、文部科学省専門教育課科学・技術教育係長 河本達毅氏を講師に「大学教育改革の回顧と展望」。事例報告は、①玉川大学のAP事業の現状と成果、②東京都市大学の教育改革、③大阪府立大学のAP事業の成果と課題 を内容とした。参加74名者のうち50件のアンケートをご提出いただき、「とてもよかった」「よかった」と回答した方が96%という結果となり、「アクティブ・ラーニングと学修成果の可視化については、ようやくシステムが構築された段階で、本当の成果についてはまだまだ時間がかかると考えられる」などの意見があった。

(10)事業報告書の発行(2月)

実績

2月の「教育再生加速事業評価委員会」における評価を踏まえ、令和元年度の事業報告書を発行した。

令和元年度

成果

「教育再生加速事業評価委員会」のご意見を踏まえて事業報告書を作成し、広く高等教育機関に配付することとホームページで公開することで、本事業のアクティブ・ラーニングの推進と学修成果の可視化に関する取り組みによる成果を周知することができた。

(11)外部評価の実施(2月)

実績

学内外の委員で構成された「教育再生加速事業評価委員会」において、令和元年度の事業実施内容や成果・課題について報告し、評価を受けた。また、今年度は特に学修支援や学修成果の可視化を中心に、総合的な議論を行った。評価員からは、学修成果の可視化に対する示唆や本学が教職協働で本事業に取り組んできたことへの評価をいただくことができた。学内外の委員で構成された「教育再生加速事業評価委員会」において、令和元年度の事業実施内容や成果・課題について報告し、評価を受けた。また、今年度は特に学修支援や学修成果の可視化を中心に、総合的な議論を行った。評価員からは、学修成果の可視化に対する示唆や本学が教職協働で本事業に取り組んできたことへの評価をいただくことができた。

成果

学修支援については、学修支援の場の役割について改めて言及された。一方、学修成果の可視化については、成績の優秀性と積極性が必ずしも均整がとれていない学生を例に、可視化の難しさについて指摘された。また、アクティブ・ラーニングについては、その取り入れ方や考え方は学生の成長に合わせて変化させる必要性の指摘があった。全体を通しては、本事業の取り組みを通して教員の教育に対する考え方、姿勢に変化があったことが評価された。

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